藤色の天の川
一目惚れって知っていますか?
僕も、言葉だけは知っていました。
でも、今、実感しました。
僕は貴女が好きです。
そう思いながら、僕は少し離れた先で、キラキラと光沢する貴女を見つめます。
ああ、この思いを届けれるなら。今すぐにでも君の元に駆け出したい。
でも、それは運命が許しません。
ここに居る時点で。僕と彼女の運命は今日終焉を迎えるのです。
「元気でな。兄弟」昼時、皆がそれぞれ務めを果たします。
いよいよ、次は僕の番です。
逆らうつもりはありません。
でも、叶うなら。彼女の微笑みをもう一度見たかった。
そんな中、僕を手に取った男の左手に。彼女が居る事に気付きました。
「あら?」
「こ、こんにちは。ど、どうぞ、よろしくお願いします。」
「嫌だわ。そんなに、緊張なさらないで。
ほら、全身からうま味成分が溢れだしてる」
彼女の優しい微笑みに、益々僕は緊張しました。
「きゃ」「うわ」
それを、待ってくれる訳でもなく、男は僕と彼女を押し付けます。
「ごめんなさい、僕のうま味成分で濡らしてしまって」彼女の肌が、赤く染まります。
「ううん………貴方が相手で良かった……
実は、私。貴方の事をずっと見ていたの」
「え‼ 」僕は驚きました。
「ごめんなさい。迷惑だったわね。
でも許して。これで終わりと思うと……言わずにはいられなかったの……」
「ごめんなさい」僕の返事に、彼女は悲しそうに瞳を落した。
「貴女に先に言わせてしまって」「え?」
「僕も、貴女だけを見ていました。貴女を………愛しています」
「‼ 」彼女は僕の身体に強く寄り添います。
「嬉しい」その彼女の言葉が言い終わらない内に、僕達は、小さな女の子の口の中に投げ込まれました。
グチャグチャと、砕かれ、意識の無くなる中彼女が囁きます。
「離さないでね。ずっと…私を…ずっと」
僕は、苦しみを表に出さぬ様、言いました。
「離しません、ずっと一緒です」
ふと光った醤油の輝きは、まるで空に煌めく星々の様でした。
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