第4話 バイト
敗戦国とは思えない綺麗な道路を歩いていると一つのコンビニエンスストアがあった。
今の蒼時は神無と別れ、神無に服を買おうとバイトをしようとしていた。
ただそこで一つの問題が生じたのだ。
履歴書の入手法
簡単な事だがお金を持ってない蒼時には死活問題だった。
そこでコンビニに置いてある、求人雑誌に付いてる履歴書を使おうとしたのだ。
その為地元では無い町の為、最寄りのコンビニが見つけられず右往左往していたのだ。
そして20分ほど歩き回りようやく緑色の皆がよく見るコンビニを見つけたのだ。
蒼時はコンビニに入ると、今まで長時間外を歩いていたせいで冷えた体をコンビニの暖房が温め、少し震えた
「いらっしゃいませ~」
この決まり文句も蒼時は聞くことが少なかった為、少々新鮮に感じた。
蒼時は入って直ぐの所にある、雑誌コーナーのさらに近くにある、無料求人雑誌を徐に手に取った。
その後、先程「いらっしゃいませ~」と言ってた、少し金髪の若い青年に向けて歩いて行った。
「あの、ペンを貸して貰って良いですか?」
店員は見た目と違い、新人ながらもマニュアル通りの適切な対応で蒼時に、ペンを貸した。
「ありがとうございます。10分後返しに来るので」
ありがとうございます、この一言はさっき初めて言ったばかりなのにすんなりと言えた事に少し驚いていた。
手には履歴書と借りたペンを持ち、コーヒー等をゆっくり飲みたい人向けのカウンターに腰を掛けた。
履歴書に良くある名前を書き、嘘の住所、嘘の年齢、嘘の親、嘘の学歴、嘘の志望理由を書いた。
履歴書が書き終わると座っていた椅子から立ち上がり、レジの方へ向かった。
レジに行くとペンを出し
「これ、ありがとうございました」
また自然と出た、人への感謝に蒼時は少し驚いた。
店員は何気ない笑顔を蒼時に向け
「困ったときはお互い様ですよ」
蒼時はコンビニから出て、履歴書が付いてた求人雑誌の中の本屋に向かって地図を見ながら移動していた。
さっきまで暖房の付いた場所に居たため、少し寒さは辛かったが足早に本屋に向かった。
本屋に着くと、中に入りレジに向かった。
「あの、アルバイトの募集で来たんですけど・・・、連絡してないから駄目ですかね?」
「ちょっと店長呼んできますね。あっ。多分大丈夫だと思うよ後輩君」
「まだ、面接合格した訳じゃ無いんですけど」
店員は少し笑いながら、奥に駆けていった。
店員が居なくなると、辺りが静かになり、雑誌コ―ナーの方で少し物音がして、客が帰ろうとしていた。
客は目を少し伏せ蒼時を見ないように本屋から出ようとしていた
(店員が居なくなった途端俺から遠回りして出ようとしてる、万引き犯だな)
「ちょっと待てよ!その鞄には何が入ってるんだ?」
蒼時の声にびっくりして客は蒼時の方を振り返って笑顔を作り、蒼時と接した
「何かな?君はまだ子供の様に見えるが、どうしてここにいる?」
この日本の子供は殆ど『学園』の寮に住んでいる。だからこの発言は最もだ。
それを聞いた蒼時は何か確信を持ち、語気を強める
(話を自然と入れ替えてる、論点をずらして逃げる気か)
「それは、見間違えだ、残念だったな。それより話を逸らすな、俺の質問に答えろよ。その鞄には何が入っている?」
「君には関係無いだろ、それに見せなきゃいけない義務もない。帰らせて貰うよ」
「なら、義務を作れば良いんだな?」
客は少し狼狽えた、そして早口になって蒼時に語り掛けた。
「警察でも呼ぶのか?でもそれはまずいんじゃ無いか?。お前はここにアルバイトをしに来た。恐らくさっきの履歴書は詐称だろ?ここで警察を呼べばお前の詐称は直ぐにばれる。そうすればお前はもうバイトも出来ないぞ」
蒼時は少し笑いながら歩き自然と出口の前に止まった。
出口の前に止まったのは逃げられないようにする為だ。それに笑う事でそっちに気を逸らさせ、出口に移動したことを気に留めないようにした。
「それなら、大丈夫だな。こう見えて詐称して無いんだよ。」
「馬鹿な!そんな訳無いだろ!」
蒼時は遮るように言葉を放った
「ホントにそうか?俺は能力者なんだよ。だからその副作用で見た目が若いんだ。証拠なら簡単に警察が用意してくれる。」
客は息を呑んだ
「・・・・・・」
「最後に聞こう。その鞄には何が入っている?」
観念したように鞄を地面に置いた。これで客が万引き犯に変わった
そうすると店員が万引き犯のさっきの言葉を聞きつけ走って戻ってきた。
「何があったの?後輩君?」
「万引き犯が居たので捕まえました。お騒がせしました。ではこれで」
蒼時は本屋の出口に手を掛け本屋から出ようとした
すると奥から出てきた店長の声が店に響いた
「どこに行くつもりだ!お前はここでバイトすんだろ!もう内の店員だお前は!職務怠慢は許さねぇぞ!」
店員さんが笑いながら蒼時に語り掛けた
「要するに、万引き犯を捕まえたから面接は無しで合格、だから言ったでしょ。大丈夫って」
蒼時はドアに掛けていた手を放し、深々と頭を下げた
「お世話になります」
これが蒼時の初めてのバイト合格で店員こと
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