第26話 嘘
蒼時は空港で劉の為に救急車をを呼んだ後風紀委員から怜王による国連軍基地の襲撃を聞いた
そして今9時を回り辺りが暗くなっているアスファルトの上を歩いていた
向かってる先は神無の居る女子寮だった
神無は相当心配していたので顔を見せなければ外に出て蒼時を探しに行くと考えたのだ
しかし外は各国軍が居るので誰も出歩いて居ない
その為女子寮に急いでいたのだが蒼時を不意に止める声が夜と言う闇に響いた
「あれ~こんな所で何してるのかな~外出禁止令は出てる筈だろ~?」
挑発的な喋り方だったが蒼時は冷静に
「すいません、知りませんでした。今帰ります」
怖がりもしなかった蒼時の態度に不満を持ったのか腰のホルスターを触りながら近づいた
「おいおい!皆来てみろよ!こんな夜に出歩いてるぞ!これって黒神の仲間の容疑があるから殺して良いんだよな?}
男の声に周囲に人が集まった
「いいねぇー、折角暴れれると思ったのにここの学園が無能だから黒神に遭遇すらしなかったからな。殺すか?」
蒼時はその場から逃げようと思ったが周囲を囲まれている為走って逃げる事は不可能だった
「もしかして逃げようと考えてないよね~?」
その言葉を聞いた周囲から大きな笑い声が木霊した
蒼時は言葉を放った男の目を見て
「ここで俺を殺すは勿論殴りでもしたら外交問題に成りますよ。最悪軍法会議であなた達の処刑が決まるでしょう。だから」
蒼時の言葉が男たちの癪に障り蒼時を殴りつけ言葉を遮った
不意の殴打で倒れかけるが耐えて殴られた傷口の時間を戻して直した
その一連の動作を見て
「おい!このガキ傷が治ったぞ!!これはサンドバック確定だな!なぁクソガキ確かに俺がお前を殴るのは大きな外交問題だがクソガキのお前が俺達を殴るともっと大きな外交問題に成る事位知ってるよな?}
大人が子供に言う台詞では無かった
そんな言葉を聞き蒼時はいつもの様に苦笑して
「殴れるならやって見ろよ」
男達は蒼時の挑発に怒りを爆発させた
「おいクソガキ!お前さっき殴られてんだぞ、どっからその言葉が出て来るんだ?
あぁ?ここはもう人が来ねぇそれも分かってんだよなぁ?」
蒼時ははぁとため息を一つ吐き
「それは勝ってから言うもんだぜ」
その言葉を聞いた瞬間目の前の男は我を忘れ蒼時を殴りかかった
蒼時は神経伝達速度の時間を加速させ周りの景色がスローに見える様にした
男の大振りの殴りは蒼時が右足を軽く後ろに引き体を逸らすだけで虚空を切った
その光景を見ていた男達は我先にと蒼時を殴り付けた
最初はスローで見える為躱すのが簡単だったが相手の数が増える事に死角を突いたり 躱すのが物理的に不可能な方法を使ってきた。そう相手はプロなのだ
そんな状態の中倒れる音が聞こえた
音自体は軽かったので相手の軍人では無い事は直ぐに分かった。でも蒼時でも無かった
(まさか・・・)
蒼時の最悪な考えを後押しするように近くに居た男が声を張り上げた
「見ろよこれぇ!!女だぜ!こんな時間に出歩いてたんだ体の中を隅々まで尋問しないとな」
蒼時からは見えない少女の悲鳴が響いた
それでもその少女は意を決して立ち上がり集団に声をかけた
「何をやってるの・・・?}
近くに居た男が声を上げた
「君には関係の無い事だよ!君はこれからもっと楽しい事をするんだからぁ」
少女はその男を突き飛ばした
「おい皆!今のはどこからどう見ても暴力行為だよな?尋問するために声を掛けたら暴力行為かよ!外交問題だぞ!これは殺されても文句はねぇよなあぁ!!」
男は腰のポーチからナイフを取り出し大きく振りかぶり少女に振り下ろした
しかし聞こえたのはナイフの刺さる軽い音ではなくがたいの良い男の倒れる音だった
蒼時は少女の方を振り返り
「寮で待機って言っただろ?神無」
その言葉を聞き神無は安心したのか涙を流した
「だって、だって・・・でも助けてくれるって信じてたよ」
蒼時は泣いている神無の頭に軽く手を置き撫でると男たちの方を向いて
「早く大人になりたい奴から来い。物理的に成長させてやるよ」
その言葉を聞き男達は声とは言えない奇声を発して
近くに居た男が死ねぇぇと声を荒げ蒼時に殴り掛かった
蒼時は一歩男に近づき殴ろうとしている手を掴み男の時間を加速させた
そして男は絶叫と共に自分の変わった姿を認識した
「ああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!何だこれぇぇぇぇ?!」
男の体は急に成長させられた為激しい成長痛を全身で体験し体が70歳位まで老化させられた
その光景を蒼時は見る事も無く男達に声を投げかけた
「ほら早く来いよ、外交問題なんだろ?連行させてみろよ」
男達は一斉に殴り掛かるが蒼時が避けて体を触るだけで老化する為士気が下がり始めた
その様子を見て二人の男が前に出て来た
「舐めた真似よくしてくれたね。ぶち殺して上げるよ」
「お前らは下がれ、意味も無くやられるぞ」
蒼時は二人の目を睨んだ
2人の男が手を前に出し蒼時ではなく神無に手を向けた瞬間
「また止めたの?」
「今は急がなくちゃいけないからな。走るぞ!」
そういって二人の男の頭に手を触れその場を後にした
軍の気配が無くなったら時間を進め
「これからどこに行くの?」
「神無は寮にって戻らないか・・・」
神無は地団太を踏みながら
「そうだけど!そんな事よりどうすんの?}
「ヘリポートに新入生歓迎会の中継をするヘリがあるんだ。それを奪う」
神無が腕を組み
「分かったよ!」
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