第20話 遺書②

 今日、このまま死んでは原因がわからないだろうと思い、この文章を書いています。心が狂いそうで書かずにはいられなかった。

 ネットや本で自分と同じ症状の人がいないか、ずっと探していました。何か解決方法はないのか?どうやれば立ち直れるのか?

 会話をしないので、店で注文する時は声がかすれます。人と会話ができないので文章にしようと思いました。

 死を前にして驚いた事があります。やりたい事が無かった事です。金を使って飲む、買う、打つ、そういった心からしたい欲望が何もないのです。仕事しかしてこなかったなぁ。趣味や彼女でもいればまた違ったのか?自暴自棄になっての犯罪は性格からいって無理でした。煮え切らない男だと苦笑します。

 でも強いて言えば、今まで逃げていた事に正面から向き合えたらなぁと思いました。色々なことのツケが自分を追いかけて来たんじゃないかと。

 ああ。支離滅裂な文章。よく分かりませんね。

 なぜか今日宝くじを買いました。バッグに入れておきます。マンションの部屋、その他諸々の手続き、本当に申し訳ございません。死後、自分の貯金を使ってください。

 バカ息子ですいませんでした。

 産んでくれて、育ててくれて、一緒に居てくれてありがとう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る