A先輩
第14話 転職
次の店のあてはつけていました。一軒目で働いていたA先輩が独立する情報を聞きつけてコネを使い連絡しました。
「ぜひ来て欲しい。大歓迎するよ。でもまだ店自体ができていないんだよね。それまでは俺のやり方を勉強してもらう為にも、俺の修行していた姉妹店で働いてくれないかい? 」
了承しました。そして東京のある繁華街で働くことが決まり、細かい待遇の打ち合わせでこちらから電話した時のことです。
「もしもし。お疲れ様です」
「あー」
テンションが低く、やる気がない返事でした。若干怒っているようにも感じました。そして
「お前なんで俺のところに来るの? 何が目的なの? 前の店で何かあったの? 」
取り調べのように尋問してきました、前回までの歓迎ムードとは一転しています。私は渋々ですが前の大将とは喧嘩別れして辞めたことを話しました。転職先に以前勤めていた自分の勤務先の悪口を言うようで嫌な気分でしたが正直に話しました。
Aさんは一応納得したらしく、電話を切りました。私は話しているうちに自分が情けなくなり涙が出てきました。
すぐにコネを使って調べた結果、どうやらAさんと大将は知り合いで仲が良く、自分には内緒で直接会って私の悪口を吹き込んだらしく、それでAさんは態度を変えたようでした。
「本当に俺のところに来る? 俺の下で働ける? 」
何度も確認していたAさんの声が頭に響きます。私は転職を焦っていました。Aさんのところ以外で転職活動をしていなかったのです。今の私なら殴ってでも止めています。心にゆとりがないと冷静な判断はできないのです。
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