27話 村長と二度目の交渉へ
「行ってきます」
「じゃ」
二人は森に出かけた。
ストライクバードの卵捕獲のために食糧準備だ。
俺は村長とお話だよ。
家で一人でいてもつまらんので、朝の散歩へ。
歩くと頭がスッキリする。
村をグルっと回って村長の家の前についた。
時間に余裕があったので、ヨドさんとこに寄ってみる。
「おやいらっしゃい、肉はまだじゃぞ」
「いや~村長のとこに行くんだけど、時間あったから」
「ふむ、何しに行くんじゃ?」
ヨドさんは察してくれたみたいで、話を聞いてくれた。
「――ふぉっふぉ、そりゃ大変だね。」
「気が重いっす~」
「リーダーの判断は正しいね、事前に説明しといたほうよいぞ。ど~せ難癖つけてくるからね」
やっぱりそういうキャラが浸透してるんだな。
「ですよね~」
「しかしストライクバードのお。ここ何年かで随分価値が上がったもんじゃ。
カネちゃんの魔法でどうにかなるとええの」
「まずは、交渉ですけどね」
「まぁがんばっといで」
時間が来たのでシマーさん、サブさんと合流し、村長宅へ向かった。
村長はいつも通りだった。いつも通り不機嫌だった。
まぁそ~ゆうもんだって慣れれば大丈夫だ。
「で、今日はなんだ」
ははは、相変わらず無愛想だ。
ニヤニヤしたリーダーが話し始める。
「村長さんよ、ちょっとお願いがあるんだわ」
「ふん、このメンツ。ろくでもないことなんじゃろ」
「んなこたーねーよ。な~に簡単な話だ。
次の王都出張の時にコイツら連れてってくれねぇかな」
俺は肩を組まれた。
「なんじゃと?」
「王都に行ってみたいんだ~とよ」
「だめじゃ!」
はぁ、やっぱりそうくるか。予想通り過ぎて笑えるぜ。
「は? なんでだよ? 別に連れてくぐらいいいじゃねぇか」
「連れてく理由がないわい」
「村長、彼らは魔法インクを購入したいそうです」
参謀のサブさんからの援護射撃。
「あんな高額なもんを? それも無理じゃろ」
「ホールラビットの売り上げなら買えるだろ?」
「いくらで売れるかは行かねばわからん」
村長とシマーさんでは会話が着地しそうになかった。
しかし、二人には長い付き合いを感じるな。
頑固おやじと、ドラ息子みたいだ。
小気味いい会話で笑いそうになる。
久々に新喜劇でもみたいな~。なんて緩んでる場合じゃなかった。集中集中!
「売り上げに関しては、ご提案があります」
「む」
「そろそろストライクバードの時期です」
「あんなもん博打じゃないか」
「彼らはストライクバード捕りの名手です」
「な、なんじゃと」
「彼らに協力を依頼しましたが、快く引き受けてくれました。
ただ要望として王都に行ってみたいという願望がございました。
協力していただく以上、ハンターサイドとしては彼らの王都同行を推薦いたします。ね、リーダー」
「んあ? お、おう、スイセンいたします」
サブさんのしたたかな顔と、リーダーのニヤニヤ顔のコンビネーションもなかなかだな。
チームワークを感じるぜ。
「っち、取れ高による。連れてゆくか判断はそれからじゃ!」
「おいおい、そりゃ厳しいぜ」
ま、「イエス」がもらうのが理想だったけどこれで充分だろ。
俺はそう判断して、切り出した。
「わかりました、それで構いません。」
「い、いいのかよ」
「ご無理言ってるのはこちらですからね。
ちなみに村長、確認なんですけど、例えば大目に税を納めれば、
追加して物品を買ってきていただくことは可能ですか?」
こういうときは一旦話を別の角度にしてみよう。
「それは構わん。例えば子供が生まれた家では大目に物品が必要になる。
そういう時は大目に納めてもらって、ワシが買い付けてきておる」
「なるほどなるほど、じゃぁ今度はリーダー」
だらっとしてたリーダーは姿勢を起こした。
「ん、なんだ?」
「上手くストライクバード捕獲できた際の取り分ですが、二割から三割程頂きたいのですが」
「そ、そりゃ~かまわねぇが、半分ぐらいが妥当じゃねぇか?」
「それは取りすぎですよ、三割いただければ十分です」
よし、話の下地は整った。
「では、村長。私たちのストライクバードの取り分にですが、すべて村に寄付いたします」
「は?」「え?」「なんじゃと?」
面喰ってるぜ。利益を度外視した営業マンの力、なめるなよ!
「村にはお世話になってますからね、お幾らになるかわかりませんが村の発展にご利用ください。
まぁ、ちゃんと捕獲できればの話ですけどね、あっはっはっは。
私たちとしては、魔法インクの購入と、可能であれば王都で見聞を広めることができれば十分ですので」
ふ、決まった。
「ま、まぁ結果報告を楽しみにしておるわ」
よし、面食らってるわ
とにかく王都へ行くことと、魔法インクの購入を優先したので、羽振りが良くなっちゃったぜ!
「それじゃぁお暇しましょうか」
「あ、あぁ」
「では、結果わかり次第報告に伺いますね」
村長宅を後にした。
そして二人からは――
「いいのか? ストライクバードの売り上げだぜ?」
「卵一つで、相場次第では魔法インク三つは買えちゃうよ?」
だってさ。
魔法インク一つ十万とか言ってたな。
てことは卵一個三十万円。うう~む、ちょっとやりすぎたか。
言った後に後悔してきたよ……、小物だぜ。
とりあえずは、ストライクバードの卵をゲットしなくては。
あとは任せた!先生!
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