第18話 欠席
少し時間は遡り蒼時達は秋陽達と駅前で別れ電車に乗り込んだ
電車内は広く普通の電車の1,5倍はある。それに部活等の関係で皆の帰宅時間はバラバラの為混むと言う事は登校時間のみだ
そんな人が少ない電車で
「ねぇ!この乗り物って何でジャンプしても飛ばされないの?!}
神無が無邪気にジャンプして周の視線が少し刺さった
「取り合えず落ち着こうか、神無」
「分かったよ」
神無はふかふかの石油で出来たとは思えない椅子に座った
「飛ばない理由は慣性の法則さ、大きなお友達はこれを読んでも退屈だろうから話は飛ばすよ」
「意味不明な回答だし、回答じゃ無いし」
そんな話をしていると駅が神無の女子寮前に着いた
「また明日ね!蒼時君!」
「今日は金曜だから明日は休日だぞ」
「でもいいじゃん、遊びに行こうよ~」
「分かったから、扉閉まるぞ」
神無は再び手を振りながら去って行った
そして蒼時は
(もう少し神無を大人にさせないと・・・)
と悩んでいた
何駅か通り過ぎ神無が送ってくるメール量が多く既読無視していると蒼時の住む男子寮駅前に着いた
蒼時は寮に戻った
寮のドアを開けると誰も居なかった
「怜王、いないのか?」
怜王は今日、体調不良で休みの連絡を入れこの部屋で休んでいる筈だった、しかし、怜王は居なかった
部屋は割と綺麗でご飯を食べた事は分かった
(これはカップラーメン、見る所まだ若干温度が高いから食べたのは3時間程前かな?何しに行ったんだろ?)
そんな事を考えながら神無の借りて来た『祝魔法はどうやって生まれたのか徹底論争』と言う第2次世界大戦のノンフィクション作品を読んで時間を潰していた
5分に1度来る神無のメールを10回無視した時扉が開いた
「おかえり怜王、体の具合は大丈夫?」
「心配してくれてありがとう、僕はもう大丈夫だよ」
「こんな時間までどこに行ってたんだ?」
「教室に行ってたよ、ちょっと忘れ物してたから」
「そう、聖夜たちには会った?」
「会って無いけど、何で?」
「聖夜達も戻ってたから会ったかなと思って」
「まあ、体調不良で休んでるから会わなくて正解だったね」
怜王は不敵に笑い蒼時は何も気付かず1日が過ぎた
休日は大量の神無からのメールによる呼び出しで蒼時と怜王は出かける事に成った
「聖夜は電話が繋がらなかった、星野もらしいから二人で出かけてるのかな?」
怜王は首を傾げ
「何だろうね?二人に限って何かされる事は無いと思うけど」
そんな話をしていると神無が集合場所に遅れて来た
「ごめん、遅れた」
「いつもの事だし、」
「僕たちも今来た所だから」
「で、映画だっけ?何見るの?」
神無は腰に手を当て胸を張り
「ふふん、今日は『奪われたシステム君はどうする?』と言う冒頭は妻を殺された軍人の話だけど中盤になると妻の霊が出てホラーに成って終盤は霊の妻と法廷で競うリーガル物に成るストーブ監督の長編作だよ!佐藤さんは革新的過ぎて付いてけ無いと言った代物だよ!」
「ごめん、俺帰るわ、用事が出来た」
「ちょっと待ってよ!チケットは買ってるんだよ!何が不満なのさ?!」
「まずタイトルから本編がかけ離れてるのと内容が2時間に纏められてるとことか、佐藤さんとか聞いた事無い人とかかな!」
「佐藤さんは日本を代表する映画評論家だよ!凄い人なんだよ」
「経歴は?」
「生後3日で立って3歳の頃には戦争へ、12歳の頃に日本に戻って来てケーキ作りを始め、そこから5年間花嫁修業をして自分は男だと気付いてから九州で黒魔術の研究を毎日やってる人だよ!」
「映画コメンテーターじゃ無いだろ!」
「蒼時君、そこじゃ無いだろ」
「良いから!もう始まるから行こ!」
「嫌な予感しかしない・・・」
「まあまあ、僕も行くから」
映画を見終えた3人は
「面白かったね!」
「登場人物かエキストラか良く分からない演出はやめて欲しい」
「僕は開始10分でアウトだよ、回送を思い出ビデオにするのはどうして何だろ?」
「二人とも分かってないね!そこが良いんだよ!そこが」
そんな会話をして1日が終わった
土日が終わり登校日に成った
「あれ?聖夜どうしたんだろ?」
登校は怜王、蒼時、聖夜の3人で登校して途中で神無と秋陽のグループと合流するのが普通だった
その為聖夜が来ないのはとても珍しかった
「僕、ちょっと呼んでくるよ」
20分後位に怜王が一人で戻って来た
「ダメ、部屋には居ない。先に行ったのかな?」
「取り合えず遅刻するから行こ」
神無と登校途中会ったが秋陽の方も部屋には居なかったらしい
「それより、秋陽ちゃん3日間1日も帰って来てないんだよ!」
とそんな疑問が出ながら校舎に着いた
教室の前まで来ると前回の演習は命懸けで戦ったのにそれを気にする様子もなく談笑している人達の声が聞こえた
聖夜達が居ることを願いつつ扉を開けると
目の前には8人位の生徒が居てどれも聖夜達では無かった
教室に入り鞄を机に掛けると扉が開き振り返ると、違う生徒だった
その後も聖夜達は来ず1時間目が始まり、終わった
授業の後の10分間休憩で3人は集まった
「絶対おかしいよ!だって3日も寮には戻らないし、学校にも来ない」
「僕もそう思うよ」
クラスも二人の行方が気になるのか自然と3人の会話に意識を寄せて周りの会話量が少なくなる
「俺はこれから風紀委員に行くから神無は学校に来るかもしれないいから待機、怜王は寮周辺を捜索してくれ」
「分かった」
話が終わろうとしていたら一人の少女が話に入って来た
「私にも手伝わせて」
反応したのは神無だった
「あ、藍原さん。良いんですか?}
「だって、黒神君だけじゃ女子寮周辺は満足に探せないでしょ?」
それを聞きクラスの全員が
「俺は違う駅周辺に行ってみるよ」
「私は商店街の方に行く」
「私は発電所の方」
と口々に発して
「何か気付いた事があれば教室に連絡しろ、神無はその情報全てを纏めて俺に渡せ」
「分かった!」
プチ学級崩壊を作り出しクラス総出の捜索が始まった
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