第16話 模擬戦2

広いグラウンドで模擬戦の続きが行われていた


蒼時達の試合が終わり怪我人の都合で何度か中断した為時間が2時に成ってしまったが次は聖夜の番だった


「次は漆葉 聖夜対天水 京谷。二人とも前へ出ろ」


二人はグラウンドの中央に移動した


聖夜はサブマシンガンを少し点検して構えた


相手の京谷もアサルトライフルを構え戦闘準備に入った


沙雪がマイクを手に


「始め」


その瞬間二人は体を重力に任せて横に転がり元居た場所が両者の発砲音が聞こえた瞬間に土が捲れ上がった


二人はほぼ同時に立ち上がり後ろに回避した


ベンチでは秋陽が不思議そうな顔で


「あれ?聖夜は距離取ったら不利じゃ無いの?」


すると神無がいつもの様にきょとんとした顔で


「どうしてですか?」


「だって聖夜はサブマシンガンで相手はアサルトライフルでしょ。距離が離れれば性能が高い相手が有利になる筈なんだよ・・・何を考えているんだ?」


と二人が会話をしていると二人はまた銃を発砲した


京谷のアサルトライフルから出た弾は確実に聖夜に近づいていくが聖夜の撃った弾はあらぬ方向に飛んで行った


「おい!それだけじゃつまらないだろ!もっと狙えよ!」


「勝手に言ってろ!」


しかし京谷の照準は着実に聖夜に近づいて行った


(チッ!ここは少し引くか・・・)


と思い斜めに後ろの移動しようとした瞬間に脇腹に銃弾が刺さった


「い、痛っ!!」


脇腹から出る温かい鮮血を手で押さえながら後ろに後退した


「さっきの威勢はどうしたんだ?」


と京谷が言葉を発した瞬間に聖夜の体が重くなった


(な、なんだこれ?)


聖夜は傷口が開きさらには血の出すぎで貧血も引き起こし地面に倒れた


「く、くそっ!ま、まだだ・・・」


「そこからどう起死回生するつもりだ?」


京谷は余裕そうな顔でアサルトライフルのマガジンを交換した


京谷は確実に仕留める為歩いて距離を詰めようとした


「体が重いだろ?何故かっ。おっと」


京谷が喋ってる途中に聖夜が発砲した、しかし、京谷には当たらず京谷は発砲を警戒し直線ではなくジグザグで移動し始めた


「セリフ位は最後まで言わせてくれよ」


「う、うるさい・・・」


「そう言うなって、お前には重力を掛けたんだよ。でも俺の能力はあまり使い勝手が良くないんだよ。範囲は10キロなのに重たく出来る場所は直径1メートル位だぜ。それに掛けられる重さも30キロ。簡単に抜け出せてしまうんだよ。」


「だからどうした」


「だから、相手に怪我を負わせないと満足に使えないんだよ。でももう俺の勝ちだね」


それを言い終えたら聖夜がいきなり笑い出した


「な、何で笑ってるの?」


「俺の能力を言って無かったな」


「そんな精神状態でこの距離に居る俺に何が出来るんだ?」


「余裕だよ、そんなに近ければな」


「は?」


と京谷が言った瞬間地面が爆発した


「は?な、な、何が起こったぁぁぁ!」


突然の事で頭の処理が追い付かなくなった


すると聖夜は立ち上がり


「おいおい、そんな精神状態じゃこの距離に居る俺には重力は掛かってないぞ」


「だから、何をしたんだ!!」


「言ってなかったか、俺は指定の物質を破裂させる事が出来るんだよ」


「それで地面を爆発させたのか?それなら最初からそうすれば」


京谷の言葉を遮る様に聖夜が言葉を放つ


「地面じゃ無いよ、銃弾。そこら辺に落ちてるでしょ。やっと近くに来てくれたよ」


「じゃ、じゃぁ、さっきの倒れてた時の発砲は、まさか」


「そう、ジグザグに歩かせて銃弾の所を踏ませようと思ったの」


体に土から捲れ上がった砂利が体に刺さっている京谷に対して


「そこら一帯には俺が撃った弾が転がってるから気を付けな」


血だらけの状態で京谷は静かに口を開いた


「俺の負けだよ・・・」


その瞬間二人は出血多量で倒れた


担架に運ばれ皆が居るベンチを通った時


「すごいです!聖夜さん!」


「流石だな」


「すごいじゃん、負けると思ったよ」


「一言多いぞ」


と言葉を放ちもう一度気を失った


「次は桜空 神無対芹田 萌。前へ出ろ」


神無は傍らに置いてあったライフル銃を手に持ちよいしょと掛け声をかけて持ち上げた


萌の方は懐からナイフを取り出した


二人が所定の位置に着いた所で


「始め!」


と声を発したら神無は後ろに後退、萌がそれを追いかけると神無がライフルを地面に置いた


相手はナイフを持ち替え少し焦りながら


(ん、な、何で私の金縛りが効かないの?!)


と考えながら神無に突っ込んでいった


神無は相手に照準を合わせ引き金を引いた


(あ、あれ?何で出ないの?)


萌は笑いながら神無に近づいて行く


ベンチでは蒼時が訝し気な顔をして


「あいつ引き金を引いたのに弾が出てないぞ、細工されたか?」


「何でそんなことする必要あるの?聖夜みたいに姑息なのかな?」


「一言多いぞ」


「目的と言えば学園間順位で上位に成れば色んな特典が貰えるんだろ。上げる方法が大会で勝つとかこういう試合だからじゃないのか?」


「成程・・・」


と話して居ると萌はどんどん神無に近づいて行った


「はぁぁぁぁ!」


と叫び声を上げながら神無を切りつけた


「キャァァァ!」


と悲鳴を上げてライフルでナイフから身を守った


「チッ!でもナイフは連撃出来るんだよ!」


「や、やめてぇぇぇ!」


すると神無の目の前には蒼時が立ち蒼時のナイフが萌のナイフを止めていた


「な、何するの?!これは反則よ!」


「じゃあ、お前が神無のライフルに細工したのも反則だよな?」


「何の事?」


「とぼけなくても良いぞ、お前を蹴落としたい人がその細工してる時の写真をとったらしいかな」


「そ、そんな。あの場には誰も居なかった」


「ほら、認めたか」


「は、嵌めたのね?」


「お互い様だろ?」


するとスピーカーから沙雪の声が聞こえた


「神無は反則により敗北、よって萌の勝利」


「悪かったな、負けたよ神無」


「良いの、助けてくれて良かった」


「ライフルの時間を止めといてやるからもう細工はされないぞ」


と会話をしながらベンチに戻った


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