進撃のコンビニ(遭遇戦

 吹雪で前がほとんど見えない中、モモチ衆を斥候に使い進軍する。1000ほどを予定していた軍勢も、装備の分量を考えると800まで目減りしていた。極地戦を考えた装備になるのである位程度は仕方ない。

 その分精鋭を絞ったと考えればいいのであるが、雪矢伏兵、さらに神器クラスの武器に対する備え。はじめの二つはどうとでもなるが、神器クラスの武器は放たれたらそれこそ同じクラスの防具でしか防げない。

 緊張感を保ったまま進軍は続く。時折伏兵と思われる散発的な攻撃が加えられるが、負傷者が出る以上の損害はなく、ポーションで回復して先に進むことができた。

 こうして3日目、ナギが負傷したとされる場所にたどり着く。そこはまた峡谷状の地形で、兵力を集中しやすい。ソナーの魔法を使用して地形を探るが、射線を通しやすい段差があるようだ。要するに投射兵器を用いた遅延戦闘に向いた地形である。

 盾を構えた歩兵をじりじりと前進させ徐々に距離を詰める。幸いにしてと言うべきか、矢を受けても即死する兵はいない。ポーションや魔法で回復して戦列に復帰してゆく。

 そしてついに敵前衛にこちらの兵が切り込んだ。弓兵がほとんどのため、白兵戦になれば脆い。一気に切り崩すことができる。

「ふむ、ナギをやった奴は出てこなかったな」

「まあ、リソースが限られているのかもしれぬ。こちらも神器を使っての突破はなるべく避けねばならぬしのう」

「まあね。神器による魔力消費はポーションじゃ回復できないし、それにこれだ」

 エクスカリバーに鑑定をかけるとこう出るのだ。使用回数:31/33 と。

 これに気付いたときはぞっとした。これを使い切った時どうなるかは考えたくもない。これがごり押しできない理由である。

 盾は普通に攻撃を受け止めるくらいなら何も起きないが、結界などを張ると回数が減る。

 減るもんじゃなしと言うが、減るのだ。きっちりと。そして回復させる方法はまだ判明していない。


 ここに拠点を築く。背後を脅かされることも懸念したが、テハスに入る前の拠点、キャンプキャニオンと言う、谷間の拠点だからと言う何のひねりもないネーミングではある。に残した人員がいい仕事をしてくれていた。雪を掘り返して道を作り、物資を届けてくれている。輸送隊の護衛はライアン氏がホーミーと共に担ってくれている。と言っても襲撃がなく、今のところ順調だ。

「あなた、ある程度集まってから一気に奪うとか焼き払いに来る可能性もある。油断はだめ」

「そうだな。モモチ衆の皆には苦労を掛けてる。この戦いが終わったら労ってやらんとなあ」

「そう思ってくれてるだけでみんな頑張れる。けど、交代で温泉とかいいかも」

「ああ、王都の温泉宿に招待しよう」

「ん、ありがと。皆、聞いての通り。励んで」

「「「はは!」」」

 俺でも気配を意図的に探らないとわからないレベルの隠形とか恐れ入る。彼らを絶対に敵に回せないな。

「大丈夫、あなたが浮気とかしない限り」

「あたりまえじゃないか。けどちょっと後学のために、その場合俺はどうなるのかな? 暗殺?」

「そんなことしない。ちょっとちょん切るだけ」

「ナニをって聞かない方が幸せなんだろうね」

「大丈夫、信じてる」

「ああ、大丈夫だ」


 そしてここで情報収集を行い、同時に兵を休ませる。ここで焦っても仕方ない。

 捕虜から情報を聞き出そうとするがさすがに最終防衛ライン所属だ。筋金が入っている。ゆえに一番堪える方法を取った。少しこちらの糧食を食べさせる。その味に驚く。そして、目の前で宴会を始めてやるのだ。肉を焼き、スープを煮立て、揚げ物、炒め物を作る。

 そしてそれを目の前で食べる。とてもうまそうに。実際味はいい。

 仕切りで覆い、捕虜たちを分断し、名前を言ったらスープを飲ませる、などと文字通りエサで釣る。こうして、互いの相互不信をあおっていく。

 隣のやつはXXと名乗ったぞ。お前はどうなんだ?

 あっちの○×ってやつは飯と引き換えに情報を漏らしたぞ。お前はどうだ? お前だけ意地を張っても仕方あるまい?

 個人的にぶっ叩いたり切ったりと言うのは好きではない。というか、こいつらの食生活を考えたら、こっちの方が効果がある。

 うまい飯と言うのは心底を溶かす効果があると思うのだ。などとやっているうちに、捕虜10名が堕ちた。いまごろ唐揚げをほおばり、おにぎりにかぶりつき、味噌汁を飲んで心底あったまっていることだろう。くっくっく。さらに熱燗とかつけたら奴らは心から降るに違いない。けけけけけけけ。


 こうして仕入れた情報と、モモチ衆の偵察の結果で、目指す神殿はここからさらに2日の距離だという。そこには例のタブレットを操るやつもいるそうだ。

 決戦の時は近い。

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