第11話 入学準備

二人は悩んでいた。


普通なら簡単な済ませられる事だが二人は悩んでいた


「入学書類どうする?」


「全然埋まらないね」


そう、入学する為に書類を揃えてたのである


でも親が居なく住所も無い二人には厳しい現実だった


するとそこへ


「嬢ちゃん達、こんな所で何やってるんだ?」


身も心も入れ替えた咲男が訪れた


それに神無が少し肩を震わせたが気を取り直して説明した


「この書類が埋まらないんですよ」


「これか・・・」


同時だった


「はい」

「はい」


「親の所と住所は俺が貸してやるよ」


「良いんですか?」


「でも、嬢ちゃん限定だがな」


「そんな!蒼時君が可哀そうです!」


咲男は首を横に振り


「違う、違う、嫌がらせじゃない。苗字が違う子供を苗字が違う親の名前だけでも怪しいのにそれが二人も居たら疑われるだろ」


神無は大きく相槌を打ち


「成程、では蒼時君はどうしましょう?」


「俺は鬼武さんに頼むか」


と言い蒼時は席を立った


鬼武はいつもの休憩室に居た


蒼時はノックをして中に入った


「あの、ちょっと相談があるんですけど良いですか?」


「良いぞ、何の用だ?有休が欲しいとか言うなよ」


「いえ、そんな事じゃなくて。この入学書類に名前を貸して貰いたいんです」


この言葉を聞くと鬼武は蒼時の持っている書類を渡して貰い目を通した


「一つ聞く」


「何ですか?」


「桜空ちゃんを守れるか?」


蒼時は力強く答えた


「当然」


「なら良い。使え」


こうして一つ目の課題をクリアした


二人は咲男の元へ来ていた


「武器?」


「はい、入学したら大人の関与が出来ない為自衛もかねて武器の携帯が義務付けられてるんですよ」


学園は5大国により超能力者の育成を主としている為こんなおかしい校則も盛り込まれてるのだ


それで二人は入学した時に支給される武器の相談を咲男にしていたのだ


「神無、カタログ見せて上げて」


と言い神無は咲男にカタログを渡した


「こんなに種類があるのか・・・」


「私はロケットランチャーで良いのに」


「肩吹き飛ぶぞ」


「えぇー」


「とこんな感じで神無の武器が決まらないんですよ」


「碧空は決まったのか?」


「俺は、ナイフ2本との2丁拳銃にしました。」


「何で?」


「移動性が確保したくて小さい拳銃、でも威力は欲しいのでデザートイーグルにしました、ただ連射が心元無いので2丁拳銃にしました。ナイフも接近戦がしたいのと後は同じ理由です」


「ん?待てよ。そういえば俺の顎砕いたよな?」


「あの件はすいません」


「いやそうじゃない、子供の脚力で顎を砕けれるか?」


「あぁ、足を振り上げる時、その足の時間を早めたので砕けたんですよ、それに足自体の時間は止めてるので鉄パイプで顎を時速300キロで殴られるみたいなもんですよ」


「よく首もげなかったな・・・」


「まぁ直しながら蹴ったんで」


「まぁ良い。じゃあ嬢ちゃんだな」


「神無は喘息で接近戦は無理です。」


「成程、じゃぁ狙撃銃なんてどうだ?」


すると神無の目が輝き


「良いね!何が良いかな?」


咲男がカタログを見て少し引きながら


「これ何てどうかな?」


と指を指したのはNTW 20だった


これは対人に使うものでは無いがこの世界では能力者の作った弾を防ぐ何かを貫通させるため、この銃も認可されている


「良いね!夢が広がるよ」


何の夢か良く分からないが神無はカタログを見て飛び回っていた


すると蒼時が咲男に疑問をぶつけた


「何で狙撃銃なんですか?」


「神無は能力が効かないだろ?だから遠くに居たら銃でしか撃つ事が出来ない。なら狙撃銃を持たせてさらに相手との距離を広げ一方的な戦いにしたいだろ?」


「ひどいですね・・・」


「優勝したいんだろ?」


「はい」


「なら、これ位やらないとな」


蒼時は喜んでる神無を見て心の決心を再び固めた


「それより4人でチームを組むんだろ?」


「そうですが」


「誰にするんだよ?」


「そ、それはまだ」


「早く決めとけよ」


「はい・・・」


そうして入学の為の準備が終わった



二人は書類をポストに投函し本屋に戻って行った


本屋に戻りドアを開けると


「パッパーン」

「パッパーン」


と言うクラッカーの音が二人の鼓膜に響いた


神無は驚き蒼時は戸惑っていた


蒼時が質問を投げかけた


「これは、何ですか?」


すると鬼武がクラッカーを近くの机に置き


「入学祝いだよ」


「まだ、してないですけどね」


と言った会話を繰り返し夜まで入学祝い、いや入学祝い(前)が続いた


そして1週間後


出会いと別れの季節


蒼時と神無は本屋から出ようとしていた


咲白が前に出てきて


「二人とも元気にね・・・」


と初めて見た涙を零した


鬼武と咲男は


「お前は内のバイトだから卒業したら正社員目指せよ!待ってるからな」


「嬢ちゃんには悪い事したな、いつでも頼ってくれ」


と涙を堪えた


二人は子供らしく大きな返事で


「はい」

「はい」


と言い本屋を後にした、そして学園の入学式に向かった


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