「俺TUEEE」というやつは何がダメなのか

このサイトも結局は異世界もの一辺倒なのだろうか、ということを書きましたが。


異世界転生・異世界転移ものに対して批判的な言及がなされるとき、セットで槍玉にあがるのが「俺TUEEE」という展開でしょう。


チート能力を得た主人公が、特訓や努力をしないまま無双して、ヒロインや取り巻きからすごいすごいとチヤホヤされる話。


それが受ける理由はわかります。爽快感があるでしょうからね。


異世界ものが受ける理由というのは、すなわち俺TUEEEで得られる爽快感によっている部分が大半だといえるのかもしれません。


しかし、同時に根強い批判もありますね。


俺TUEEEはどこがダメなのか?


たとえば、水戸黄門やウルトラマンとは何が違うのか?ということを考えてみたのです。


印籠の威光でどんな悪役でもひれ伏せる水戸黄門は、いうなれば、黄門様TUEEEの話。


どんな怪獣にもほぼ負けなしのウルトラマンは、そのものずばり、ウルトラマンTUEEEの話。


なぜ、これらは許されて、異世界主人公は批判されるのか。


それはひとえに、無双展開にいたるまでに努力が描かれているか、というところに尽きるのではないかと。


水戸黄門に助けてもらう町屋の娘というのは、黄門様がたまたま旅で町を訪れてくれる前から、ずっと悪い代官に苦しめられながらも生きる努力をしているわけです。


ウルトラマンだって、防衛隊が必死に自力で怪獣をなんとかしようとして、いよいよもうダメだとなったときにしか助けてくれません。


凡人があがいてあがいて、どうにもならなくなった状況で、初めてすごい人が現れて助けてくれる。


だから水戸黄門もウルトラマンも批判されないわけですね。


その点、異世界ものの主人公はどうかというと、いきなり異世界に来ました、最初からすごい魔法を持ってました、で、ドカーン。


ただゲームみたいに能力で劣る敵をぶっ倒すだけ。そりゃあカタルシスも何もないでしょう。


強者が力を発揮するきっかけとなるはずの、弱者の努力というものを描かずに、いきなりゲーム感覚で魔法をぶっぱなす。


これこそが、俺TUEEE展開が批判される理由だと小生は思うわけです。


ということは、異世界ものであっても、主人公無双ものであっても、そこにいたるまでのドラマをしっかりと描いてさえいれば、批判されるような作品にはならないということですね。

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