さようなら人類、こんにちは人外
しばらく時間をおいてから魔王陛下のところに戻った。真っ赤になったバルドさんがぷしゅーと湯気を上げている。俺の顔を見てさらに赤くなり、走り去ろうとしたところで再び魔王陛下につかまっていた。
「あらあら駄目よ。逃げちゃ。旦那様に嫌われちゃうわよ?」
「むぐぐ、それは、それだけは嫌じゃ!」
「あらあら、バルドちゃんのこんなかわいい顔初めてだわあ」
「私がかわいいのはケイタ殿のためじゃ!」
あまりに可愛いことを言うバルドさんを思わず抱きすくめた。
「あらあら、仲がいいわねえ」
「うう、放すのじゃ!」
「いやいや、ちょっとだけ、ちょっとだけ、先っちょだけでも」
「先っちょってあれか、あれなのか!?」
「そうそう、それの事よ~」
「はうっ!?」
バルドさんはオーバーヒートで失神した。ひょいっと抱き上げ、ベンチに寝かせる。
「というか、婿殿。貴方レベルいくつになったの?」
「あー、そういえば見てなかったですね」
「うん、見ておいた方がいいわ、多分貴方も人外レベルになってるから」
「はいい?!」
「さっきバルドちゃん結構本気で振りほどこうとしてたのね。頭に血が上って力をコントロールできてなかったわ」
「ほえ? そうなんですか?」
「それをあっさりと抑え込むあたり……私と互角程度にはなってるんじゃないかなあ?」
「いやいや、まさか……ステータスオープン!」
手元のタブレットにステータスが表示された。
名前:ハヤシ ケイタ
レベル:178
STR:884 筋力-武器や素手の攻撃力に影響する
DEX:879 器用さ-攻撃命中度に影響する
VIT:797 体力-生命力、防御力に影響する
INT:1512 知力-魔法攻撃力に影響する
MND:1415 精神力-魔法防御力、神聖魔法の威力に影響する
HP:15032 MP:20137
物理攻撃力:885
魔法攻撃力:1515
物理防御力:785
魔法防御力:1514
スキル:成長促進大:レベルアップ時のステータス向上にボーナス大
商機の閃き:カンで発注した商品が売れる可能性が高い
言語能力:すべての種族とコミュニケーションが取れる
ウェポンマスタリー:あらゆる武器、防具、道具などを使いこなす
マジックマスタリー:あらゆる魔法を使いこなす
かいしんのいちげき:クリティカルヒット確率極大
「うむ、予想はしておったが……」
ポカーンとしている。
ちなみに魔王様のステータスはこんな感じだった。
名前:ヒルダ
レベル:198
STR:1078 筋力-武器や素手の攻撃力に影響する
DEX:1056 器用さ-攻撃命中度に影響する
VIT:1123 体力-生命力、防御力に影響する
INT:987 知力-魔法攻撃力に影響する
MND:957 精神力-魔法防御力、神聖魔法の威力に影響する
HP:19785 MP:17805
物理攻撃力:1157
魔法攻撃力:998
物理防御力:1223
魔法防御力:980
物理で殴り合ったら勝ち目はないけども、魔法を使ってアウトレンジしたら勝てるかもしれない。俺どんだけ?
「本気で臣下に迎えるか婿にしたくなってきたわ」
「すでに婿ですよ。お義母さん」
「私よりもバルドが良いか。まあ、かわいい一人娘ゆえにな。そう言うてもらってもうれしいぞ」
「いえいえ、ところで今は独身なのです?」
「はは、そのようなことを面と向かって聞かれるのは久しぶりじゃの。バルドの父は知っておろうが?」
「ええ」
「ジェイドの奴め、若いころはもっとギラギラしていてあの野心も悪くなかった。じゃがの、領地を与え地位を持つうちにだんだんとちっちゃくまとまりよってな? あんな阿呆はこっちから捨ててやったのじゃ!」
「うん、すっごい未練たらたらですね」
「カインとアベルの母はすでに亡くなっておる故な。寝ぼけて朝日を浴びて動けなくなっているところを冒険者に討たれたとか……」
「えっと、それって本当ですか?」
「いや? ネタじゃ」
「人の生き死にネタにしないでください!」
思わずハリセンを振り下ろす。そしてそれはきれいに魔王陛下に炸裂した。
「いつつ、久しぶりじゃな、ダメージが通るような打撃は」
「えー? ほんとに俺人外なんですね……」
「よかったのう。アベルに聞いたが、バルドを守れるくらい強くなることが目標だったんじゃろ?」
「遠いかなたの目標がいきなりかなって俺もびっくりですよ!」
「はっはっは。まあ、あきらめよ。場合によっては婿殿一人で王国の王都を攻め落とせるぞ?」
「具体的には?」
「広域殲滅魔法とか使えば」
「皆殺しか!?」
「うむ。更地にできるじゃろうなあ」
「其れってつまり……」
「婿殿は世界最強の魔法使いということじゃ」
「俺まだ30になってませんよ?」
「意味が分からん……なるほど、そういうことか」
「うっわ、思考読みやがった!?」
「婿殿が駄々漏れすぎるのじゃ」
「まあ、あれじゃ。バルドには言いきかせておいたし、早めに子供の顔を見たいぞ」
そう言うとしゅたっと手を上げ、魔王陛下は去っていった。
途中から話を聞いていたバルドさんがウルウルした目で俺を見てくる。
「ケイタ殿は……私の王子さま?」
「へ?!」
「私より強い、わたしを守ってくれる王子様なんじゃな?」
「ああ、君をずっと守る!」
「うれしい!」
そのあと部屋に籠ってむちゃくちゃ……以下黙秘します。
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