Milk Puzzle (第4回座談会公開済み)

エントリー#02


作品名  Milk Puzzle

作者名  巫夏希

作品URL https://kakuyomu.jp/works/1177354054882673465



作品のキャッチコピー、あらすじ

『きみがわすれても、わたしはわすれない。』


記憶が消えて、最終的に呼吸することも忘れ、死に至る病『ミルクパズル症候群』。

誰が、どうやって罹患してしまうのかはっきりとしておらず、また明確な治療法も無い。

記憶のバックアップも出来るが、完全なバックアップもできなければ制約もある。


そんな世界で生きる、記憶を研究する学者と、彼の講義を熱心に受ける女学生の話。



作者からの一言、メッセージ


「このたびは伊藤計劃トリビュートという素晴らしい趣旨の企画に参加させていただきました。作品に触れて、自分が思ったことを全力で書いていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。」



座談会


ななせ「さぁ、始まりました――レッツラ・『座談会』」


七瀬 「第4回になるね」


ななせ「早速エントリー作品を紹介していきますよー! タイトルは『Milk Puzzle』で、作者さんは巫夏希さん」


七瀬 「今回もはじめまして方だね。カクヨムではSFの他にも異世界ファンタジーを連載、個人サイトも持っていて同人活動も含めて色々な創作活動している方みたいだね」


http://knkawaraya.net/


ななせ「そんな巫夏希さんの作品ですが、非常に面白く読めました。『記憶のバックアップ』が取れる技術が存在する今よりも少しだけ未来の話で、その方法の説明を、主人公である博士と、生徒の信楽しがらきさんが交わす授業のシーンから始まります」


七瀬 「脳に専用コード――BMIコードを差して、専用デバイスで記憶を読み取る? その手術を受けたものは、うなじの辺りに入出力ポートが埋め込まれるみたいなんだけど、このガジェット自体は良くあるものなのかな?」


N氏 「俗いう『電脳』と呼ばれるガジェットだ。『攻殻機動隊』あたりが有名だが、この作品では『電脳』によって多くのことが可能になる――例えばネットに繋がったり、VRの世界に入り込んだり――前の段階、技術が成熟する前の世界を描いている点が素晴らしい」


ななせ「そうですね。この作品では、タイトルにもなっている『ミルクパズル症候群』と呼ばれる病気の治療法に使われています」


七瀬 「ミルクパズルというと、真っ白なだけのパズルのことかな?」


ななせ「その通りです。名前の通り、この病気に罹患すると記憶を失っていきます。完璧な治療法はなく、全ての記憶が『真っ白なパズル』になってしまう前に、記憶のバックアップをとって、自分の記憶にバックアップを上書きしていくことしか解決方法がないんです」


七瀬 「なるほど、恐ろしい病気だね」


ななせ「徐々に自分が失われていく恐怖というものは、想像を絶することだと思います。信楽さんは『ミルクパズル症候群』に罹患してして、そのことを博士に告白するんです。そうして対話をしていくことで、この病気に向き合っていくのがこの作品の大きなストーリーです」


N氏 「徐々に自分が失われいくことを描く作品には『アルジャーノンに花束を』『ビューティフルマインド』『私の頭の中の消しゴム』など有名な作品が多くあり、感動的で泣ける作品が多い。しかし、この作品はどちらかと言えば淡々と、努めて冷静に語られている」


ななせ「すでに自分の病気を受け入れ、そのうえで何ができるかを模索しているところが前向きで良いですよね。博士と信楽さんが、お互いを必要として寄り添って行くところはすごく胸に来ました」


七瀬 「最終的に二人は共依存の関係に陥っていくんだけど、二人の関係がなるべく長く続くことを願ってしまうね」


N氏 「お互いを、お互いの記憶の外部装置にするというのは素晴らしい発想だったように思う」


ななせ「結末からも文章からも優しさを感じることができる良い短編でしたね。ぜひとも、たくさんの人に読んでもらいたいと思います。それでは、今回の『座談会』はこの辺で終わります。また次回お会いしましょう(あれ、なんか普通に終わった?)」



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