第9話
Bバスターの撃ち方は初期型のバスターと同じ感じで行えるようだ。
ただし、通常のエネルギー弾は放てないから、弾切れを起こしたら一気に劣勢に陥る可能性がある。一度に装填出来るのはボム五つまでのようなので、きちんと装填数を頭に入れながら使用しなければならないな。
まぁ、そこは近接武器を携行するか、即座に装填したり他のバスターを交換すれば問題ないか。
あ、でもリンクド回路が6もあるから、おいそれと他の装備が取り付けられないな。あと、装備変更もいちいちメニューを開かないといけないし、実戦ではやりにくいか。
っと、そんな事考えてるより、試しに撃ってみよう。
俺はBバスターにスローイングボムを装填し、遥か先にいる屑鉄で出来た案山子へと銃口を向ける。
片目を瞑り、狙いを定め、発射する。
銃口から発射されたスローイングボムは真っ直ぐと案山子へと向かい、着弾して爆発する。
「おぉ、すっごい」
「そうだろうそうだろう」
思わず感嘆の声が漏れる。俺の反応にニトも満足げに頷いている。
ボムを発射した際に反動が殆ど無かったので照準がずれる事が無く、また体勢も崩れないので即座に次の行動に移れる。
これなら、移動しながらでも充分に狙いをつけて撃てるんじゃないかな?
物は試しと俺はジグザグに走りながらボムを発射。狙いは狂わず案山子に命中して爆散させていく。
他にも跳んで宙にいる間に撃ってみたり、重心の安定しない姿勢で撃ってみたり、いろいろと試行しながら試射しまくった。
そのどれもが反動の少なさから無理なく撃つ事が出来た。精度に威力と、射撃武器としては、これはかなり性能がいい部類になるだろう。まぁ、ボムを装填する必要はあるが。
あ、そう言えば一つ試してない事があったな。
チャージバスター。エネルギーを溜める事で一発当たりの威力を高めるスキル。
このBバスターでチャージをしてみたら一体どうなるのだろうか?
ちょっと好奇心がくすぐられたので、試してみよう。
と言う訳で、早速チャージを開始する。
銃口にエネルギーが集まって点滅……ってあれ? 何か光の色が違う?
確か前は青白い光だった筈なんだけど、今回は不気味な紅い光に変貌してる。あと、ヴァイザーに表示されているメーターも真っ赤になって点滅……と言うか、メーターじゃなくてヴァイザーの視界全てが赤く点滅している。
これ、大丈夫なのかな? 何かあってもこのトレーニング空間なら問題が発生しても平気……な筈だ。
ええい、男は度胸。試してやるぞ!
俺は紅く明滅する銃口を案山子へと向ける。
「お、おいレン。君は一体何を」
ニトが話し掛けて来るのと同時に俺はボムを発射する。
ぼがん、とBバスターが破裂して破片が辺り一面に飛び散る。
それと同時に紅の光を纏ったボムは真っ直ぐと案山子へと向かって行く。
案山子に命中したボムは爆発を引き起こす。
ボッガァァァァァアアアアアアアアアアンンンッ‼‼
爆発の規模が数倍もある。紅の爆炎が案山子を包み込み、地面や空気を焼いて行く。
爆風に当てられ、俺とニトはその場から吹っ飛ばされる。爆炎に焼かれ、リンクドスーツのHPも削られる。
地面を転がり、空間の端まで付くと俺とニトは漸く止まる。
「ったた……」
俺は頭を振りながら爆心地へと目を向ける。
文字通り案山子は跡形も無くなる程に粉砕されており、地面も黒く焼け焦げている。
時間が経つと共に修復されていき地面は元の姿に、案山子も何事もなかったかのように再生される。
そして、爆ぜたBバスターも破片が俺の腕に寄り集まって再び形成される。
成程、この空間ならば装備が破壊されても元通りに復元されるのか。
「ちょ、ちょっといいかい?」
と、俺と同様に頭を振りながら立ち上がったニトは先程爆発の起きた場所へと指差す。
「君は一体何をしたんだい? 私の作ったBバスターはボムの性質を変える機能は搭載していないし、君に渡したボムも市販品と同性能のスローイングボムだ。あんな高威力の爆発など有り得ないのだが」
「えっと、あぁ、それなんだけど」
俺は習得したスキル【チャージバスター】について説明をし、先程の一発はチャージした結果だという事もきちんと伝えた。
「……成程、【チャージバスター】か。そう言ったスキルが存在している事を把握していなかったからな。壊れたのも【チャージバスター】による威力増大効果にBバスターが耐えられなかったからか……ふむ」
ニトは一度頷くと、俺の方へと顔を向ける。
「レン。悪いがこのBバスターは今君に売る事は出来なくなってしまった。まだまだ改良の余地があるからね。そもそも君の【チャージバスター】に耐えられなければ、高威力の攻撃を連続で出せないしな」
「はぁ、成程。まぁ、分かった。という事は【チャージバスター】に対応したのが出来るまで待てばいいのか?」
「そうだな。そこで一つ、君に相談があるのだが」
一呼吸を置き、ニトは真っ直ぐと俺を見据える。
「暫く、私とパーティーを組まないか?」
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