2話 神様、どんな異世界なんですか?

「えーっと」

『質問には答えない、イエスかノーで』


 蘇生を望まないって言ったらどうなるんだろうな。

 聞いてみたいけど、そんな雰囲気じゃないし。


「では、はい」

『肯定ということかな』

「そうですね」

『ふふふ、なかなか抜けた答えだね』


 俺は頭を掻いた。蘇生してくれるんならそのほうがいいだろう。

 人生に絶望して死んだわけじゃないんだし。


「だって、死ぬよりは生きるほうがいいじゃないですか」

『そうかそうか』


 神様は楽しそうにしている。

 ちょっと何考えてるかわからないタイプだ。

 ミステリアスな野……神様だな。



『それでは三人に改めて概要説明をしようかな、

 二人には重複する内容も多いけど復習だと思ってくれ』



 神様は椅子にどっしりもたれた、雰囲気が大分軽くなった。

 試験は終わりって感じだろうか。とりあえずホッとしたよ。



『コホン、三人にやってもらうことは異世界の成長促進だ。

 期間は十年間。達成の暁には現世での蘇生を約束しよう!

 簡単に言うと、異世界の村に転送するから十年かけて

 ガンガン成長せさてくれ』


 ほうほう、村育成ゲーかな。


『設楽さんにはこってり質問されたんで、よかったら補足してくれるかな』


 神様は女性にむけて目くばせをした。


「……いいわ」


 設楽さんっていうんだ。てか自己紹介もまだなんもしてないな。

 女性は冷たい眼差しでこちらに振り向く。


「えっと、赤井さんでしたっけ」

「はい」

「通して説明しますんで、疑問があれば最後に質問してください」

「わかりました」


 丁寧な言い回しだけど、これって途中で質問はさむなよってことだな。

 まぁ、いいんだけど。



 説明された内容はこんな感じだ。


・魔法

 魔法は存在し習得は可能だが

 非常に小規模の事象しか発動できない。

 ファイアボールなんてのは無理。

 指先を光らせたり、石ころを手を使わず持ち上げる程度。



・魔法発動方法

 ①魔法陣に必要な魔力を流し込む

 ②修練し習得する



・文明

 中世や江戸時代ぐらい。

 非常に平和で大きな争いは無い。

 言語は日本語にしてあるそうだ。



・敵とかポーションとか

 お決まりのRPGアイテムは無いそうだ。

 魔王とかドラゴンとかポーション、エリクサーなんてない。

 野生動物は少々大型で凶暴な傾向はあるが、

 そこまで地球と変わらない。



・住む場所、初期装備

 『心配しなくても大丈夫、ちゃんと準備してある』

 だそうだ。



・神様が望む事

 ①異世界の成長促進

 ②期間は十年

 ③ノルマは無し


「――以上です」

「ありがとうございます」


 彼女すごいなぁ。順路立てた説明は非常にわかりやすく、

全部記憶してあるという自信が口調から伝わってくる。

 確実に勉強ができる人だ!


「疑問点はありますか?」

「まぁ……行ってみないとわからないってのが本音ですね」


 異世界といっても、チートや俺ツエー出来ないってことだな。

 まぁ平和だってことだし…なんとかなるか。


 むむむ、俺死んだせいか結構投げやりになってる気が。

 今後にかかわるし真面目に考えてみた。


「んん?? 神様、一応確認しときたいんですけど」

『なんだい?』

「ノルマ無いんですか?」

『無いよ』

「えーっと、じゃぁ失敗はありますか??」

『失敗というと?』

「たとえば、ここまで村を大きくしないと失敗で、蘇生はしないとか」

『それも無い』

「んんん、じゃぁ仮に10年食っちゃ寝しててもいいんじゃ…」

『構わないよ、10年たったら現世で蘇生しよう』


 神様は両手を広げて『心配するな』とボディランゲージで表現した。


 いやいやなんだよ、このゆっる~いルール。

 急に不安になってきた。

 騙されてるんじゃ。

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