夕暮れの湖畔で
「ふざけんな。」
携帯に入っていたメールを見て私は投げ飛ばした。
『学校は楽しかったかしら?ママとパパはしばらく森に行くので携帯で連絡出来ません。』
こうなったら、東京帰って働いてやる。
ここも、東京だけど。
しかも帰るには山を登らなきゃならないし………。
夕暮れの奥多摩湖を見ながらタメ息つく。
「あっイタイタ。瑠璃ちゃん、とにかく昴が待ってるからさ船乗って。」
サヨさんが探しにきた。
「いやです。確かに彼女だけど私はフィアンセじゃない。」
きんちょうが溶けて涙がでてきた。
「そりゃそうよね、普通の中学生がいきなり過保護あつかいじゃ疲れちゃうよね。でも昴の気持ちは信じてやって、あんなくつろいだ顔するのは瑠璃の前だけだからさ。」
信じてはいる、昴にたいする怨みはないけど………
「うちのバカ親………なに考えてるんだろ。確かにばあちゃんが都会にたえれないのはわかるけどそれならばあちゃんのとこの普通の中学行かしてくれれば良かったのに。」
涙がでてくる………友達がなつかしい親友の真由は『ガイヤ』、昴のファンだけど普通に接してくれていたし、よくきくファンの嫌がらせも別になかった。
「ヨシヨシ、ディナーて言ってもアゲハの家だからさ。その顔じゃ無理だね。」
携帯が鳴り出す、昴からだろう。
何度かコールの後にサヨさんの電話がなる。
「リョウマさん、ルリちゃん疲れちゃったみたいだから先に行ってて。昴、戻ってきたの?」
私は携帯を拾いあげる。
あれ?昴からだと思ったらヒーちゃんからだ。
「ツカサさんが悪い。僕ならいきなりお嬢様の中にいれられたら意地でもお祖母さんの所にいくよ。」
ヒーちゃんごとく柊さんは、母さんのファンそして昴のバンドのキイボード&ギター。
「ヒイラギきたの?」
「姫が学校でのこと半泣きで電話してきたからね。ルーだいじょうぶ?」
広い胸に抱きしめてくれる。
「こう言っとけ今度のツアー前に特別ディナーショーをやるからて。」
昴は電話ちゅうだったらしい。
「ごめん、俺が強引にこっちに転校を進めたから行けなかったんだ。」
ヒーちゃんが肩に手を置く。
「ああアゲ姉からの伝言で〆切近くて徹夜で原稿でこっちから出れないから場所変更だってさ。チビスケにかじられて携帯は音信普通だってさ。」
きを使わせてしまった。
たぶん今までも何回かはあったけど打ち上げみたいな感じだったんだ。
「ルーちゃん、気にしなくて平気だよ料理はレコちゅうのハル達の飯にちょうどいいってさ。」
アゲハさんの気づかいに感謝だ、騒がしさが嘘のように静かだ。
「サムーさすがに冷えてきた僕は先に家いってるよ。」
ヒーちゃんが私の頭をグリグリと撫でてさっていく。
「おっと私も料理の手伝いしなきゃ。ルリちゃんとスバルはユックリ来ていいからね。」
昴が私の頭をちょっと乱暴に抱き寄せる。
「ここ見晴し良いよな。カスミとチカのやり過ぎは許しやってくれ。あいつらなりにお前のこと守ろうとしてるんだ。呼び出した親父は後でせめていいよ。あのジジイ自分の都合でやりやがった。」
昴、お父様のこと攻めれないと思うぞ。
夕陽がくれていく、少し冷えた気温が泣いた顔には涼しい。
ほんと疲れた………普通の中学生に戻りたい。
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