戦後復興キャンペーン

 獣王は消滅した。塵一つ残さずに。

 城を包囲していたモンスターや魔獣たちは、獣王のなにがしかの能力で操られていたのか、散り散りに逃げる者、その場で同士討ちを始める者、ぺたーんと地面に寝そべり震えだす者。さまざまだった。

 なんというか、消し飛ばしまくったので魔獣素材が採れていない。城門が開き、組織的な行動をとれなくなったモンスターたちはそれこそ草でも刈られるように討たれていった。


「婿殿。見事だった」

「正直ナギのブレス耐え抜かれた時は焦りましたよ」

「あの少女は古龍につながる者か?」

「というか、神龍石を継ぐものです」

「なんじゃと?!」

「まあ、なるべくならオフレコで。古の大魔王と戦った神の眷属ときいています」

「う、むむ。本当に近々大魔王が復活しそうじゃの。と言うか、儂が万全であったとしてもあの獣王に勝てたかどうか」

「白兵戦じゃ勝てませんでしたねえ」

「シャレになってないわ」


 王都周辺は多くの魔物が跋扈している。ラグラン関門の方面にも散り散りになった魔物の一部が現れたが、大過なく打ち破ったらしい。

 王国方面からも冒険者派遣してもらう必要がありそうだけども、王国に襲撃が行かない保証がない。中々に厄介な状況だ。

 冒険者ギルドは魔国にも支部を置いている。魔王陛下経由で告知を出してもらった。同じくうちのコンビニからも資金援助と、物資の供出を行った。


「アベル兄上。大活躍でしたね」

「いやなに、バルドの指揮に従って戦っていただけさ」

 この戦いでうちのコンビニスタッフも市民から人気を博すことになった。防衛戦の英雄がいる店はこちらみたいな口コミが広まっている。

 おかげで、売り上げも伸びているようだ。そして思いついた。


「獣王撃退記念セール、今日からです! 防衛戦の英雄の絵姿がついてくる!」

「どうやったらもらえるんだ?」

「指定の商品を二つ購入していただくと1枚もらえます。中の見えない袋に入っておりますので、誰が出るかはお楽しみです」

「おっしゃ、これとこれでいいのかな?」

「はい、ありがとうございます!」

「……きたああああああああああ! バルド様だ!」

 ブロマイドを開封した若い男性の客がガッツポーズを決めた。

 その声に反応し、彼の手元のブロマイドを見ると、剣を構え兵を叱咤する凛とした表情のバルドが写っている。

 次の女性客は頬を赤らめていた。手に持った槍で魔物を討ち取るアベルの姿である。


 このブロマイドキャンペーンは大当たりした。そしてレアものとして、椅子に座り慈母の笑顔で大きなお腹を撫でる魔王陛下と、その横で微笑む王配ジェイド卿のブロマイドであった。これは配布された中でも10枚しか入っていないと発表された。

 獣王との攻防戦で何を守ったのか。それが一目でわかる内容になっており、王都の市民に好意的に受け入れられたのだった。

 ちなみに、一番人気はバルドで、次にブレスで敵を消し飛ばすナギの姿も、なんかお守り的な意味で人気を博した。

 アベルも槍を振るうその姿が若い女性に人気で、後日嫁さんに〆られたらしい。ほか、コンビニ店員の武勇は王都にとどろいた。武勇ってあたり、なんか違う気もするがまあ、評判がよくなったなら細かいことはさておく。


 ブートキャンプ番外編として、魔国王都付近の魔物狩りが始まっていた。そしてこの指揮を執るのがなぜかジェイド卿というか義父上である。さらに副官としてアベル兄さんである。

 ナギが店番をしてくれているので、店舗は問題ない。ないのだが、なんでまた王都のナンバーツーが魔物狩りをやるのか?

「とりあえず、ヒルダを守る力を手に入れる。それには魔物狩りではないかね婿殿?」

「はい、おっしゃる通りです義父上!」

 なんだろう、レベルとかステータスは俺の方が上だ。その気になれば一撃で沈めることができるはずなんだが……なんか頭が上がらない。

「旦那様。こういう時の父上には逆らっちゃダメなのじゃ」

「お、おう」

 とりあえず義父上もちでポーションとか食料とかを提供する。あとは魔法による支援をすることになった。ちなみに兵力は200。半数は親衛隊である。先日の戦いでふがいない働きとなったものが強制参加させられていた。

「貴様ら、我らの任務はなんだ!」

「「王都を守り抜くことです!」」

「王都を守ることとはなんだ!」

「「「陛下を命に代えても守り抜きます!」」」

「そうだ! 儂も含めて我らはまだ力不足じゃ。四天王もあと二人おるらしい。残りの二人は我らが手で討ち取ってくれようぞ!」

「「「「うおおおおおおおおおお!!!」」」」


「うん、士気が高いことはいいことだね」

「旦那様。気にしたら負け」

「そうだなあ」

「王都周辺の治安が安定すれば商売もうまくいくようになるし。治安回復に功績ありってなれば信頼もあっぷなのじゃ!」

「そうだなあ。第二弾もやんなきゃだしな」

 そうして俺は魔法で作った使い魔をばらまく。彼らの視点を共有し映像を取り込む。あとはそれを印刷すればブロマイドの出来上がりだ。

「あの、旦那様。私の写真を使うのはちとはずかしいのじゃ」

「おしわかった、バルドの写真は俺専用にするぞ!」

 そう宣言した直後、俺は取り囲まれていた。

「おう、うちの娘の写真勝手に商売のネタにしてんじゃないぞ?」

「いやその、義父上、誤解です」

 そう言いながらバルドの秘蔵写真を差し出す。子育てモードの奴だ。

 義父上は満面の笑顔を浮かべて、俺にサムズアップをしてから討伐に戻っていったのだった。

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