サンタさんにお手伝いしてもらって×∞,+∞の話をしてみよう。
満月 愛ミ
サンタさんはプレゼントを持ってくるというより。
サンタさんは常に子どもたちのためにプレゼントを魔法で取り出します。
「時代ってなんだい」っていう亜空間にサンタさんの方は住んでいるため、子ども達の期待を裏切らないために魔法で取り出す方法を選出しています。
だって、
「なんだよこれー、俺全然こんなの欲しくないしぃ。3DSとか妖怪◯○ッチのが欲しかったしぃ」とかいう言葉、サンタさんの方達だってショックな気持ちにはなるんで聴きたくないんです。
ところで。
そんなサンタさんの元へ毎年、数多くの需要が願いのレターとなって届くわけです。
「3DSが欲しい」
「PSVITAが欲しいですお願いします」
「100万円が欲しいですお願いします」
「ア○○スに出てくる子、彼女に欲しいナー」
あれ、大人の願いも混ざっていました。
純粋な気持ちを持った大人はいくらだっていますから、子ども達の希望の中に混ざり込んできてもおかしくないわけです。
まぁ、大人の純粋な気持ちの願いはちょっと置いておいて。
今回は物品の話をしていきましょう。
サンタさんは子どもに配るノルマっていうものはありません。ボランティアですから、ある意味気まぐれに配ることのできる幸せな種族なわけです。
「あ、あの子いいことしてるからあげよう」
こういった気持ちになれた子どもの家庭にひっそり音も立てずに忍び込みます。
ただ、サンタさん達は年老いているので誰のお家に入って配ったかを覚えていないのが欠点です。
それから致命的な欠点もあります。サンタさん一人ではとても12月24日から25日の夜中にかけてという、なおかつ大人も子どもも寝てしまっている時間帯に配らなければならないこと。
夜中の2時~4時、もしくは5時までというわずか数時間の間に配って回らなければならないという過酷な使命すら背負っています。
そのため、サンタさんは存在Aから始まり“A1”になったり“Aあ”の存在が生まれる等、子どもがいるであろう家の数だけおじいちゃんサンタさん達は無限大に存在します。
あと、もちろん誰にもバレてもいけない。
なんだかこう考えるとサンタさんって無償で行う過酷な労働かも分かりませんね。時々トナカイさんをオプションとして見せつけていますが、あれはあくまでクリスマスにはサンタさんがくるよという国民的経済上昇を狙ったためによる宣伝ポスターで現実では瞬間移動を使ってるのでしょうし。
ところで。
ここからが本番の足し算、掛け算の話になるわけですが。
足し算である、こんなシーンを見てみましょう。
~足し算シーン~
サンタさんAが、あーくんの家に忍び込んだとします。
サンタさんはあーくんのベッドに着きました。
熟睡しているであろうあーくんの枕元にプレゼントを4次元に繋がる袋から、一つ取り出し、自動的にラッピングされたものを弾ませないようにそっと置きました。
「よし、成功だ」
消え入る様に言ったサンタさんAは出ていこうとしましたが、気になることがあってもう一度あーくんを見ました。
あーくんは掛け布団を蹴飛ばしたまま寝ています。寒そうです。
「このままでは風邪をひいてしまうよ」
またもや消え入りそうな声で言ったサンタさんAは息を殺しておそるおそる布団をあーくんにかけると、瞬間移動でそのまま行ってしまいました。
その後、あーくんはまた布団を蹴飛ばし、その布団は顔にかぶさりお腹は丸見え、尚且つ掛け布団の何処かしらかがプレゼントに当たり、ベッドの下に落ちていってしまいました。
それから数秒後。
サンタさん“Aい”が来ました。サンタさんAが来たことはそういう“仕事”であるやりとりを行っていないため分かりません。
ベッドにプレゼントも見当たらなため尚更です。
時間がないので、本当に一人ひとりが実は急いでいます。
あーくんは布団を顔にかぶったまま、あとははだけて寝ています。
「風邪をひいてしまうよ」
サンタさん“Aい”は、しわがれた消え入る様な声でおそるおそる布団をあーくんに掛けなおし、満足しました。
それから4次元に繋がる袋からあーくんが欲しい物であろう物品を一つ、取り出しました。勿論、これも自動的にラッピングされています。
「メリー・クリスマス」
サンタさん“Aい”はそうしわがれた消え入る様な声で言うと窓の所へ行くと瞬間移動を使って出て行ってしまいました。
朝になりました。
「ふぁぁ……!」
あーくんは布団を蹴飛ばしながら上体を起こして伸びを行いました。
「……あ!!」
あーくんは、枕元にあったラッピングされたプレゼントを見つけたようです。
「やったぁ!! プレゼントだぁ!!」
あーくんが飛び出さんばかりにベッドから起きようとしたもので、掛け布団等に片足が引っかかってそのまま床にダイブしてしまいました。
「いっっでー!!」
そのまま伏せた体勢で痛みを盛大に感じていると、あーくんはベッドの下にもう一つ、何かが転げていたのを見つけたのです。
「……なんだろ……?」
あーくんは興味津々に手を伸ばしました。
指先に触れた後、掴み取れました。
「……わ、わ!? わーー!?」
なんとラッピングされた箱がもう一つ。
あーくんは、一体何個プレゼントを貰ったのでしょうか。
ここで、
あーくんのベッドのスペースを0、そしてサンタさんAのプレゼントを1、サンタさん“Aい”を1にして計算します。
(0)
+
(1つ)
+
(1つ)
=
(2つ)
ということで、手持ち0だったあーくんのプレゼントはなんと25日の朝、2つもらえたことになりました。
これが、足し算であるあーくんのお話でした。
あーくんはラッキーでしたね。
因みに、あーくんはドジっ子に見えますが、お母さんのお手伝いをしたり、お父さんの肩たたきを毎日してあげてるそうですよ。
口癖は、おかーちゃん大好き。
おとーちゃん、まだまだ未来がありますから大丈夫ですよ。
次に、掛け算の話をしていきましょう。
サンタさんの4次元の袋は子どもの欲しいものを分かるための意思を持っているので、たまに疲れると「プレゼントを出したくない」とストライキを起こすこともあります。
困ったことがあるものですね。
そして、ストライキが起きた時、こういう事がありました。
~掛け算シーン~
人間界での目に見えるボランティア活動を許可されたサンタさんが居ました。
それは、サンタさん“Bだ”です。
たまに、サンタさんの存在を子どもや大人に教えるためにこういったミラクルなサンタさんが人間界に混じってプレゼントを配ることをしています。
サンタさんは、トナカイの顔の付いた可愛らしいバスケットに約100個のカント○ーマー○を持って子ども達へ配っていました。
一人、2枚配ります。なんと優しい。
ただ、少子化と言われていても、それは都市伝説なんじゃないかって程どこからともなく子どもという子どもは現れてきました。
「あれ、聴いていた話とちがうぞ」
日本という国は少子化で困っているとサンタさん達のボスから聴かされていたサンタさん“Bだ”。
嬉しい様子ですけれど。
でも、事件は起きました。
10人兄妹という大家族の子ども達がサンタさん“Bだ”に近づいてきたのです。
母親や父親は大変だなぁ。今どこに居るんだろう。今は子ども達だけだ。
そう思いながら配るサンタさん“Bだ”の持つカントリーマームの個数が、残りわずかとなっていました。
あ、カント◯ーマー◯、もう少し補充しないといかんなぁ。
そう思ったサンタさん“Bだ”はさり気なく4次元に繋がる袋に手を入れますが、
虚しくも“疲れた”とサンタさん“Bだ”だけの耳に届きました。
「え!?」
サンタさん“Bだ”は思わず声が出ました。
そんなこともお構いなしに、子ども達はサンタさん“Bだ”にくっつくようにやって来ます。
「サンタさん、俺にもちょうだい!」
「わたしにもー!」
「あぶー!」
とりあえずと、一人2枚ずつ渡していくうちに、サンタさん“Bだ”は蒼白しました。
た り な い。
愛らしいトナカイの浅く感じ出していたバスケット中の探り、そしてカント○ーマー○の数と子ども達の数を交互に何度も見ました。
た り な い。
どうしよう。
2人分、たりない。
「ねー、サンタさん。あたしのはー?」
とりあえず、あるだけ全部渡してみることにしました。
「はい、どうぞ」
兄妹の何番目か分からない女の子に残りを渡しました。
「あれー、しゅーちゃんとなーくんの分は?」
サンタさん“Bだ”は、それはとてもとてもいいおじいちゃんサンタさんだったので、蒼白して、そして冷汗が次々と流れ出しました。
「これで、終わりになってしまったんじゃ」
意を決して、答えました。
ここで起きた掛け算は、こちらです。
サンタさん“Bだ”の存在はあったとしても、
子ども達に渡せる現在のカント○ーマー○の持ち数を0として、
あげたい人を2人として、その結果あげられる枚数を計算で表すと。
(0)
×
(2人)
=
(0)
となるわけです。
あげるものが最初からなくては、いくら沢山の子ども達にたかられようが0です。
余談を加えると、サンタさんが初めからカントリーマームを無限に持っていたとして、一人2つずつ子ども達に渡すとするならば何個必要かとなれば、こうなります。
あげられる前提での個数を2個ずつと考えると。
(2こずつ)
×
(10人)
=
(20こ)
あれば足りたわけですね。
掛け算は“在る”もの前提で繰り広げられていく数字の世界かもしれませんね。
余談でした。
その後、10人兄妹は喧嘩へという事態が起き、サンタさん“Bだ”がオロオロしていると、10人兄妹を育てている母親が後から走ってきたのです。
この母親もカント◯ーマー◯を欲しいと言わないだろうか。
サンタさん“Bだ”は更に蒼白しました。
「わ、あんたたち何もらったの?」
「くっきーぃ」
「でもね、サンタさんケチんぼなんだよ。しゅーちゃんとなーくんの分無いって言うの」
「こら! そんな事いわないの! どうももうすみませんねー」
肝っ玉と言えそうです。しかしそんな母親はサンタさんに何度も頭を鶏の様に下げたのです。
「あんたたちでどうにかして分けなさい。いつもそうしてるでしょう」
「えー! たまには一人一枚食べたいしー!」
「ったく! しゅーちゃんとなーくんの気持ち考えなさいっ」
「へーい……」
長男かもしれない男の子がしょんぼりすると、母親が頭をなでていました。
「えらい、いい子だね」
サンタさん“Bだ”はその姿をまじまじと見ていました。
こんなにも大勢の子どもを連れて。凄いお母さんだなぁ、と。
「ほんっとどうもすみませんね。寒い中、大変でしょうに。ありがとうございました。ほら! あんたたちも、ちゃんとサンタさんにお礼言う! 言えない子は返しなさいっ」
「そ、そこまで言わんでも大丈夫じゃ」
サンタさん“Bだ”はオロオロしつつ母親に言うが、その瞬間10人の子ども達のありがとうございましたラッシュに気圧されそうになっていました。
おじいちゃんサンタさんは身体を支えるのもやっとなので、ここでも苦労が出てきます。
「ありがとーぉございました!」
末っ子だろうか、その女の子が言ったのを母親が確認すると、保育園の先生のように10人の子どもという団体様を引き連れてサンタさん“Bだ”の元から去って行ったのです。
残されたサンタさん“Bだ”は、少子化って何ということと、日本の母親は強い人も居るということを提示しなければいかんと、子育てをすることの大変そうな様子も兼ねて日本に関するレポートを作成したのだとか。
因みに、10人の兄妹達があれからどうなったかというと。
公園に立ち寄った時に、2つのベンチに溢れるように座り、カント○ーマー○を皆で分けようとそれぞれ半分にしようとして見事に粉々になってしまったそうで。
中間のあたりの妹が、
「あ゛ー!!!」
と叫び、末っ子の男の子や女の子は笑い声をあげ、残った小さなクッキーのかけらを鳩が餌を突くように、皆でそれぞれつまんで、
「たっはー! ちっちぇー!」
と、笑いながら食べたのだとか。
サンタさんはどんな形であれ、幸せを運んでくれる種族のようです。
サンタさんにお手伝いしてもらって×∞,+∞の話をしてみよう。 満月 愛ミ @nico700
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