第11話 魔法使いの決意1

 ロストが街に入ると、クレーダンジョンに向かおうとするいつもの三人組と出会う。

「あれロスト君、なんでこんなところにいるの?」

「はんらんがおきてまおうさま、たおされたってほねおじさんがいってた」

「えっ……」

「ひとまずここで話すにはまずい気がする。 ロスト君が魔物だって騒がれても困る」 

 そう言うと女僧侶はロストにローブを被せる。

「私たちの泊まっている宿屋で詳しく聞かせて」

 三人組と共に宿屋の部屋に入ると、ベッドの上に座り、ロストはボーンジから聞いたこと見慣れない二匹の魔物がやってきたことを話す。

 ロストの腹が大きく鳴る。

「もうすぐお昼だったね。 ひとまず酒場で食事しようか」

 酒場に移動すると、ロストの鼻がぴくぴくと動く。

「とーちゃんのにおいする」

 ロストはその匂いを辿る。

 山と積まれた作業着、その一着からロストの父ーギルの匂いはしていた。

「なんだい、あんたら?」

 酒場の女主人がロストに声をかける。

「このふくなに?」

「鉱山で働いてる連中の服さ、業者が洗濯用に毎晩取りに来るのさ」

「こーざん、それどこにあるの?」

「連中の働き先は週ごとに違うからね、どこの鉱山かはわからないね」

 再びロストのお腹が鳴る。

「ロスト君、ひとまずテーブルで食事にしよう」

 テーブルに着くと、戦士が頼んでいた料理が運ばれてくる。

「ぼく、とーちゃんさがしにこーざんにいきたい」

「ボーンジさんの話だとロスト君のお父さんって、支度金使いこんで出てったんだよね?」

「うん、でもとーちゃんすごくつよい。 ほねおじさんといっしょにたたかえばだんじょんにきたふたりすぐにたおしてくれる」

「そうか。 俺たちも手伝ってやりたいけど薬草採取のクエスト受注してるからな」

 女僧侶が席を立ち、酒場の女主人と話をして戻ってくる。

 女僧侶はテーブルのうえに女主人から貰った地図を置く。

「この近くの鉱山の地図をもらってきたよ。 あと、人の街ではお金が必要だから」

 数枚の銅貨の入った袋をロストへと渡す。

「魔物だって分かると大変だから、そのフードは人前では取らないようにね」

「ありがとう、じゃあぼくいくね」

 三人組に別れを告げてロストは街を出る。

 まずは一番近くの鉱山へ。 しかしそこではロストの父ギルの匂いは少しもなかった。

「ここはちがうんだ。 それじゃあつぎのこーざんへいこうっと」

 地図に記された二番目に近い鉱山へと向かう。

 砂が舞い、風が吹く。 飛ばされそうになるフードをしっかり掴みロストは歩みを進める。

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