―――3

「変わったサインですニャ・・・、これでタクヤさんはギルド登録の完了ですにゃ、ようこそギルドへ!今後はどの※※でもお仕事を引き受けて活躍できますニャ!という訳で、早速お仕事を探してみますかニャ?」


 一応、どんな仕事があるか気になるし・・・俺はフリットにお願いして依頼書の束に目を通した。

 ・・・・ふむふむ、なるほど、さっぱり読めない。


 抜かったわ!会話ばかりしていて文字は全く習ってない!!

 ダラダラと汗を流している俺を見てミーニャがハッとした。


「貸して!私が読んであげるから」


「・・・・タクヤさんは字が読めないのですかニャ?」


「ハハハ、ソンナマサカ」


 10歳のミーニャが文字を読めるぐらいだ。まさか、俺が読めないとは言えない。が。


「そーだよ?タクヤはお空から来た人だからこの世界の文字や言葉が分からないんだよ」


 まてって、その純真無垢な笑顔は大好きだが、もう少し俺のプライドの事も考えて!!


「それは大変失礼いたしましたニャ、でもタクヤさん、あまり気を落とさないで欲しいニャ、タクヤさんの国の事は知らにゃいですが、この国の※字※※は高くないニャ」


 識字率の事かな。字を意味する言葉なのは分かる。


「にゃんなら私が教えてあげますニャ」


「マヂ!?」


 リアル猫っ子にお近づきになれるとか・・・。

 俺がだらしない顔をしていると、ミーニャが頬を膨らませて俺の袖をすごい力で引っ張る。

 俺はそのまま手近な椅子に座らさせられ、向かいにミーニャが座った。


「いいですか、私がタクヤの先生です」


「はい、ミーニャ先生」


「他の先生は要りません」


 バンバンと机を叩くミーニャ・・・。怒った顔が可愛いです。


「はい、他の先生は要りませんミーニャ先生」


「良く出来ました!」


 またニコニコ顔に戻る。

 なにこの可愛い生き物。ロ・・・じゃない、小さな女の子の嫉妬を受けたの初めてだけど、すごい破壊力だな。

 危うく残機が減るところだったぜ・・・。


 それからミーニャと依頼書を一枚一枚丁寧に見ていく。


[巨大ネズミの捕獲依頼] うん、捕獲なら何とかなりそうだ。


[ぼくのかんがえたさいきょうまほうをくらってくれるひとぼしゅう] いくら子供の願いでも死んでしまいます。


[ニンジン収穫のお手伝いさん募集] ・・・ギルドって農家のお手伝いもしてるのか。


[妻の浮気の調査依頼] 探偵にお願いしろよ。関わりたくねぇよ。


[僕の女王様を募集しています ハァハァ] 原文ママ。ミーニャ先生、ハァハァは知りたくなかったよ。


 と、まぁ。内容は意外にも平和な物が多い。一部頭がおかしい依頼もあるが、依頼を受け付けるだけなら制限が無いので、とフリットは苦笑いしていた。


 この中なら冒険者的な体験が出来そうなネズミの捕獲か。いやまて、この世界でネズミってのが分からん。モーモー鳴くから牛かと思ったらウサギ(牛)だったし。

 巨大なネズミ(虎)って事もあり得る・・・。だとしたら一番安全そうなニンジン収穫かな。

 しかし、農作業なら日頃やってるし。


 悩んでいると、ギルドの扉が大きな音を立てて開かれ、俺の名前を叫ぶ奴が入ってくる。


「天から落ちてきたタクヤと言う男性はいらっしゃいますの!?私と勝負なさい!!」

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