第5話 お買い物
蒼時は
向かう先は更衣室で案内して貰ってるのだ。
蒼時は辺りを見回しながら素朴な疑問を投げかけた
「店番は大丈夫なんですか?」
咲白が笑顔で答える
「大丈夫だよ後輩君。店長が万引き犯をしばいてるからね」
じゃあと付け足して蒼時は質問する
「何で俺面接無しで合格したんですか?万引き犯捕まえただけですよ?」
「それはね、あなたの顔が私の好みだったの」
咲白は笑ってるが蒼時は照れていた
咲白は髪が白色で日本人離れしていた、服装は本屋の制服だが出る所は出てて締まるところは締まっている為制服越しでもスタイルが良く分かる。顔付も少し大人っぽいがとても綺麗だ。
そんな人に顔が好みと言われて照れない男は居るだろうか?
蒼時が真に受けてる姿を見て咲白は少しいたずらっぽく笑うと
「冗談よ、後輩君。私にそんな事が出来る訳無いじゃない」
「で、ですよねー」
そんな話をしていたら更衣室の前に着いた
咲白は更衣室の扉を指で指して
「ここが更衣室、この店少し狭いから更衣室が合同なの、だから私のロッカーにいたずらしようとしないでね?」
「しませんよ、それより合同ならシフトの終わりが一緒ならどうするんですか?」
「5分前にあなたが先に上がって。私は女の子だから時間掛かるし」
蒼時は頷き
「わかりました」
「あっ、着替えたら直ぐ降りてきてね。店長がお礼したいらしいから」
それを聞くと蒼時は更衣室の中に入り、自分用のロッカーを開けた。
中には本屋ならではの目立たない黒の制服が入っていた。
急ぐように蒼時は着替え更衣室を後にした
蒼時は着替えた制服姿でスタッフルームに移動した
スタッフルームのドアをノックし、「どうぞ」と聞こえ蒼時はスタッフルームの中に入った、中は休憩室の様になっていて鬼武が座っていた。
「店長、来ました」
「あぁ、
「いえいえ、当然の事をしたまでですよ。万引き犯はどうなったんです?」
「あいつはしばいといた、心配はない。それより嘘は付かないでくれよ」
蒼時は少し身構え
「蒼時、22歳は嘘だな?」
蒼時は動じなく、嘘を付いてもバレルと悟り素直に話した
「はい、嘘です。実年齢は11歳です。」
「だろうな、こんな子供が22歳な訳無いよな。で何で詐称した?」
「一人の女の子に服を買ってあげたいんです。」
鬼武は我が子の成長を見守る様に蒼時を見た
「ほぅ、どういうことだ?」
「僕はその子に大きな、大きな恩があるんです。それを返すにはこの方法が最善だと思ったんです。」
「成程な。嘘は付いて無さそうだ。本当の事を聞けて良かったよ」
蒼時は驚きながら鬼武の目を見た
「他に何にも聞かないんですか?」
鬼武はさも当然と言ったような口調で蒼時に語り掛ける
「当たり前だろ。男が女に物を上げるのに他人が口を挟む訳無いだろ」
蒼時は少しほっとし
「はい、ありがとうございます」
「仕事は咲白から聞け、怒らすと怖いからな」
蒼時は笑顔で仕事場に出て行った。
この体験も初めてだった、笑顔で仕事場にいく事なんて
仕事場に着いて本の品出し等を一通り教えて貰った
「後輩君、仕事覚えるの早いね、何か前回やってた?」
蒼時は少し怯えながら
「何もしてないですよ、偶々です」
時間が経ち咲白が時計を見た
「そう、あっ良い時間だ、5分前だし先上がって良いよ。」
蒼時はゆっくりと立ち上がり咲白にお辞儀をした
「お先に失礼します」
「うん、ロッカーで変な事しないでね。」
「しないですよ。」
そう言って蒼時は更衣室に戻った
咲白が早く帰れるようにする為なるべく早く着替えた
着替えが終わりいつもの黒のズボンと黒のTシャツその上に白のシャツを着て本屋を後にした。
(今日寝るとこどうしようかな?)
そんな事を考えながら今日の日給を握りしめ、漫画喫茶へと向かった。
次の日は金曜日だった、咲白は蒼時より少し遅れてきていた。
「お疲れ様で~す。あっ!後輩君後でちょっと来てね」
「はぁ、分かりました」
(何かしたかな俺?)
その後咲白は降りてきて蒼時がその元へ歩いて行った
「で、用は何ですか?」
「女の子に服買うんでしょ?」
少し照れてライトノベルコーナーの方を蒼時は見た
「まぁ、買いますけど。店長から聞いたんですか?」
「そうだよ。で用は服選びに付き合ってあげる」
「何でまた?」
「後輩君どうせ白か黒の服しか買わないでしょ?」
「はい、そのつもりですけど・・・」
「そんなん駄目に決まってんじゃん!だから私と一緒に行くの。日曜ならこの店も休みだしね」
「成程、分かりました。では日曜ですね」
「詳しい時間帯はバイトが終わったら教えるよ」
「分かりました」
そんな会話をしていると奥から鬼武の声が聞こえてきた
「早く仕事しろ~」
「じゃ、働っこか、後輩君」
「はい」
その後バイトが終わり詳しい日程を咲白から聞き、漫画喫茶に向かった
次の日のバイトが終わり咲白と本屋から少し離れた繁華街で待ち合わせをしていた
繁華街は休日と言うこともあり人通りが非常に多かった。
「あっ!後輩君!こっち、こっち!」
蒼時は咲白を見つけその元へ駆けて行った
「こんにちは」
「じゃ、いこっか。」
「まずどこに行くんです?」
「う~ん、適当に回ろっか。」
こうして二人は休日の繁華街を歩き回っていた
「こことかどう?」
「良いですね」
「じゃ、中に入ろっか。」
「咲白さん、これなんてどうです?」
蒼時が持って来たのは黒に少し青が入ってるだけの地味な服だった
「後輩君!良くそれで大丈夫だと思ったね?」
「ダメですか・・・」
「これが良いんじゃない?」
咲白が持ってたのは蒼時の服とは真反対の青の明るいワンピースだった
「派手すぎませんか?」
「これ位がちょうど良いのよ」
「まぁ、保留ですかね。」
「そう。」
二人はこの後4時間程店を回ったが
「やっぱりこれね」
「そうですね」
咲白が手に取った青の明るいワンピースで決定した
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