ただ二人を眺めていたいだけ

春野 一輝

さーばるちゃんと一緒

 「すごーい!これ、よく跳ねる!」 


 サーバルちゃんがよく跳ねるボールをみつけて、しばらくそれに夢中になってる間ボクは少しだけ、向かいの木の下で休憩。

 サーバルちゃんは、きょろきょろ珍しそうにそのボールを回したりしてる。

 そしてたまに目線に気づいたように、こっちを見る。

 「かばんちゃーん!」

 「はい?」

  

 「かばんちゃんも、一緒にあそぼ―!」


 「ボクは…見てるだけでいいです。」

 「ざんねーん!」

 ボクはいい。

 こうやって、サーバルちゃんを眺めてるだけで…楽しい。

 元気なサーバルちゃんは、ボクの心の安らぎだと思う。 

 

 ころころと、サーバルちゃんの腕をかわしたボールが、

 サーバルちゃんがきゃっきゃと、追いかけて、みみをぴょこぴょこさせながら、近寄ってきた。

「ちょっとミスっちゃった。」

 照れたように笑い、手をかしかしと髪の毛をかくサーバルちゃん。

 そんな彼女の顔を、木漏れ日がちらちらと照らしていた。


「さーばるちゃん。」

「なーに?」

 キョトンとした目でまっすぐ見つめてくる瞳。

 私とは違う、あたってくるこころ。

 すべてがあたたかい。

「好きだよ。」

「わたしもー!」

 にっこりとほほ笑む二人。

 ただの2人だけのキャッチボール。

 でも、それだけでも、なんだか嬉しい。


「かばんちゃん!」

「なんでしょう?」

「だーいすき!」

 どうしよう、耳までまっかっか。


 ほんとうに、サーバルちゃんってすごい。

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ただ二人を眺めていたいだけ 春野 一輝 @harukazu

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