刃の下に隠した心は
忍びの家に生まれた俺には、幼い頃から仕えているお嬢様がいる。
忍びとは言っても現代では主を狙ってくる暗殺者を秘密裏に処理する程度の簡単な仕事だ。
「刃の下に心を隠すなんて、忍びって格好いいわね」
そんな俺の守るべきお嬢様は最近中二病を患いつつあるらしい。
「あーあ私も忍びに生まれたかったなあ」
「お嬢様には無理ですよ」
「なんで」
「なんでって」
俺は死角からお嬢様を狙った吹き矢を薙ぎはらい、なに食わぬ顔で定位置であるお嬢様の隣に戻った。
「鈍感だからです」
「そんなことないもん」
「そんなことあります」
お嬢様は首を傾げる。
この顔はわかってない顔だな。
「ねえ、惣一郎も心を隠しているの」
「私ですか。そうですね、お嬢様のつまらない話を皮肉で流せる程度には隠せているのではないかと」
「……惣一郎の意地悪」
「はっはっは」
まあ俺が隠しているのはお嬢様への下心なんだけどな。
(貴女は知らなくていい)
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