第4話 夏草の線路
踏切を渡る時
いつも線路の先を見てしまう。
うちの田舎は島で
電車なんて無かったので
地続きの本土の線路を見ると
世界が開けてて
遠く
何処にでも行ける気がして
いつもワクワクしてた。
線路に立って目を閉じれば
ずっと先まで見えて
子供ながらに
あの頃ずっと想ってた
俺がいくべき君たちに辿り着くと
信じてた。
汽笛は聞こえないけど
ちゃんと聞こえたよ。
♪
少しずつほどけるあの日の
遠い約束
ポケットに忘れてた石ころを
高く投げてやろう。
赤茶けたレールの向こうへ
夏草に埋もれた線路は
低く陽炎揺らして
七色にさざめく小さな
風をはじくよ。
僕のこと想う時
目を閉じて汽車を走らせて
聞こえない汽笛を聞くから
このまま気付かずに
通り過ぎてしまえなくて。
何処まで歩いても
終わりのない夏の線路。
いつでもまなざしは
まぶし過ぎる空を越えて。
どんなに離れても
遠く君に続く線路。
♪
遊佐未森『夏草の線路』♪
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