第5話 地図をください


今日はオフだったので

なんとなく一日中歩いてみた





真新しい景色



見知らぬ路地に入ると


そこを

選んだかもしれない自分が

すれ違っていく





でも

大丈夫





いつも


いつでも


どの路地でも



俺は君を見つけれる。







雲のない青空は

(高く)

風のないこんな日は

(独り)

住み慣れた街の真ん中で

悲しい迷子になれそうで


夢はただ遠すぎて

街角に立ちつくす


君が歩いてく後ろ影

通りの向こうに

見失う


賑やかな店先に

(眠る)

ガラクタにつまずいて

(歩く)

歌声が聴こえたよ

(君の)

懐かしいあのうたが


錆びた想い出を売りさばき

きらめく銀貨を手に入れる


見えては隠れる君の

かかとを目で追いかける


ひしめくテントの隙間

記憶の彼方に続く

小路へと迷い込む


どの店覗いてみても

探していたものばかり


汗ばむ手のひらの中

小さなコインはひとつ



その地図を一枚ください…

紅く夢の場所を記した


その地図を一枚ください…

帰り道の破れかけてる


その地図を一枚ください





遊佐未森『地図をください』♪


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