第6話
「びっくりした?」
隣を見るとさっきの研究者が立っていた
研究者に首を振り続けるとふふと笑ってこちらを向き
「今から君の言っていたやり残しを無くすんだ、
君の言っていたあーちゃんとあーくんは今この時代に生きている
まだ間に合う。君の隣に2人が立っている未来を取り戻そう?」
あーちゃんとあーくんがこの時代に生きている、二人とも私の前から姿を消したのに、この時代にはまだ笑っている。
もしかしたら2人が生きていたら、泣いてくれるのかもしれない
一緒に遺された時を笑ってすごしてくれるかもしれない
二人に会える。
二人にもう一度会えるんだ、
そう思うと堪らなく涙が出る
2人の暖かい温もりがこの両手に戻ってきて、私がもう一度笑える未来が
暖かい、二人の笑顔が瞼の裏に映り今にも泣き出しそうなのを下を向いてこらえた
まだ泣くのにはまだ早い、
「やります!」
研究者は待ってましたというように私に歯を見せて笑い私の頭をクシャクシャに撫で口を開いた。
「とは言っても、これにもルールがあるんだ。
この過去に帰れる機械を持った僕から君が半径5m以上離れるとそこからどうやら帰れなくなるみたいなんだ。
そのまま君がこの過去に残ればタイムパラドックス、つまり矛盾が生じて君はこの世界から消えてしまう。」
「それを守ればいいんだね?」
頷く研究者に今更名前を聞く。
彼の名前は七隹翔(なとりしょう)22歳、私が見た限り顔はボサボサの髪とダサダサのメガネで隠されているけど二枚目の顔だと思われ、性格も二枚目だ。
「見えるかい?あれがあーくんこと綾瀬アカくんだよ。」
七隹さんが指さした方角に手をつなぐふたりがいた
その繋がれた手は私の左手であーくんはこの時は笑顔だった。
「ところで、なんでこの時代にこれたの?」
素朴な疑問をあーくんを追いながら聞くと七隹さんは自分が今一番行きたいと強く願ったところへ行けるんだよと小さな声で説明してくれた。
「あれ?」
あーちゃんの帰った先はあーちゃんのいつもの家ではなく大きな家
「どういう事?」
私が困惑する中「ヒナ」と私の名前が呼ばれた気がした。
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