第21話 遺言

神無は交通機関の麻痺により人が大量にごった返している道路を歩いていた


いや、歩いていたと言うより通り抜けてたの方が正しい


そんな神無は自分の寮を目指していた


53万人も居るこの学園は敷地面積が大きく校舎から寮に行くだけで電車を使う距離だ、だから相当量の距離を歩いた事に成る、それでも寮の目の前には着いていた。それでもかなりの時間が経っていた


事実少し日が暮れて青かった空がオレンジ色に成っている


そんな時神無の電話がバイブレーションで震えた


相手は蒼時だ。蒼時は怜王の動向等風紀委員から得た情報を神無に漏洩させていた


電話を片手に神無は自分の寮の中に入った


寮は平常時と比べたら人は多いが外に比べたら人口密度は少なかった


自分の部屋前に着き神無は自分の部屋に入り明かりを付けた


部屋は質素で普段と何も変わらず同居人のクローゼットが少し汚いなと思う程度だったが一つの違和感を覚えた


それは男物の上着があったのだ


学園は制服が支給されてるが強制は行事以外特に無い、けれどそれは制服だった。


制服は男物だった


蒼時の指示通り調べると一枚の紙が入っていた


「・・・蒼時君これ遺言だよ」


「何?何で分るんだ?」


「秋陽ちゃんの死に方、クラスを荒らした犯人が怜王君で怜王君は爆弾をクラスに仕掛けようとしてたとか書いてる・・・」


神無は紙を写真で撮り蒼時に送った




内容は


これを見てる時俺はもう居ないだろう。理由は殺されたんだと思う、探しても死体どころか遺骨も見つからないだろう。秋陽の死に方がそうだった。


単刀直入に言う犯人は黒神怜王だ

俺達がクラスに戻るとあいつは爆弾を持っていた、恐らく前回荒らしたのもあいつだ。


あいつの目的は分からない。でも風紀委員本部襲撃とか馬鹿げた事を言ってたその後は国連軍太平洋基地に行くと言ってた。


僕の知ってる情報は以上だよ


聖夜より



「神無!これ本物か?」


「多分、これが嘘でメリットがある人は居ないと思うから」


「なら、次の目標は・・・まさか!」


神無が電話越しでも分かるくらいきょとんとしながら聞いた


「どこなの?」


「東京学園国際空港、怜王の目的は空港だったんだ」


神無は訳が分からず慌て蒼時に聞いた


「な、何で?!」


「説明は後だ、神無は寮で待機だ」


神無は蒼時が心配で一緒に居たい思いが強くなり


「や、やだよ!私も行く!」


「良いから待機だ、後で迎えに行く」


「ホント?」


「俺が嘘ついた事あるか?」


神無が素直な口調で


「数え切れないほどあるよ」


そう言い返されて少し困ったが


「まぁ・・・今回は信じてくれ」


「うん!」


(嘘なんだけどね・・・)









会議室に4人の男が座って居た


会議室は広く4人では勿体ないほどだ


男達は一人を除いて全員太り、高そうなアクセサリーを大量に付けていた


「計画はどうだね?フッフッフッ」


例外である痩せた青年が答えた


「はい、順調です。」


「風紀委員を襲って今も逃亡中とは、内の国に欲しい、ンッッフッンッ 平和を乱す奴だな」


「その通りだよ~僕たちの部隊を使ってね」


「はい、存分に使わせてもらいます」


(フッフッフッ風紀委員本部を襲った馬鹿が居ると連絡を聞いた時は驚いたよ、でもそいつが逃亡出来るなんて・・・我が中国に逃亡者を捕縛して持ち帰れば出世は間違いなし、そのためなら軍を貸す事も痛くも痒くも無いわ、フッフッフッ)


「でも、軍を動かすには風紀委員が少し邪魔だな~、内のアメリカ軍が一回風紀委員にお世話に成ったし」


「それも大丈夫です。風紀委委員長を含めた風紀委員最高戦力の6人は出撃できません、それに風紀委員による黒神の追跡も遮断しました」


顎のひげを撫でながら


「フッフッフッ相変わらず仕事が早いな」


「軍を動かすあの手腕には敵いませんよ」


「黒神を捕まえた軍がその後の措置を取れると言っても皆で協力しましょうね、我らフランス軍が圧倒的ですが、おっと何でも無いです」


男は何か思いつき顔が少し暗くなった


「フッフッフッそれより国連軍の大将が学園には居るらしいですが大丈夫ですか?」


「ご心配無く、大将は事情を知らせず部屋に居る様に指示してます」


タブレットをいじりながら


「気を付けてくれよ~相手は老人でも神話名ミソロジーネーム持ちなんだろ~そんな奴が出てきたら処理がめんどうだよ~今回動員したアメリカ軍中国軍フランス軍の中には神話名ミソロジーネームは居ないんだから~」


「フッフッフッそれは神話名ミソロジーネームの絶対数が少なかったのと動員するのに政治が絡まるからでしょう?」


「そうだよ~だからこそ神話名ミソロジーネームの大将が出てきたら僕困るんだよ~神話名ミソロジーネームも武具じゃなくて神の名だし~」


男は腕を組み


「フッフッフそうですな」


(フッフッフッ配慮が足りませんね皆さん。私は神話名ミソロジーネームに成れなかった者を二人動員してます。フッフッフ頭一つ出てますねぇ)


「黒神君友達とか居ないの~学園内には生徒会長を始めとしてあの学園には7人の神話名ミソロジーネーム持ちが居るんでしょ?犯罪者の肩を持つとは思えないけどさ~一応ね~」


「7人とは面識が無いとこちらで把握してます、それに7人は性格な問題がありますから助けを求めても意味は無いかと」


「フッフッフそれは安心したよ、でも交通機関が麻痺して生徒が沢山路上に居るんだろ?殺しても良いのかな?」


語気を強めて言葉を放った


「人が居ない所までこちらで誘導しますから殺してはダメです。各国と外交問題になりますよ」


「忘れたのかい~『指定教育施設不干渉条約』を僕らは結んでるんだよ~そんな事したら経済制裁だけじゃ足りないよ」


「チッ フッフッフッ分かってますよでは仲良く皆で手を取り合いましょう」


「そうだね~」


「分かっている」


「ではこれで解散ですね」


会議室を出て4人は直ぐに秘書を呼んだ


「フッフッフッどの軍よりも早く黒神を捕まえろ」


「どの軍より早く黒神を捕まえてね~」


「各国の軍より早く黒神を捕縛しろ」


「手段は問わない」

「手段は問わない」

「手段は問わない」



参加国は秘密裏に黒神捕縛作戦に参戦した

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