―――2
【GAME OVER】
「は?」
いやいやいや、まて、なんだこの暗闇で神々しく輝いている文字は。
『文字通りですよ・・・えーっと、スズキ タクヤ』
「ガメオベラ?」
『違います、ゲームオーバーです』
「知ってるよ、ってか何だこれ」
『あなたは残念ながら死んでしまいました、再度復活しますか?』
頭の中は疑問だらけで、どこから突っ込もうか大量の選択肢に混乱している。
「まずお前は何者だ」
『私はこの世界のゲームマスターです。いわゆる神です』
「じゃぁゲームオーバーってなんだ?」
『あなたが死んだら行き着く場面です』
「場面・・・ってかあんたさっき凄いこと言ったな?やり直せるのか?」
『はい、あなたはすでに一度死に損なっています、しかし前の世界のゲームマスターのウッカリであなたの先祖から続くセーブデータを消してしまい、さらなるウッカリでこの世界にコピーされました』
「お、おぅ」
『その結果、貴方は中途半端に前の世界の記憶を持ちながら、間違ってこの世界に生まれたためデータに不整合が起こり、焦ったそのゲームマスターはさらなる修正を加えようとし、あなたは復活する事が出来るようになってしまいました』
さっぱりわからん。
今分かるのは、相手の姿が見えずこの耳以外から聞こえてくる声が気持ち悪いって事だ。
「とにかく俺は生き返れるんだな?・・・・まて、その前になんで俺は死んだ?死ぬような出来事がどこにあった?」
『熱々の紅茶が体にかかりお盆が顔面に直撃しました』
「・・・・・豆腐の角に頭ぶつけて死ぬ人もいるしな」
『それは冗談の通じない人間を揶揄する言葉です』
「冗談にしてくれよ」
『無理です』
ねーよ!熱い紅茶がかかってお盆が顔面に当たったって、アッツ!イッタ!程度で済むだろ。人間そんな簡単に死なねーから!!
「質問いいですか?」
声が掠れて、上ずりながらも聞いてみた。
『どうぞ』
「まず元々の俺と今の俺の違いを教えてくれ、不整合が起こったって言ってたよな?」
『はい。あなたは体力が1もありません、あなたの記憶から言葉を借りるならヒットポイント1以下です、それから、あなたの攻撃力は9999になります、殺意を持って相手を攻撃すればこの世界のあらゆる生物は一撃で殺せます』
「そ、それ以外は?」
『それ以外は元々のあなたのままです』
HP1ってなんだ、Lv1の魔法使いでももうちょっとあるぞ・・・。
「ちなみに、参考までにお聞きしますが、熱々の紅茶がかかってお盆が直撃した時のダメージ量はいかほどで?」
『裸体ならば2です』
「この世界の18歳の平均HPは?」
『300です』
三百分の一!!
いやそれ以下!!
熱々の紅茶とお盆のダメージ量が1ずつだとして、どちらか一つでも死んでるって。
どんだけ死にやすくなったの俺・・・。
お家に帰りたい・・・。平穏無事で特に不満もなかった・・・満足もなかったけど・・・あの世界に帰りたい。
「頼むから元の世界に返してくれ」
『・・・現在は不可能です』
「現在?いつかは帰れるのか?」
『それは・・・多分』
「急に声色が変わったな、多分ってなんだ、人の人生がかかってるんだぞ神様」
『と、とにかく。あなたはあなたの世界のゲームマスターのミスで生まれたイレギュラーです、あなた一人の修正を加えるために数多ある世界のデータを整える必要があり、それは・・・その』
「その?そのなに!?」
『面倒なの!残業とかしたくないの!いいから復活しなさい!!』
「おいこら、それでも神か!ってか神様残業とかあるの!?」
声だけがする相手にぶつけ様の無い怒りだけが空回りする。
が、目の前が徐々に白くなり、忌々しいほど輝くGAME OVERが霞んでいく。
「お家に帰して!!」
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