No.05

「えぇ!?何やってんの黒羽ァ!?」

時は再び昼休み。俺は倉木に何気なく「このミンティア、やべえんだよ」なんて、気怠げに言うと、すぐに倉木は食いついてきて、「ちょっと見せてくんないか!?」と来たので、一粒食って、まだ分からないのを実際にやってみたのだ。やったことといえば、


手の中に魔球を、生成しただけですけど?


「な、な、何これ?」

俺の手の中に浮かぶ闇色の球体を見て言った。

(珍百景かよ。まぁ、分かんねえのかなぁ、幻覚でも見てるぐらいって、思うのかなぁ。

うーんと、結論から言えば、俺が一番驚いてるんだけどなあー。)

「す、すげえなあ。」

俺の素の感想が漏れた。

「凄いって、ええっ……!?」

(なんだよ。俺の素の感想だよ。)

「黒羽って、能力者だったの?」

倉木の俺の予想を超える食いつきに見せようと思った俺としても、また漏れてしまった、俺の素の感想。

「あぁ……めんどうだ……」

「な、なにが?」

(五月蝿いなあ。説明するよ。)


「はいっ、でぇ!?分かりましたか!?倉木サァン!?」

長ったらしい説明を終え、まとめして、こんな事を倉木に叫んだ。教室中、五月蝿かっただろうと思ったが、何度も、何度も、え?えぇ?んーと、つまり?と聞いてくるので、流石にウザくなって、叫んでしまった。

「……う、うるさいな、理解したって。」

流石に、呆れられたか。

「そ、そうか」

倉木は真剣な眼差しになり、

「でも、信じられるとかっていう訳では無いんだよなぁー、だって、俺の親友が、魔法使えるんだって!?取り敢えずメモはしたけど、やっぱり夢なんかじゃないかと考えてしまうんだが、なぁ、マジで現実(リアル)か……?…………はぁ、じゃあ、仕方ないな。もう諦めたわ。で、どうするの?」

結果、諦めたようだった。だが、分かってくれたかと思えば、なんか問われた。

「えっ、どうするって、何が?」

普通に聞き返す。

「だから、お前高校通うんじゃなくて、魔界?に行ったりとか、爆発の謎、とか解明したりさ。ねぇ?」

と問われると、

「あぁ、まあ。」

何となく相槌を打つ。

「だろ?」

……ちょっとウザいかも。

「あー、はいはい、りょーかいしました。んじゃあ、高校やめりゃいいんか?」

「あぁ、そうだな」

冗談で言ったつもりが普通に通すのね!?そして、俺はふざけてまた続ける。

「そうか、じゃあ、退学届け出してくる」

「あぁ、行ってこい」

「止めてくれよな!?」

倉木君は、冗談がわかっていらっしゃらないようだ。



*一分後*


「で、お前はその例のミンティアを食うと、お前のステータスが最大値に跳ね上がって、凡人の人間の五倍くらいの実力、と。また、それに加えて、全能力耐性、芸術性能センス、支援者、自己検索機能、階級最強上昇(レベルカンスト)、魔法習得、絶対才能:剣、超速再生、か。これでお前は、ミンティアを食えば……、あれ、ミンティア食ったら何分間その効果、持続するの?」

倉木にとってはふとした疑問だったのだろうが、俺は思うに、めちゃくちゃいい質問してくれた。恐らく、初めて使って、爆走した時、怪我して、初めは痛みなどなかったが、そのあとに井波が治癒(笑)をしてくれたので、痛みはなくなったのだが……。

「うーん?んじゃあ、4粒目、行ってみるか」

「おう」

そして、4粒目を食し、3粒目で何もしなかったスキルを起動させてみる。



脳が活性化し、全身に力がみなぎってきた。そしてまた、何かが聞こえた。

{いえじじsgしhklllllksk@W}@@w……command……set up………

初めまして。自己検索機能のナビゲーターのメロプロンです。あなたを手助けします。}

聞き覚えのない機械音声。それに俺は反応した。

(んん!?どちらさまで!?)

まさに、変な反応をした。

{私には自我がありません。私の性格を選択してください。1、二十代サラリーマン、2、二十代OL、3、おっさん、4、おばあさん、5、お姉ちゃん、6、お兄ちゃん、7、妹、8、弟、9、十代少年、10、十代少女}

(……ああ、ええと、はあ!?うーん、このなかだったら、余裕で……妹やな。)

{じゃあ、屑兄、なんか、よう!?}

く、ず、に、い、で、す、と!?

{くずにー、常時発動にする?YES?NO?}

(確かにかわいい妹の声ですね、ですが、何この主語のなさは!?まあYESにしますけど!?)

(で、聞きたいことを聞かせてくれ)

そう懸命に願うと簡単に了承してくれた。

{いいよー}

調べたいことを終え、最後に、

{じゃ、またね}

そういって、メロプロンちゃんは消えた。

そして、俺の視界に倉木がいるのを確認し、そのまま、手を掴み、

「ついて来い、倉木!」

俺は高々と叫び、

「ん、ん?」

と言い寄る倉木に対し、無視し、俺ら二人は転移して高校から消えた。

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道端に落ちていたミンティアには全ステータスを最大値にする能力があったんだが。 中々ななか @matuta2525

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