第36話 ラストクリスマス

 

ほどよく暖かい部屋の中、書斎の机の上で、うたた寝をしていた。


窓の外では雪が降っている。


きっと街中では、楽しげに溢れる人に、クリスマスソングが流れ、イルミネーションが美しく輝いているのだろう。


部屋の向こうから、ゆっくりと階段を上がってくる足音がする。


そして、ドアが開いた。


重ねた腕から顔を上げ、立ち上がり振り返ると、妻が立っている。


「あなた、ご飯が出来たから、一緒に食べましょう」


「ああ」


俺は妻に歩み寄る。


そして、どちらからともなく、お互いの唇を重ねた。


書斎の机の上には、一枚の写真立て。


写真に写るのは、タキシード姿の俺と、純白のウエディングドレスの妻。


写真に刻まれた日付は、


『2018 12 24』


それは、お互い別々に歩んで来た俺と妻の。


最後のクリスマス。


新しく二人で歩むための。


大切なラストクリスマス。

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