No.03
コンビニのバイトも終え、9時半になってアパートに帰ってきた。因みにこの家(部屋)は、コンビニのバイトで家賃も支払っている。バイトをすっぽかすなど、考えられぬことである。今まで1度たりとも無いことだ。
家のドアを開け、まずは3畳のキッチンの奥の部屋、リビングに行き、ベッドにダイブ。
「はあぁー、疲れたー、うぜーんだよ先輩とか言いやがってさぁもー、嫌がらせしてくんなよー」
そう言い、バイトの先輩の悪口を言う。当たり前だ、悪口でも言わなければ心が持たない。
スマホの電源を入れ、ソーシャルゲームでも開く。読み込み中に通学用バッグを除くと、まだミンティアが入っていた。
「はぁ……結局持ってきちゃったなぁ……。持ち物がいたようにも見えんし、別にいいよなぁ?んじゃあっ、もう1回、食うとするか!」
軽く言い訳を口にしつつ、そして、1粒口に含ませる。
「ーーッ!!」
再び、放課後あったような、そんな感覚。身体中が暑くなって興奮して、力がみなぎったような感覚が発生し、そして、何だか、俺の前にホログラムだかわからないが、ミンティアの箱から映像が投影され、俺の部屋の壁に映った。
その様子を見ると、工場にでもいるようなジャージの格好をしていたのだが、顔はヴァンパイアのような顔をしていたのだ。
「ひえっ……!?」
(なんだ、これ。マジで怖くて見てらんないんだが!?ん、喋り始めた……?)
「ど、どうも。この異界で人気な軽食、ミンティアを食べてみた感想はどうだい?怪しいと思う人が多いと思うんだ。そんな訳にも関わらず、2回も食べてくれたことに感謝しよう。君がどんなに弱い"魔物”だとしたって、私は構わないし、蔑んだりしない。だって、たった今から君は、この世界で敵はいないほどに、最強になるんだから」
一息置いて、資料を取りに行ったジャージ姿の誰かは、意味不明なことを喋った。恐らく、このミンティア自体に音声機能があるんだろうか、それとも夢だろうか。夢ではないのなら、この状況、聞き入ってしまったが、誰が説明してくれよう。最強になるからとは、どのような意味なのか。混乱状態のままの俺に答えをくれるかのように、壁に再び映った誰ぞや。
「っと、まだ重要なことを話していなかったようだね。つまり、このミンティアを1粒食べれば、君のステータスを最大値にする上に、多くのスキルが付与される。スキルの選択するのは、君だ。数百種類の中から、八つのスキルを選ぶと、スキルが得られるんだ。その中には、アルティメットスキルや、ユニークスキルがあるから、君を強くしてくれることだろう。
そして、この能力には忘れてはいけない重大事項がある。一つが、魔界神、ヴェルキュールを崇める事だ。この力は、神から授かりし力により、己を高めるもの。よって、異界の神か、下界神、デンルトモなどを崇めて力を使おうと、意味は無い。まぁ、魔物であれば通常は魔界神を崇める者だと思うから、説明は省かせてもらおう。
もう一つが、危険性についてだ。"試作”の為、効果適用時間もまだ分かっていない。急に発動がなくなったりする。常時発動スキルは残ったりするようだが、ステータスは元に戻るぞ。調子に乗らないようにしてくれ。衝動も高まったりするが、そんな事は余程に欲がある変異種ぐらいだろう。全体の1パーセントにも見たぬことは心配することもないな。もしもの事があったら、まぁ、我慢してくれ。
……おっと、最後にだ。この装置を開発した理由について、使用者には話そうと思う。1言で言おう。異界で、爆発事故が起きているとのことだ。その原因の追求と、解決か。結論でも構わない。それを知ることが出来たならば、魔王デキュレゾア領の魔王城まで来てもらいたい。20年程度、いや10年か、それぐらいかかると予想している。この装置を与える代わりだ、よろしく頼む。何故自分らでやらないのか、という疑問が出るか?ならば言おう。君も知ってると思うが、現在魔界では戦争が絶えない。私の仕える主も異界に行けるほどの猶予がないのだ。理解出来ただろうか?それでは、以上だ!ん、あ、、このあとに「世界神の名の下に、自分の個体名を言い、魔王デキュレゾアとのNo.01を用い、契約する」と。そう言って欲しい。では、本当に以上だ!頼んだぞ」
俺の壁から誰ぞやさんはきえた。
(……ハッ!?何言ってんだよ……。……、確かに高揚感はあるっちゃああるけども、何かの薬か?何拾ったんだろ?気が動転した変人が作った宗教への勧誘ビデオかなんかか?まぁ、今の俺の心っつうと、疑いが八十パー、理解出来ねえー二十パーなんだよな。うーん、これ、意味わかんねえけど……。あ、でもただのふざけた悪戯なら、どうせ言ったところで何も変わらねえんだ、試したって、いいじゃないか!)
そんな気持ちになり、俺はアパートの1室で厨二病なセリフを口にした。
「世界神の名の下に、ええと、俺、黒羽創季は、魔王デキュレゾアと、No.01を用い、契約する」
そう言った瞬間、俺の部屋が、俺の部屋でなくなり、見た事も無い、光に包まれた。
**
「黒羽創季よ、契約の証として、貴様に八つのスキルを与えよう。自由に選ぶといい」
声が直接頭に届いた。人口音声のような、感情のない声。
そして、多くのスキルとスキルの詳細が明確に記されて大理石のような石に記されたものが、何百と空中に浮き、また、俺が現れた場所の近くには、八つの入れる場所があり、すぐに理解出来た。
そして、俺は、探した。何千とあった種類の中から、至宝の八つのスキルを。
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