第13話 提案
沙雪による学校内見学が終わった次の日の朝クラスメート15人が古いクラスに朝早く集められて居た
最後に来たのは神無、秋陽ペアだ
最後でも朝の6時30分まだ寝てても良い時間帯だ
そんな時間なのに眠気と違う静けさがクラスに満ちていた
そんな中教卓の前に居る生徒、藍原果歩が静かに口を開いた
「座ってください」
「では2分後始めます」
すると神無はほっと息を付き隣の席の蒼時に尋ねる
「これから何が始まるの?」
「俺達が新入生歓迎会でやる出し物を何にするかの会議だ」
「出し物?」
「そう、俺達の学校は約53万人居るだろ?だから些細な行事でもクリスマス並みに張り切るんだよ、それに今年は太平洋国連軍基地から国連軍に200人しか居ない大将の一人が来るらしい、太平洋国連軍基地は3人の大将が居るからその内の一人が来るから凄い事なんだぞ」
「変に説明口調なのは置いとくけど、200人って多くない?」
「国連軍兵は2億人居るんだぞ、その内の200人だから結構凄いんだよ」
「へぇ、それだけでこんな空気なの?」
すると遅かった秋陽を注意した聖夜が会話に入ってきた
「それなら今年の生徒会長が
蒼時が思い出したように頷いてると神無が一人キョトンとした顔をして
「何それ?」
その瞬間クラスの視線が神無に集まり教卓に居た藍原が語りだした
「桜空さん、知らないんですか?」
「まぁ、はい」
「えっ!まぁ良いでしょう。
「そんなに凄いんですか?」
「そうですよ、今度新入生歓迎会に来る国連軍の方は42歳の頃にやっと貰えたんですよ、それにその理由がその称号を持ってた戦友の戦死。その戦死した兵士が遺言で譲ったからその称号に成ったんですよ」
「す、すごいんですね。ちなみに生徒会長の
「会長の
「成程、ありがとうございます」
それを聞くと藍原は時計を確認し慌てて
「では、私たちの出し物を考えましょう」
するとどっかから
「出し物って具体的には?」
「良く聞いてくれた。我々は何の為にこの出し物に参加するのだ?黒神君!答えてみたまえ」
「えっえーと、盛り上げる為?」
「断じて違う!否だ!否!我々の目的は我らの誇りを敵クラスに見せつける為の物だ!」
何故か喋り口調が戦争前の兵士みたいに成ってるが、気にしないで置こう
「我らは残念な事に財力が無い。その為毎年の人気投票は最下位と言う泥水を先輩方は飲まされて来た、しかし、それは我らが勝利の為の道標でもあるのだ!1棟の奴らに目に物見せるぞ!財力だけが全てじゃない!」
ちなみに1棟はお金持ちの集まる棟で財力の塊だ、
そしてその塊が毎年圧倒的な財力で優勝を攫っていくのだ
そして藍原の言葉が終わるとクラス中から歓声が聞こえて来た
「オオオォォォォォォォォォ!」
「やるぞぉぉ!」
「勝つしかないぞ!」
「今度は奴らに泥水を吸わせてやれ!」
と様々な声が聞こえて来て蒼時はそれを静かに見て神無は
「やるぞー」
「理解して無いだろ神無」
「うん、そうだよ」
と言う会話があった
一通り叫び声が聞こえると藍原が指揮者の終わりのポーズを取り静かにさせた。
「出し物とは、クラスで行う展示型、または体育館で劇や合唱を発表する発表型のどっちかだ!私は展示型が良いと考える」
またどこかから声が聞こえた
「どうして?」
「2週間で完璧な劇は作れないし、作れたとしても1棟の連中は有名人とか連れて来るから勝ち目が無いのよ」
それを聞くと今まで静かだった怜王が口を開いた
「でも、展示型は人が来ないと思うよ」
藍原が怜王に向けて指を指した
「どうして、そう思うの?」
「だって展示は万人に共感して貰えないでしょ?それにクラス内でやるからキャパも小さい、並んでまで入は来ようと思うかな?」
「その点も大丈夫よ。私が考えてるのは飲食業よ、飲食業なら万人向けも狙えるし待ち時間も平気で2,3時間並ぶ筈だから」
すると聖夜が立ち上がった
「でも僕達に行列を作れる程の料理を作れるのかい?」
「そう!そこが一番問題点なの、低予算でどうおいしい料理を作れるか。そこなのよ!だから皆から意見が欲しいの」
秋陽が手を挙げた
「客層はどうするの?」
「少しくらい偏っても良いとは思う」
と話しているとチャイムが鳴り朝の会議は終わりと成ってしまった
5分後、ドアから先生が入って来て授業が始まった。皆は集中していたが藍原と良く理解していない神無は授業に身が入らなかった
授業が一通り終わり昼休みに成っていた
蒼時と神無が外で昼食を取ろうとしていたら藍原が呼び止めた
「ねぇ、一緒に食べない?」
神無が喜び、目を爛々と輝かせて
「良いよ」
と答えた
蒼時も
「別に良いけど」
と答え3人で外に移動した
神無が窓の風景を楽しみながら
「どうして誘ってくれたの?」
藍原は照れを隠すように辺りを見回した
「歓迎会、あんなに喜んでくれて嬉しかったから」
「成功させようね」
と話し外に出た
外は高い校舎で日陰に成っていたが今日は少し熱かったのでちょうど良かった
そんな事を思い昼食を食べていると上から笑い声が聞こえた
「せーので行くぞ」
「せーのだからなっておいまだだぞ!」
瞬間蒼時達の上に大量の水が落ちて来た
そしてそれと同時に蒼時が時間を止めた
「なんで時間止めたの?」
すると能力の効かない神無が時間の止まってる世界で蒼時に質問を投げかけた
「上見ろ、水が落ちて来てるだろ。嫌がらせか何かだろうな。」
といって馴れた手付きで藍原を安全な所に移動させた
「時間戻すから離れてろよ」
うん、と神無が言った瞬間に時間が戻り蒼時達の元居た場所が水で濡れた
藍原が驚き
「えっ!?何が起こったの?」
と言っていたら上の笑い声が舌打ちに変わり
「貧乏人が会長の前で粋がんな!」
と言葉を放った
「気にする事無いよ、っておい!神無なに報復しようとしてんだよ」
「えー、だって」
すると藍原がクスリと笑った
「絶対勝とうね」
昼食の一件が終わり放課後に成った
放課後は朝と同じく皆が居た
ただ朝と違うのは蒼時がやる気に成って居た事だ
そんなやる気に成ってる蒼時が口を開いた
「朝は俺達じゃおいしい料理は作れないからどうしよう?で終わったな。俺に提案がある」
するとまたどこからか
「何すんの?」
と聞く声が上がった
「おいしい料理が作れなくても人が来る方法は新しいものを作るんだ、」
「どういう事?」
「簡単に言えばピザはどうしてお店に頼む?」
「おいしいから」
「そう、おいしいからだ。でもおいしくても家で作る事はほぼ不可能だ。だから店に頼む。そう、普段家では作れない物を作れば出来栄え関係なく人は来るんだよ」
すると聖夜が質問を投げかけた
「でも違う所も変わった料理作る筈だよ。客が分散しないかな?」
秋陽が何か驚いた声を上げた
「あるじゃん!内のクラスには可愛い女の子が揃ってるんだから!」
クラスの蒼時を抜いた全男子が息を呑んだ
「メイドカフェだよ!」
しかし蒼時が難色をしめした
「そうすると、客層が男性だけに成らないか?」
蒼時は全男子の舌打ちを受けたが全男子代表の秋陽は続けた
「大丈夫だよ、メイドは接客業の延長線。珍しい料理を広める為の道具の一つだから、それに私可愛いし」
「一言多いぞ」
「分かった、藍原どうだ?」
「良いよ」
こうして
第4棟1年2200組の出し物がメイドカフェに成った
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