第48話

俺はグリフォン族の城内で、ディーナさんがダークエルフ達に追われているのを知り


「行くぞ!ガイバーン!」


「あ!ちょっと待ちなさい!ユーちゃん!」


リスミーさんが俺を呼び止め様とした。


「必ず戻ります!待って居て下さい!」


と言い残し、城内を走り抜けた。


「エルフの戦士殿を援護するのだ!」


とアードラさんが衛兵達に命令した。


「解りました!」


と衛兵達が追って来た!


そして城の外に出ると


「現れろ!ガイバーン!」


「了解!」


光と共に無数の粒子が集り、ストライクフライヤー形体のガイバーンを構築、物質化して行った。そして真横に現れ、俺はガイバーンに飛び乗り、城塞村の外苑を越え、1キロ以上先を飛びこっちに向かって来る、ディーナさんの所まで一気に飛んだ。そして俺はガイバーンから飛び出し、20人は居るダークエルフ達から守る様にディーナさんを背中に置き


「空渡さん!」


「話は後です!」


するとダークエルフ達の一人が


「貴様!同胞を裏切るのか!」


「あんた達も何故獣魔と戦わない!」


「決まっているわ!奴等には敵わない・・・・既に多くの仲間が見せしめに殺された・・・・く!」


その時急にガラナに代わって


「あたしはガラナ!コイツに、あたしに憑依している勇太なら、きっと遣ってくれるさ!」


「戯言を!」


ダークエルフ達は一斉に魔法攻撃を仕掛けた来た!


俺は魔法攻撃を素早くかわしながら、一人一人倒して行った。そしてダークエルフ達は退却して行くと、安心したのかディーナさんが墜ちそうになった。俺はディーナさんを左腕で抱き寄せ、一旦地上の森の中に降りた。


「心配しましたよ!ディーナさん!」


「空渡さん!何故あの時、直ぐに来て下さらなかったのですか?」


「ごめんなさい。ホージョーさんの想いを無下に出来ず・・・・そしてその後、軍曹を失い・・・・」


その時突然俺は、ディーナさんにたどり着く迄の、色々な出来事が浮かび上がって来て


「エトランジュ・・・・」


涙が溢れ・・・・


ディーナさんが両腕で俺をそっと抱き締めた。


そして俺はディーナさんの胸の中で泣いた・・・・


「僕は・・・・」


「・・・・」


翌朝


「さあ行こう!皆が待ってる!」


「ええ!」


ディーナさんと急ぎグリフォン族の城へと飛んだ。

そしてあの長い通路を走り抜け、アードラさんの居る広間へ入り


「エルフの戦士を連れて着ました!」


「おお!空渡殿!戻って来られたか!」


アードラさんが出迎えてくれた!


「も~中々戻って来ないから、お姉ちゃん心配したんだから~。」


とリスミーさんが抱き付いて来て、また胸の谷間に顔を押し付けられて息が出来ない!


「う!苦しい!」


とジタバタしていると


「あー!リスミーさん!またー!と言うか勇太が死んじゃうー!」


とクローディア


「あ!ごめ~んまた遣っちゃった!てへ!」


とリスミーさんがやっと放した


勘弁して・・・・


「良く帰ってきたなぁ~んー?空渡よぉ~良い面構えに成ったじゃねぇかぁ~んー?」


「また女の子の仲間が増えちゃったよぉ~。」


とクローディア


「勇太!私、心配したよ。」


とメーナが心配した表情で見つめた。


「ゴメン皆!」


「うむ!正にエルフの戦士!よくぞ来られたもう一人のエルフの戦士殿!私はアードラ!此処を統べる者だ!」


「この度は大変お世話になりました。そしてありがとうございます!勇太!また皆さんに会えて大変嬉しく想います!」


とディーナさんが感謝の想いを告げた。


「アードラさま。そのエルフの女の人、ディーナさんには異世界の男の子が誤って憑依して仕舞っているのです。」


突然リディアンさんが話始めた。


「なんと!では!」


「はい。彼女にはサタンに有効な魔法が使えません。ですので獣魔の本拠地にある転送板で、もう一度異世界の女性の魂を憑依させるか、私がこの異世界の男の子の魂から創った、擬似的な異世界の女性の魂をもう一度憑依させるかです。」


「其じゃ!」


「はい、空渡さんが好いていたエトランジュさんは・・・・


ごめんなさい、貴方が此処までエトランジュさんに関わり、貴方が傷付く事に成なんて・・・。」


「今、その話を空渡さんの前で聞かせないで頂けますか。」


とディーナさんが遮った。


悲壮な表情でうつ向くリディアン。その姿を見たハニッサさんが


「空渡よぉ~リディアンの姐さんだって悪気があって遣った訳じゃねぇ。そりゃぁお前さんも解ってるハズだぜぇ、んー?」


「解ってます。解ってますけどやっぱり・・・・」


「ごめんなさい!僕が余計な事をしなければ良かったのに・・・・。」


と突然ディーナさんから海樹君に代り、落ち込む姿を見た俺は


「海樹君は何も悪い事なんかしていない!其を言ったら俺も同じだ!其に友達を助けて何が悪いんだ!」


「そうさ海樹とやら、アンタは悪くわないのさ!胸を張りな!」


と今度はガラナに突然代わって、海樹君を擁護する様に話した。


「ごめんなさい・・・僕が女性化するよ!そしてエトランジュさんの代りに空渡君を愛するんだ!」


「無理するな!海樹君!」


「び・・・・BLね!此はレーナさんに直ぐに描いて貰わないといけないわね!」


「キャリブレーン?」


言動が明かに可笑しいキャリブレーンに、名前を呼んで確認してみた。


「あら?此処は?此処は何処かしら?」


キョロキョロするホージョーさん、そして


「あら?ハニッサさん?」


ホージョーさんがハニッサさんに気付きその名を呼ぶと


「御嬢ぉぉぉ!」


感涙するハニッサさん、そしてニャーニャもホージョーさんと確信すると


「アリサー!だに!」


ビタッ!


とニャーニャが歓んでホージョーさんに飛び付いた!


「ニャーニャさんまで!」


ホージョーさんはニャーニャの頭を撫でながら笑顔で言った!


「ホージョーさんが元に戻った!」


と泣きそうに成りながらクローディアも歓んだ!


「ホージョーさん!」


俺はホージョーさんに向かって名前を呼んだ!するとニャーニャを抱きながら此方を見たホージョーさんは!


「空渡さん!」


と再会を喜ぶ様に呼んだ!

だけど隣にいたディーナさんに気付いたホージョーさんは


「貴女は!」


と急に表情が固くなった。其に気付いた俺は


「俺は城の外でディーナさんに救われました。だから彼女を責めないで欲しい。俺はもう大丈夫ですから!」


「解りましたわ。貴方がそう言うのでしたら・・・」


ホージョーさんは少し悲しい表情を浮かべながら言った。


「キャリブレーンの宿主、人間の娘のホージョーよ!私はグリフォン族、族長アードラ!この城の主だ!そのエルフの娘に罪は無い!その発端と成った者と為ればリディアン殿だろう。だが、リディアン殿もまた、このアルスナーダの為と行った事!許しては呉れまいか?」


「私は・・・・」


「御嬢!」


「ホージョーさん!」


「わだかまりも有ろう、だが其も時間が解決する。若者よ!悲しみを乗り越え強くなれ!そして前へと進むのだ!」


とアードラさんがホージョーさんを励ました。


「解りました。」


とホージョーさんはそれ以上は話さなかった。


「解った!ホージョーさんの為にこんな事もするから!ちょっとゴメン海樹君。」


と海樹君に代わっている、エルフの女の子を抱き寄せた。


「え!?空渡君?」


と驚き顔を赤くする海樹君。


「は!此れは百合かしら?其れともBL?此れはレーラさんに描いて貰わないと、行けないわね!」


とホージョーさんが嬉しそうに言った。


「ハハハハハ!」


とその惨状に豪快に笑うアードラさん


「しかし何故急に宿主の人格が現れたのだ?」


と続けてアードラさんが言った。


「おそらくホージョーさんの、その、好きな出来事で呼び起こされたのではないかと。」


リディアンさんが少し顔を赤らめながら説明した。


好きな出来事・・・


BL?


恐るべし邪念パワー・・・


「は!其じゃ今キャリブレーンは!」


と俺は思わず口にしたら


「出せ出せ煩かったから黙らせて置きましたわ。」


とホージョーさんがあっけらかんと言った。


「完全制御か。」


とアードラさん


「所でアードラさん!この辺りで3隻の空飛ぶ鉄の船を見ませんでしたか?」


「確か何日か前に此処から西の方で見たと報告があった。」


とアードラさんが応えた。


「私はダークエルフさんの船に乗っていましたが、途中でジャンドゥの強襲に遭い、ヘザーさんとディルさんに逃がして貰い・・・・」


ディーナさんがその時の事を話した。


ジャンドゥが天上界にまで進出して来たのか!


「逃げる途中でダークエルフ達に襲われたと・・・・俺達は仲間達と合流しなくては成らないんです。」


とアードラさんに伝えると


「アードラ殿!此処を拠点に捜索活動を行う事を許可願いたい!」


とブレスレットのガイバーンがアードラさんに了承を得ようと話した。


「うむ!君達に協力しよう!」


こうして俺達はグリフォン族の城砦村を拠点に、捜索活動をする事にした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る