第14話 開店準備
蒼時のクラスの出し物はメイドカフェに成った。しかし、それで解決と思われたが一番の問題点がまだ残っていた
それは珍しい、家では食べられない料理を何にするかである
メイドカフェは接客の延長線に過ぎないのだ
それを蒼時が指摘した瞬間クラスに静寂が訪れた
10秒位立って怜王が辺りを見回しながら
「さっき、蒼時君が言ってたピザはどう?」
それを聞くと灰原が立ち上がり
「それは無理、窯を作るだけの予算が無いわ」
すると秋陽も立ち上がった
「寿司はどう?」
「衛生管理が出来ないから駄目ね」
教卓に居る蒼時が口を開いた
「提案者だから考えてるんだが、ケーキはどうだ?メイド喫茶にも合うし尚且つ家ではあまり作らない。値段を少しぼったくってもバレないし」
クラスが静まり返り3秒後の歓声と共に決定した
この時間は放課後の為解散となり皆寮に戻った
そして次の日
2,3時間目の学活が始まった
学活は新入生歓迎会の準備期間に充てられる
なので3つのグループに分かれた
1つ目は藍原、蒼時率いる予算係。これは飾り、材料全ての予算を振り分け円滑に進める為のグループだ
2つ目は秋陽、神無率いる飾りつけ係。これはクラスの装飾からメイドの服までも用意する為のグループだ
3つ目は聖夜、怜王率いる接客専用係だ。これはクラスの出し物であるケーキ作りから、会計までやるグループだ
この中の一つ目のグループは
藍原が愚痴ってた
「1棟の連中はスポンサー契約でお金増やして、海外との直接貿易でお金を浮かせてるんでしょ。ずるく無い?」
「でも鳥インフルエンザが流行すれば立ち直れないぜ」
「それを願いましょう」
「おい、食中毒で人が死ぬぞ」
と会話してると2つ目のグループでは
「秋陽ちゃん、私何やれば良い?」
後ろの女子が全力で首を横に振っているが気づかず
「そこの風船膨らまして」
「分かったよ!」
と言って神無は一心不乱に空気を入れ始めた
1個目パン!!
2個目パン!!
3個目パン!!
4、5、6、7、8、同じく割れた
「ちょっと!神無!違うのやんない?」
「良いよ!」
「あの紙でバラ作って」
「了解!」
「あっちょっとトイレ行ってくるね」
と隣に居た女子生徒に告げ秋陽はトイレに移動した
秋陽がトイレから戻ると
クラス全体に破れた紙が散乱していた
(碧空はすごいな・・・どうやって神無を手懐けてるんだろ?)
と思いながら3つ目のグループは怜王が料理を教えてる最中だった
「ケーキは優しく作るんだよ」
怜王は金髪美少年の為教えられてる男子生徒全員が
(お前、料理も作れんのかよ・・・しかもケーキ)
と思っていた
金髪美少年こと黒神怜王がケーキを作り終え皆に試食を促した
「どうかな?少し砂糖が多かったかな?」
それを聞いて皆は
(さ、砂糖が多く確かに少し甘いがそれが安物のイチゴの強い酸味とマッチしておいしい・・・。下手な賞なら取れるぞ!)
と考え今自分が考えた事が怜王の株を上げている事に気付きまた嫉妬に狂っていた
この日は2時間の学活と放課後の時間を使い1つ目のグループは予算の予定を作り、2つ目のグループはメイド服のデザインを作りスケージュールも作った。3つ目のグループは料理のマニュアルと、シフトを作った。
そんな一日が終わり皆は寮に居た
怜王と蒼時が2段ベットで話をしていた
「僕はさ、1棟の連中には勝てないと思うんだ」
「どうして?」
「奴らが何を出すか知ってるかい?映画会社と提携して映画を流してポップコーンとか売ろうとしてるらしいよ。」
「そりゃまた、出費の方が多そうだけど」
「この学園の審査方法は売上だから関係無いんだよ」
「資金チートとか詰んだかな?」
「僕もそう思う、だからさ諦めてもっと気楽に行こうよ」
すると蒼時は少し笑い
「でもさ、それが理由で諦めるのは違くない?」
「どうして?」
「俺の持論だけどさ、諦めるのはこれ以上被害が大きく成ったりする時だと思うんだよ。今回は違うよな?俺たちの被害は拡大しない。だから諦める理由には成らないよ」
「でもさ!恥晒すかもよ?」
「学生なんだから良いじゃん」
「で、でも」
怜王は言葉を紡ごうとしたが蒼時が寝に入ったので続きを言えず自分も寝ようとした
翌朝
神無も秋陽も遅れずにクラス内に到着した時だった
クラスが静まり返っていた
それは静寂を通り越して無と表現する物だった
クラス内の書類全てが破かれ、捨てられ、スプリンクラーの跡が在る為少し燃やされていた
無の中から泣きながら藍原が地面に崩れた
「誰?誰がこんな事を?」
「お、俺じゃないぞ!」
「お、俺でもない」
「私でも無いよ」
「おい!俺昨日寮から出てないよな?」
「うん、」
「わ、私も出てない。よね?」
と皆が自分のアリバイを証明し始めた
「おい、一人相方が居ないぞ」
と誰かが言った
その瞬間クラスの軽蔑の視線が聖夜に集まった
「お、俺かよ・・・」
すると秋陽が飛び出し
「待ってよ!聖夜がそんな事する筈無いじゃない!」
「お前も仲間か?」
「私は違う!」
「は?って事は漆葉さんが犯人って認めたね?」
「ち、違う。それは言葉の綾で」
「決定かな」
と話が進んでいると
蒼時が割って入った
「おい、聖夜は違うぞ」
「何でだよ?お前も仲間か?」
「それは無いな、まず聖夜は昨日俺と夜遅くまでメールによって今日の打ち合わせをしてた、ここにそれがある」
「そんなの偽装だ!」
「でも考えてみろよ?俺らがこんな事やって何の得がある?」
「・・・・・・」
「恐らくやったのは
「な、何で
「さっきも言ったが俺らには動機が無い、けど
クラスがまた静まり返り時計の秒針が聞こえた
するとパン、と藍原が手を叩き
「もう一度作ろ、次はPCとか電子的にも保存しようよ」
「そ、そうだな」
「疑って悪かったぜ」
とクラスに再び喧騒が戻った
その喧騒に応える様にグループのリーダー達が救いの手を伸ばした
「予算配分は基本的に俺、覚えてるから」
「服のデザインなら、暇な神無がずっと眺めてたから余裕な筈だよ」
「うん!任せて!」
「料理はシフト書き直すだけだから直ぐだよ」
各々が自分の仕事を全うした
しかし、蒼時だけが不安を拭えなかった
(さっきはクラスの雰囲気の為に犯人は居ないと言ったがそれは無いな、隣のクラスは無傷でこっちだけ荒らされてるのが不可解だ。考えたくないが犯人が居るな)
藍原が大きく手を振り
「おーーい!碧空君!サボタージュしてないで仕事しろ!」
「今行く」
蒼時は少し不安を覚えたが何事もなく昨日の状態に戻した
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