第28話 手紙
突然のお手紙失礼します。
この度の私の身勝手な行動により、多大なご迷惑をおかけ致しました事、大変申し訳ございません。
本来ならば直接お会いして謝罪すべきところですが、現在鬱病を患っておりまして、会話する事が非常に困難な状態になっております。
医者にはカウンセリングと薬物療法による治療を勧められております。完治には半年から一年と言われております。
短い間でしたが〇〇〇〇での厳しくも温かいご指導を受けられた事、誠に感謝しております。
貴店の繁盛を心より願っております。
二〇一六年 一月十五日 ◯◯◯◯◯
帰宅から三日後なんとか手紙を書くことができた。思考能力が足りていない為、推敲を両親に手伝ってもらい完成させた。これで人としての最低限の礼儀は尽くしたつもりだ。
実家では温かい食事が用意されて眠る場所の心配をしなくてもいい。素晴らしいことだった。だらだら何もせず過ごすが相変わらず倦怠感は続いていた。
「お前大丈夫そうだな」
「見た目はね......」
父親と他愛のない会話を交わす。言葉を交わせる相手がいることも素晴らしかった。
ケータイの解約と再契約に出かけた。
「同じ番号で契約なさいますか? 」
「変えてください」
一度人間関係をリセットすることにした。SNSは便利だが勝手に連絡先が知られてしまう。今の私には精神衛生上良くはなかった。信頼できる人間だけと連絡を取ろうと思う。人間関係に疲れた。距離を置いたほうがいいだろう。
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