第5話

 無事にグリンダールの町へと戻り、討伐完了を報告して報酬を手に入れた。

 機械獣を倒して得た金と今回の報酬を合わせるとそこそこの額になった。

 これなら、ステータス向上や特殊能力付加が出来るリンクドスーツのパーツとやらでも買ってみようかね。

 流石に素のままのスーツで機械獣を相手にしていくのは流石に厳しいしな。

 取り合えず、バザーが開かれている所か、ショップっぽい所にでも行くとしよう。

 とすると、まずはバザーにでも行こうかな? ショップはまだ行った事がないけど、バザーなら何回か見掛けたし。


 俺はバザーへと目指し、町を歩く。

 バザーエリアへと着いた俺は取り敢えずパーツっぽいのが売っている出店を見て回る。

 アームパーツにフットパーツ、それにアーマーパーツなんてのもあった。

 基本的に、アームパーツは近接武器使用時にATKが上昇、フットパーツはAGIの上昇、アーマーパーツはDEFの上昇となっていた。

 個人的に面白いなと思ったのが、ダッシュブースター01と呼ばれるフットパーツだ。

 このフットパーツはEPを消費する事によってダッシュ移動を可能にするらしい。ダッシュ距離はまだ短いこれしか出回っていないらしいが、それでも至近距離での緊急回避には役に立つそうだ。

 値段もそこそこだったけど、面白そうだったので購入。購入したダッシュブースター01はメニューのカスタマイズでリンクドスーツに装備する事が出来る。

 取り敢えず、メニューを開いて装備しておこう。


『ダッシュブースター01(2):AGI+3 EPを消費してダッシュが使えるようになる。


 装備しますか?

 はい

 いいえ     』


 はいを選択してダッシュブースター01をリンクドスーツに装備する。

 きちんと反映されたか確認する為にステータスを表示する。


『プレイヤー:レイ


 リンクドスーツ:Lv5

 リンクド回路:5/9

 アイテムスロット:9/20


 装備:初期型ビームサーベル(1)

    初期型バスター(1)

    初期型ナックル(1)

    ダッシュブースター01(2)


 HP:200/200

 EP:380/380

 ATK:22

 DEF:10

 AGI:35+3

 DEX:35

 RES:10


 SP:0


 スキル:【リミットブレイク】【チャージバスター】』

 

 うん、きちんと反映されてるな。パーツによる補正は横に+で表示されるのか。

 まだアイテムスロットとリンクド回路に余裕があるから、もう少しパーツでも買ってみようかな?

 アイテムスロットはそのままの意味。どのくらいまでアイテムを所持出来るかが表示される。アイテムの中にはスロットを二つ以上必要とするものもあるらしい。今の所、まだそう言ったアイテムは手に入れていないけどね。

 で、武器やパーツもアイテムとして換算されるので、多く装備してしまうとその分スロットを圧迫してしまう。なので、なるべくスロットを圧迫せず、よりよい装備をする工夫が必要になってくる。


 そして、リンクド回路。他のゲームで言えば装備制限とでもいいか? 武器やパーツの名前の横に括弧表示で数字が記載されている。装備のそれ等の数字がリンクド回路の数字を越えなければ、十全な効果を発揮出来る。

 反面、装備の数字がリンクド回路の数字を越えてしまった場合、バッドステータスが発生する。

 移動速度の制限やステータスの減少、EPの消費スピードの上昇、バスターの空撃ち、ビームサーベルの形状変化、勝手に変な方向へと移動を始める、ヴァイザーに表示される数値や機械獣の名前がバグる……など、ゲームを遊ぶ上で結構深刻な変化が起きる。

 なので、装備をする際はリンクド回路の上限を超えないように装備しなければならない。


 まぁ、中には敢えてリンクド回路の上限を完全に無視して装備し、バッドステータス満載の状態でゲームをプレイする疑似ハードモードで楽しんでいるプレイヤーもいるらしいが。

 流石に俺はβテストでハードモードをやるつもりはないので、きちんとリンクド回路の上限内に収まるように装備をする。

 因みに、リンクド回路はレベルアップ時に1だけ上がる。アイテムスロットに関しては、特別なアイテムを使用しない限り上限が上がらないらしい。

 で、そのアイテムを持っているのが所謂ボス的なエネミーらしい。最初に戦える奴との推奨レベルは13となっているので、アイテムスロットを増やすとしたら、まずはレベル上げが必要だ。


 さて、バザーを程度見回ったし、そろそろショップにでも赴こうかね。よくよく見ればショップには看板が立てられているのでショップかそうでないかの判断が簡単につく。あと、一度ショップを見付ければ地図に自動的に記入されるみたいだ。

 ではでは、行ってみるとするか。

 俺は一歩足を踏み出し、即座に歩みを止める。


「あ、もう時間か」


 ヴァイザーに表示されている現実の時間が午後六時に達しようとしているのが見て取れた。

 流石にそろそろ終わらせて、一度飯を食べて提出課題を終わらせる必要がある。

 なので、今日のプレイは終了。また明日だな。

 βテスト期間は一ヶ月もあるので、焦る必要もない。

 それに、来週から夏休み期間だ。学生である俺は特にその恩恵を受けていて、来週以降はずっとLFOの世界に入り浸る事が出来る。

 その為には、提出課題をきちんと終わらせ、前期試験をクリアする必要がある訳だが、まぁ、普通にやっていれば問題ない。


「さてさて、ではログアウトしますか」


 俺はメニューを呼び出して、ログアウトを選択。

 立っていた俺の身体は独りでに横になっていくような感覚を覚え、気付けばベッドに横になっていた。

 視界も真っ暗。いや、『ブレインズギアを取り外して下さい』という文が映し出されている。

 きちんと現実に戻って来たか。俺はBGを外して枕の横に置く。


「飯、食うか」


 現実に帰還した俺は夕飯を食すべく、ベッドから出てキッチンへと向かう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る