No.01
ーーおい、聞いたか、黒羽。遂に現実になるんじゃねえのか、これは。
おい
黒羽。
起きろ!
俺の話を聞けえっ!
「はぁ……?」
俺は、内心面倒だと思いながら、友人へと耳を傾けた。
「どうしたよ、倉木」
机に顔を向けながら、傍から見ると寝ているようにも見える構図で、友人、倉木(くらき)幸(こう)に問うた。
それを、喜ばしい表情で受け取った倉木は、本の記事を手に取り、話した。
「それがよ、遂にだ。噂だが、世界が終わる、終末が訪れるというんだって。びっくりしないか?」
(……おお、そうっすか、べつにどうでもいいけど)
俺はその程度に解釈した。なので、完全スルー。
「おい、黒羽!聞いてんのかー?……黒羽、創季君ー。生きてますかー?」
本名を呼ばれ、少々ドキッとした。今俯いた状態から起き上がったのはどこにでもいそうな高校生、黒羽(くろば)創季(そうき)だ。そして、俺は顔を向ける。
「うーん、生きてるよ、何?どうした?」
それに喜んだ倉木は、机の近くにあったバッグから写真を取り出し、興奮して説明をし始める。
「聞いてくれよな!十年前、滋賀湖で、爆発事故で、人が数名か亡くなったのは知ってるか?まあ、その自己を警察は解明しようとしたが、どうしようにも、成らなくてだな、警察も原因不明の爆発事故、としてその事故をまとめたんだ。それだけなら俺もどうでもないよな、と思うんだが、二年前、ヨーロッパの国で、さっきの事件と似たような爆発が起きて、数十名の人が被害を受けたそうだ。また、その国の警察は似たような事故があったという日本と協力して捜査した。だが、無駄だった。そして、だ。十日前、太平洋沖で似たような爆発が再び起こった。被害は出なかったようだが、漁船が写真に収めていたんだと。その写真がこれだっ!」
写真をみるが、海上に大きく爆発の様子がある。俺は、ただの誰かが仕組んだもの、と一瞬思ったが、する理由も見つからず、どうやって仕掛けるのかという疑問が生まれるが、別にどうでもいいやという結論を出した。
「おー、で、それで?結局、どういうこと?」
俺はどうでもいい、という結論を出したのだが、一応聞いておかないと倉木に怒られそうだ、と思って聞いておくことにした。
「んーと、だから言ったろ!今まさに!この世界!終わるかもしれないんだってことだっ!」
(…………は。えと、何言ってんだこいつ?)
「何言ってんだこいつみたいな目で見るのやめてくんない?」
的を言い当てられ俺は驚いた。
「いや、いや?何なの?別に?見てねえし?」
どうにか誤魔化しを入れるが、それは倉木に一瞬で看破されたように見える。
「いや、バレてるわ。何言ってんの」
(うげ。)
やっぱりだった。なので、反論しようと思う。
「……えー、まぁ、話を聞いた感想を言わせてもらうとすると、まず、世界は終わらねえよ!何言ってんだよ!確かにいつかは地球が無くなるのかもしんないけどもさ!無くなんねえよ?だって、温暖化は被害はあるが俺達が死ぬまでは大丈夫だろ、それに予言なんかは最近何度もあったけど」
そうやって俺は、持論を証拠とともに並べた。
「うん。正論だ。だが、この爆発事故、実は規模は大きくなっているんだ。つまり、どういうことかと言うと、この爆発事故の発生するまでの時間が短くなっていて、規模も大きくなっている事だ。だから、俺や、黒羽が死ぬまでにもっと頻繁に起きるから、俺らは巻き込まれるのかもしれないんだ。その爆発に。な?」
そう言われ、俺は何も言えなくなる。
「うーん……」
「まあ!どうせ悩んだところで俺たちじゃ何も出来ねえけどな!」
そうやって倉木は諦めた様子を取る。そして悩んだままの俺に向かって、
「んじゃ、この話はもう終わりな!お、さて、昼休みはもう終わりだな!授業受けるために教室戻るか」
悩んだままの俺は、倉木に強引に連れられ、食堂を出て
、授業を受けるため、教室へ移動した。
__
午後の授業も終わり、放課後。俺は俺らの高校一学年の美少女を高校生らしい妄想をして、帰ろうかと思い、席を立つと、倉木は部活に向かっていることを思い出し、ひとり帰路へ向かった。
(何してんだろな、俺。そろそろバイトでもすっかなあ、高校生となってもまだ何するか見つからず学校行っては何に熱中するでもなく帰ってネットを見るとかいうな……。ほんと、今俺が歩いてる時も倉木は頑張っているのだろうか、な。……あぁ、そう言えば、昼休みの話、ありゃマジかな。確かに有り得そうな話ではあるんだよな、原因は不明だが。恐いものだ。)
そんな事を考えていた時、不意に何かの感覚に襲われた。不快感というか、なんと言うか、変な気分になった。その感覚が大きくなっていた方向を見ると、光を見つけた。光が、あった。
その方向に向かって走ると、見つけたのは、薄い四角形?みたいな箱か?手に取って確認すると、気付いた。これは、
「ミンティアなのか……?」
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