第17話 地上にて

 下船して私は少し早い夏休みをいただきました。予定など建ててはいないので外食をしたり、DVDをレンタルしたり、友人と呑んだり、帰省もしましたが気分は全く晴れません。身体中がだるく、ベッドに横になる時間が増えていきます。


 そういえば店のスタッフの一人が僕の様子を聞きつけて

「帰省するけど一緒に行かないか? 」

 と誘ってくれました。一泊二日でそのスタッフのご両親にも歓迎されて、お父様が打ったお蕎麦や地酒を振舞われて、酔っ払ってしまい久しぶりに熟睡することができました。

 翌日は温泉に連れて行ってもらい、大変リラックスすることができました。スタッフとそのご両親には深く感謝しています。人の優しさに久しぶりに触れた気がしました。 この場を借りて、改めてお礼を言わせていただきます。


 そして第五話「症状」へ話は続きます。死ぬことを考えていた私は処方された薬を飲まず貯めました。当然ますます気分は沈み情緒不安定になっていきます。

 毎日会社に行くことだけを考えていました。きっと歩みを止めれば死んでしまう。

 私は元々友達も少なく無趣味な男です。人との付き合い方もストレスのガス抜きの仕方も、社会に出れば自然に上手になるものと思っていましたが、人は幾つになっても努力と勉強を続けなければ成長はありません。思い起こせば仕事ばかりで、その他のことにあまりに無頓着だった気がしています。頑張っても、頑張っても幸せになれない気がして毎日不安でした。ただの言い訳に過ぎませんが、仕事もプライベートも同じ比重で考えるべきでした。

 休みの日はAさんの新しい店の準備に駆けつけました。決まって夜は焼き肉を奢って頂きますが相変わらず味がしません。

 


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