第7話 中ボスの戦闘1
ボーンジによる連日の戦闘訓練により、そこそこの構えはできるようになったロスト。
今日も戦闘訓練の予定だったが、中ボスの間に警報が鳴る。
「どうやら冒険者がダンジョンに侵入したようですな。 私は持ち場に戻ります」
ボーンジが持ち場に戻って数分後、ロストの前に三人組の冒険者が現れた。
「骸骨騎士は強そうだったから避けて来たけど、この子供が敵なのか?」
はじめて見る冒険者に緊張しながらロストはボーンジと前もって決めていた中ボスのセリフを言う。
「よ、よくきたなおまえたち。 ぼくはこのダンジョンのぼすロストだ。 かくごしろー」
ロストが戦闘の構えをとる。
「こんな子供が中ボスだと!?」
「油断するな、子供に化けているだけだろう。 本気でやるぞ」
「こいつ弱すぎないか?」
「ダンジョンボスなんだから、あの骸骨騎士の上司なんだよな」
冒険者の一人が地べたに倒れていたロストの足首を持ち、ロストの体全体を持ちあげ上下に振る。
「こいつ金もアイテムも持ってないぞ」
冒険者たちが中ボスの間を見渡すと、一つの宝箱を発見した。
「この子供が本当に中ボスなら宝箱の中にはいいアイテムが入ってるはずだ」
冒険者が宝箱を開けると中からは肉の塊が出てきた。
「なんだ、これ? いらないな」
大きな肉の塊をロストの横に捨てて冒険者たちは去った。
ロストは目に涙を浮かばせて悔しがった。
数日間、警報が鳴るとボーンジがロストの訓練を中止して持ち場に戻るのが続いた。
「ひまだなー。 ぼうけんしゃさんたちだれもこない。 ほねおじさんがぜんぶおいはらってるのかな?」
ロストが気を抜いてると、男の戦士と女の魔法使いと僧侶の三人の冒険者が現れた。
「この子供がそうなのかな?」
ロストが慌てて構えをとる。
「よくきたなおまえたち。 ぼくはこのダンジョンのぼすロストだ。 かくごしろー」
「聞いたか? 間違いないぞ、よし倒すぞ」
「そうかんたんにたおせるとおもうなよー」
ロストはあっさりと秒で負けた。
「や、やったー。 初勝利だ」
「はじめてのレベルアップだね」
戦士と僧侶の会話を聞いて地面に倒れていたロストは顔をあげる。
「はじめてって、ぼうけんしゃさんたちつよいんじゃないの?」
「いや、オレたちは弱小だよ」
「だってほかのぼうけんしゃさんたち、ぜんぜんこないよ?」
「このダンジョンのボスは弱いしアイテムもしょぼいから道中の宝箱とモンスターだけ倒してみんな帰ってるらしいよ」
「ぼく、チュウボスのしごとがんばるつもりなのに、みんなひどい」
涙を流すロストの頭を女魔法使いが優しく撫でる。
「私たちまた来るから」
「ほんと?」
「オレたちが勝てるの今は君だけだからな」
女僧侶が回復魔法でロストの傷を癒やし、ロストに手を振りながら三人は去った。
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