第4話
町の外へ出ると。正確には半透明の壁の外側へと出ると投影機から俺目掛けて光が照射された。光が晴れるとリンクドスーツを身に纏っていた。
外の砂漠では、俺と同じようにリンクドスーツを身に纏ったプレイヤーの姿がちらほらと散見出来る。
プレイヤーは一人で、もしくはパーティーを組んで機械獣を相手に戦っていたりしてる。
「さてさて、適当にほっつき歩いていれば蠍の方から出て来るだろ」
俺はグリンダールの周りから離れないように砂漠を進んでいく。
マキナスコーピオンはマキナリザードと同じくらいの大きさで、尻尾には相手を麻痺させる効果のある針が仕込まれている。
しかもこの針、飛ばす事が出来るのだ。初見の際、まさか針を飛ばしてくるとは思わず直撃を受け、俺は痺れてしまったのだ。
麻痺とかの攻撃は状態異常に分類される。LFOでは状態異常は時間経過で回復する他、専用の回復アイテムを用いれば即座に治す事が出来る。
また、RESの値が高ければ高い程状態異常から回復する速度が上がるらしい。けど、俺はRESの値は実質最低値なので直ぐには回復されない。
なので、麻痺で動けない間にざっくざっくと鋏で攻撃されてHPが結構削られた際はリンクドスーツの大破を覚悟した。
幸い、攻撃を受けている最中に麻痺から回復したので即座にビームサーベルで切り伏せて事なきを得た。
麻痺にさせる針攻撃は厄介だけど、マキナスコーピオン自体は戦った感じではそこまで強くない。純粋な戦闘力はマキナリザードの方が上だと感じた。
倒すのもマキナスコーピオンはバスター三発で大丈夫だし、見付け次第バスターを三連射すればノーダメージで倒せるだろう。
「っと、噂をすれば」
目の前の砂が盛り上がり、中からマキナスコーピオンが一体出て来る。
即座にバスターを三連射して倒す。
マキナスコーピオンは爆散し、ボックスが残る。
『マキナスコーピオン討伐数:1』
御丁寧にヴァイザーに討伐数が表示された。これでいちいち自分で数えなくても討伐したマキナスコーピオンの数が分かるな。
俺はボックスの中身を回収して、次の獲物を求めて再び彷徨い始める。
マキナスコーピオンを撃ち抜き、時折マキナリザードをぶっ倒し、EPが半分を下回らないようにEエナジーを使って、気付けば蠍の討伐数が十になっていた。
十体倒すとリンクドスーツのレベルが3に上がる。よしよし、順調にレベルが上がってきているな。
取り敢えず、ステ振りはAGIとDEXにSPを注ぎ込み、攻撃の速度と精度を上げる。
ATKに関しては武器を新調すれば上がるだろうから、1だけSPを振る。DEXとRESに関してはノータッチ。当たらなければどうという事は無いのだ。
このまま順調にマキナスコーピオンを倒し続ければ、最低でも4、もしかしたら5にレベルアップするだろう。
確か、レベルが5の倍数になるとスキルを入手出来るとか。
スキルは入手レベルになるまでの自身の行動によって三つまで決まるらしい。で、プレイヤーは三つの内一つを選んで自分のスキルにする事が出来るとか。
因みに、初期スキルに関してはランダム決定ではなく二十ある選択の中から任意で一つ選ぶ形式だった。
初期スキルには結構有用そうなのが揃い踏みだったけど、俺はその中で【リミットブレイク】なるスキルを選んだ。
【リミットブレイク】はリンクドスーツのHPが10%を下回ると任意で発動出来、一定時間ATKとAGIが増加すると言う強化系のスキルだ。
起死回生の手段になる反面、強化時間が終了するとそれの倍の時間ATKとAGIが半減してしまうデメリットがある。
また、一度スキルが発動するとHPを全快にしてから暫く時間が経たないと再度発動させる事が出来ないらしい。
今の所、まだHPが10%以下になった事が無いので、まだ【リミットブレイク】を発動した事がない。
大物と戦う前に、一度わざと10%以下にまでHPを減らしてスキルを発動して具合を確かめた方がいいな。ぶっつけ本番で頼るよりも、事前に知っておいた方が立ち回りもしやすくなるだろうし。
その後も地道にマキナスコーピオンを討伐し、既定数に達した。レベルは4になったが、まだ5にはならなかった。
まぁ、町への期間中に出くわした機械獣をぶっ飛ばせばレベルアップするだろう。
で、次入手出来るスキルはバスター関連な気がする。
なにせ、戦闘ではもっぱらバスターしか使っていないから。
ビームサーベルも使ってるけど、基本的に接近を許してしまった際にしか使用していない。
ナックルに関してはチュートリアル以外では全く使ってない。
なので、入手出来るスキルはバスター系統の確率が高い。
次点として、結構歩き続けているから移動に関するスキルかな。これはあれば移動が楽になるのでありがたいが、本当にそれ系統のスキルが選択肢に現れるかは分からない。
まぁ、今考えても仕方がないので、取り敢えずは街に戻って報酬を貰う事にしよう。
なるべく離れないようにと彷徨っていたけど、結構遠くまで来てしまっていた。
大体十分くらい歩けばグリンダールに着くかな。
町へと戻る道すがらに襲いかかってきた機械獣はバスターの連射で返り討ちにする。
マキナリザードを計三体、マキナスコーピオンを一体倒すとリンクドスーツのレベルが5になった。
『新たなスキルを習得出来ます。
以下のスキルから一つを選択して下さい。
・チャージバスター
・連射速度上昇
・EP消費軽減(バスター) 』
おっ、やはりバスター関連のスキルだ。
取り敢えず、名前だけでもある程度能力は分かるけど、念の為にそれぞれのスキルの説明を見てみるか。
『チャージバスター:エネルギーを一定時間溜める事で、強力な弾を放つ事が出来る』
『連射速度上昇:バスターの連射速度が上昇する』
『EP消費軽減(バスター):バスターを使用する際に消費するEPを軽減する』
説明を見るとどれも有用そうだな。
チャージバスターは火力の増加に。連射速度上昇は素早く撃ち抜くのに。そしてEP消費軽減は単純に攻撃回数を増やすのに。
どれを選んでも外れではない分、どれか一つを選ばないといけないのが辛いな。幸い、今回選ばなくても次のスキル入手レベルでまた選択出来る可能性もあるし、装備によって代用出来る場合もあるだろう。
……そうだな、今回はチャージバスターを選ぶとしよう。
やっぱり一つくらいは強力な攻撃手段ってのも必要だと思うし。
と言う訳で、俺はチャージバスターを選択。
『チャージバスターを習得しました』
よし、これでチャージバスターを扱えるようになった。
で、その際にチャージの仕方やチャージ弾を放つ際の条件が開示される。
さて、では次に機械獣が襲い掛かって来たら、試し撃ちをしてみようかね。
「っと、早速蜥蜴が出て来た」
言ってる傍からマキナリザードが砂の中から現れる。
俺はバスターにエネルギーを充填させる。
チャージバスターを習得した際に、ヴァイザーにメーターが一つ出現した。このメーターがバスターのチャージ量を示し、マックスになるとチャージ弾を発射出来るらしい。
大体五秒程でメーターがマックスになり、チャージが完了。バスター自体の銃口も光を溜めこんでいるのが見て取れる。
俺は襲い掛かってくるマキナリザード目掛けてチャージ弾を放つ。
チャージ弾は通常弾と同じ弾速だけど、大きさは三倍ほどにまで膨れ上がっている。消費するEPは一回で3消費。五発普通に撃つのと同程度の消費量だ。これならコスト的にも特に痛手にならないかな?
で、チャージ弾を受けたマキナリザードは一撃で爆散。後にはボックスが残されていた。
うん、威力も少なくても五発分以上はあるし、性能は上等だ。選んで正解だったな。
俺はボックスの中身を取り出し、上機嫌で町へと戻っていく。
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