砂塵の都 (第23回座談会公開済み)

エントリー#16


作品名  砂塵の都

作者名  維嶋津

作品URL https://kakuyomu.jp/works/1177354054882019188



作品のキャッチコピー、あらすじ

『2877年。砂漠と化した東京で、僕らは<痕跡>を探す。』


2877年。巨大な災害に見舞われて奇妙な砂漠となった東京を、調査隊たちが探検する話です。



作者からの一言、メッセージ


「よろしくお願いします!」



座談会


ななせ「第二十三回の『座談会』をはりきって、全裸でお送りしたいと思います」


七瀬 「それはもういいよ」


N氏 「そうは言っても、今は全員が全裸で顔を突き合わせているがな」ブラーン


ななせ「いい加減、洋服を着て、真面目にやりましょう」イソイソイソシソ


七瀬 「全く困ったものだよ」イソイソイソイソイソ


N氏 「今回のエントリー作品は『砂塵の都』。作者さんは維嶋津さん。SFを中心に書いているといよりも、SFで結果を出している作者と言ったほうがいいだろう。あの『ハヤカワSFコンテスト』で最終候補にもなっているのだから」


https://kakuyomu.jp/works/4852201425154899452


ななせ「ヤバいぞ……今回は僕たちがうかつに『座談会』なんかを組んでいい作者じゃない……」


七瀬 「それでも、僕たちは作品について語らなければいけないんだよ。なぜなら、この列車に途中下車はないのだから」


ななせ「うぜー……では、早速『砂塵の都』について話していきましょう。物語は『2877年』というかなり未来の世界で、舞台は『砂漠化した東京』です。東京自体は『塵禍じんか』という未曽有の現象で滅んでいて、その砂漠と化した東京を防護服に身を包んだ調査隊が進んでいきます」


七瀬 「ハードな世界だね」


ななせ「そうなんです。しかも、ただ何もない砂漠を進むだけではありません。『復元』と呼ばれる現象が起こると、突如砂漠の中に建物が現れます。これは過去に東京にあった建物の『復元』で――『砂塵構造体』と呼ばれています」


七瀬 「砂漠の中に突然過去の建物が……すごい世界だ……」


ななせ「はい。この物語を読んでいて、僕はものすごく『カクヨム』っぽいSFだなあと思いました。『横浜駅SF』を髣髴とさせる『構造体』もののSFで、不条理な世界に放り込まれる恐怖だったりワクワク感が伝わってきて面白かったなあと」


七瀬 「構造体SFか。これはSFでは珍しい部類なのかな?」


N氏 「構造体とは少し違うが、SFにおいて魅力的な世界や土地や建物をつくるのは、面白さの一つの条件だと私は考える。古くはクラークの『都市と星』、バラードの『ハイライズ』、漫画では二瓶勉氏の『BLAME!』など、魅力的な都市や建物を描くことで、物語の面白さを加速させている。物語において『都市』や『構造体』そのものが、物語を内包できるという利点があるからだろう」


七瀬 「なるほど。都市や構造体そのものが物語の世界に繋がっているんだね」


ななせ「この『砂塵の都』も、まさにそう言った面白さがあったと思います。短い話ながら設定もしっかりと作られていて、例えば『復元』される構造体の強度と精度は、『塵禍』の起きた日に近いほど高くなるなど、考え込まれているなあと思いました」


七瀬 「最後のシーンは、驚きとともにもの悲しい気持ちになったね」


ななせ「そうですね。目的地だった特級遺構『天空樹』で、主人公はあることに気が付くんですけど、それがどうしようもないことで――今までの違和感みたいなものが全て解消されるシーンでしたね」


N氏 「東京に広がる砂漠の一粒一粒が、過去の記憶やデータを内包した結晶体なのだろう。それは時折『復元』されて過去の残響を放つ」


ななせ「我々もいずれネットの残響になってしまうんでしょうね……」


七瀬 「それまでは、この場所で言葉を交わしていたいね」


N氏 「さて、我々がすでに残響ではないといえるだろうか? この会話も、過去の……」


ななせ「砂が崩れる音が……」


七瀬 「………」サラサラ……サラァ……



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