第17話 目撃
一日掛けた模擬戦が終わり、辺りは少し薄暗くなっていた
広いグラウンドを後にして4人は寮に戻っていた寮までの距離は長く通学に電車やバスが必要な程だ
でも中の交通機関は学生の為お昼は使わないからお金が浮き学園が運営している乗り物は無料と成っている
そしてその駅に4人は向かっていた
「結局さ、天水とかはどうやって倒したの?インチキ?」
「一言多いぞ」
それを聞いて蒼時は唇に指を当てて
「秘密だよ、でも何度でも使える訳では無いよ」
「イケメンだと絵に成るな~、聖夜なら引くしかないけど」
「ほんと一言多いな!」
そんな話をしながら駅の近くに着いた
改札はカードを押せば通れるのだが
秋陽が鞄の中を漁りながら
「あ、あれ~?財布が無いぞ?」
「だ、大丈夫?」
「うん、多分教室。グラウンドに出る時の着替えかな?」
「送ろうか?」
「良いよ、私には荷物持ちの聖夜が居るから」
「俺かよ・・・」
「光栄だと思えよ!」
「はいはい」
二人は少し駆け足で教室の方へ戻った
校舎に着くと人が誰も居なく少し不気味だった
「そういえば部活どうする?」
「サッカーとかかな」
「ふ~ん、向いて無さそうだね」
「一言多いぞ」
と話して居たら教室の前に着いた
教室の中では何か音がして入ってみると
「あんた・・・今日は体調不良じゃなかったの?」
怜王が居た
怜王は手に四角い箱上な物を持ち机に腰かけていた
「うん、もう元気だよ。心配してくれてありがと」
「その箱は何?」
「びっくり箱かな」
秋陽はおかしいと思い箱周辺の空気を操り自分の元へ寄せた
「こ、この匂い、火薬・・・」
「バレたか、ホント君たちは勘が良い。動物的な本能かな?人間は野性的な所を見せたがらないのに危なくなったら野生の勘が働くとはほんと傲慢だね。」
「な、何を言ってるの?」
「気にしないで、それよりこの箱が爆弾だって良く気付いたね。尊敬するよ。でも気付かない方が幸せだったかな?いやどっちでも結果はかわらなかったかな。まぁ運命は決められてたり決められてなかったりと無限の可能性があるんだから一概には言えないよね」
「その爆弾で何をするつもり・・・?」
「何だろうね?爆弾の使い方をするのか、オブジェとして飾るのか。まあ、君達には良いことが起こらない事は断言できるよ。ただダイナマイトは最初は人を殺す目的じゃない事位は知ってるだろ?それと同じように僕の手には無限の可能性が秘められてるんだよ。まあ意味は分からないだろうけどね」
「だから!クラスで何をしようとしてたの?!」
「直ぐ答えを知りたがる。それは人間が知的好奇心に流されてる状態だよ。端的に言えば理性が無いかな。でも僕は人が成長するのは嫌いだけど堕落するのは好きだから君の言動は好きだよ。自分の可能性を自分で下げてるんだからね。おっとこれも意味が分から無からないかな?まあ良いよ。後正解は君の考えてる事で多分、いや、絶対合ってるよ」
秋陽は情報が脳に追い付かず錯乱した
「じゃあ、この教室を爆破しようと・・・な、何でそんな事するの?!それにクラスを荒らしたのもあなたなの?」
「また答えを聞こうとする、君たちは傲慢で怠惰な生き物だな。動物の中で何故人間だけが顔を赤くするか知ってるか?他の動物と違って人間は恥ずかしいと思う事があるからだ、いや思わなくちゃいけないからだよ」
「あなただって人間でしょ?!」
「そうなのかな?ただ人間を人間たらしめてる物の基準が感情とかなら僕は昔人間をやめてるね」
「秋陽、風紀委員に連絡するからちょっと待ってて」
「させると思うかい?なんでも自分の思い通りに行くと考える。まったく君たちは友情、努力、勝利の世界で生きてるのかい?世界は残酷で不平等で不条理なんだぜ」
そう言いながら怜王は腰かけてた机から降り3歩聖夜の方へ向かった
「ち、近づくな!聖夜は早く連絡!」
「僕の正当な権利を侵害しないでくれ、生まれつき5体満足で生まれてるんだ。だからその権利を君は侵害できないよ、これ位は分かるよね?意味」
「秋陽!電話がつながらない!」
「は?!そんな訳無いでしょ!}
そういって秋陽は電話を取り出し電話を掛けると
「か、掛からない?!」
そう思い後ろに下がろうとすると手に持ってた電話が一瞬で消えた
「う、嘘?何これ?何が起こったの??」
「何だろうね?ただ言えるのは君たちを返さないって事だけかな」
「聖夜構えて!相手は何らかの能力を使うから」
「逃げたりはしないの?!」
「逃げれるとは思えないし今は2対1こっちの方が有利!使わない手は無い!」
秋陽が言い終えると聖夜がサブマシンガンを取り出し、凄まじい発砲音と共に怜王に向けて撃った
その発砲音と同時に秋陽は刀を出しながら後ろに後退して聖夜と並ぶ形に成った
「作戦はいつものプランBで行くよ!ってねぇ、聞いてる」
聖夜は相手の方を見て茫然としていた
「ねぇ、こんな所で遊ばないで!」
「・・・あっち、見て」
言われて怜王の方をしっかりと凝視すると
(ハッ!そんなまさか・・・)
目の前の怜王は無傷だった、ただそれだけなら能力で弾いたと思い終わりなのだが。
(聖夜が撃った弾の跡が全弾無い・・・)
流れ弾等で窓ガラスや床が銃弾で穴が開くものだがその後は一切無かった
茫然とした状態から回復し指示を煽る
「どうする?!」
「取り合えず、遠距離で相手の能力を調べる」
その瞬間教室内で強い風が吹いた
否、教室の中では一部だけ吹いて無かった。それは怜王の立っている所だ
その強風の中聖夜はサブマシンガンを発砲した
その瞬間秋陽は一部の風をさらに強くして弾の軌道を縦横無尽に変えた
そしてその弾は全て聖夜の能力によって破裂させられ数十発の全方位から来る弾が数百発の全方位から来る弾に変わった
破裂と強風の影響で埃が舞って視界が遮られるが風を操り埃を外に出した
(う、嘘でしょ・・・)
視界がクリアに成るとそこには無傷の怜王と無傷のいつも見てる教室があった
「あ、あの銃弾の嵐からどうやって生還したの?!」
「それを調べる為の攻撃だろ?それじゃあ答えが見つからなかったって自分で言ってるような物だよ。自分のカードを自分で無くすとは、君たちは凄いね。見てて楽しいよ」
それでも二人にはまだ希望が合ったそれは聖夜が撃った弾を全弾破裂させた訳じゃ無いのだ。
2発だけ残っている。そしてその2発は一発が前に出てもう一発が後ろに付き、一発だけを見えなくする弾丸だった
それを埃を外に出した瞬間に軌道を変え怜王に当たる様にしたのだ
(良し!当たる)
怜王の真後ろから近づき怜王は気付いていない
そして怜王の近く5メートル程に入ると
(き、消えた?!何があったの?!)
「聖夜!弾が消えたわ!恐らく遠距離は効かない。私が接近戦で行く!」
秋陽は刀を抜き出し風を操って自身の速度を速めて
「ハハハァァァァァァ!」
相手に向かった、しかし、相手に一番近い剣先が怜王に近づくと消えて勢いを殺せず体全体が5メートル以内に入ってしまい
秋陽の体は血が一滴も出る事なく消えた
「う、嘘だろ?どこに行ったんだよ・・・秋陽をどこにやった?!」
「そう焦るなよ、僕は信じて無いが天国か地獄のどっちかには居るんじゃないかな。君も連れて行ってあげるよ。」
「う、うるさい。黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!」
「君に何が出来るんだい?数が多く有利だったが結局僕は無傷で君は一人に成った、それに軽く錯乱して冷静な判断が出来ない。そんな君が何をするんだ?」
「ぶっ殺す!」
「頑張って、応援してるよ」
その瞬間聖夜は着ていた上着を脱ぎサブマシンガンを連射しながら相手に突っ込んで行った
怜王は苦笑しながら
「ホント、面白いよ。君は彼女が残した人間らしい観察の成果を使わないんだね。愚かで救いようがない」
そして聖夜の体が怜王に近づき。血も落とさず消えた
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