魔 法 少 女 電 話 勧 誘

冴牙雅

「はぁ。魔法少女、ですか?」


 ええ、いかがでしょう?


「ええと、これはその……宗教勧誘とかでは?」


 いえ、決してそんなことは!今回お電話させて頂いたのは、悪から世界を守る魔法少女になってみませんか?というご提案の為でございまして……宗教等とは一切無関係な、ええ。


「そうですか、うーん……」


 お考え頂けるでしょうか?


「いやぁ、ハハハ……ボクも魔法少女の電話勧誘なんて受けたの初めてなんで、ちょっと混乱してて」


 電話による魔法少女のご提案は弊社が実験的に初めて行った試みでして――


「普段はどうやって勧誘するもんなんですか?応募とか?」


 えーそうですね、通常ですと、街頭で魔力視認の資格を持つ専門のスタッフが、魔力を多く保有する方にお声かけさせて頂いてスカウト、という形が主流となっておりますね。


「へぇー、魔力がどれくらいあるか、みたいなのって見て分かるもんなんですね」


 そうですね、専門の研修を受けた者であれば魔力含有量は視覚を通して把握することができます。


「話してるだけでもわかるんですか?」


 私共、電話勧誘を担当するスタッフは魔力視認の技術を応用して開発された最新技術である魔力聴覚の研修訓練を受けておりますので、視覚ではなく聴覚で魔力含有量を把握することができます。


「なるほどぉ、ちなみにボクはどれくらいの魔力を持ってるんですかね?」


 一般的な適齢女性の魔力含有量を1としますと、50から60といったところですね。


「それって凄いんですか?」


 何故今まで街頭での勧誘にお会いにならなかったのか疑問な程です。これほどまでに強い力をお持ちであれば、歴史的な魔法少女になれますよ。


「へぇー!我ながらそりゃすごいなぁ」


 それで、魔法少女の方、いかがでしょうか?現在は通常の報酬に加えて電話勧誘から加入頂いた方限定サービスということで、オリジナル衣装の無料制作特典もございますが……


「うーん……」


 もしお悩み頂くようでしたら、弊社の番号をお伝えしますので――


「いや、そうじゃなくて」


 はい


「僕、男なんですけど。」


 それはっ、失礼いたしました!

 ――ブツン!


「切られてしまった。男か女かも分からないのに本当に魔力が強いかどうかなんて分かるんだろうか?」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魔 法 少 女 電 話 勧 誘 冴牙雅 @helvetica2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ