第23話 -起業14-


 第23話 -起業14-


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「ふぅ……生き返るな……」


 僕が湯船でくつろいでいると、背後で引き戸を閉める音が聞こえた。

 優子が大浴場に入ってきたようだ。


「お兄ちゃん」

「何だ?」


 僕は振り返らずに答えた。


「あの、フェリアさんを呼んでくれない?」

「分かった」


『フェリア召喚』


 僕は、正面の湯船の中にフェリアを召喚した。

 白い光に包まれて、メイド服姿のフェリアが現れる。


「あっ、ご主人様……」


 フェリアは、東京のアパートで帰還させたので、突然『ハーレム』の大浴場にテレポートしたような感覚なのではないだろうか。

 彼女は、一瞬、驚いたような様子を見せたが、すぐに現状を把握して白い光に包まれて裸になった。


 ――ザバッ


 優子が僕の隣に入ってきた。

 そして、湯船に腰を下ろす。

 フェリアは、立ったままだ。


「どうして、フェリアさんは、立ったままなの?」

「フェリア、座って」

「ハッ!」


 フェリアが湯船に腰を下ろした。


「もしかして、命令しないと座らないの?」

「何故かね……」

「ふーん……」


 フェリアを召喚したのは、優子の希望によるものだ。


「何かフェリアに聞きたかったんじゃないのか?」

「うん。フェリアさんは、お兄ちゃんのこと、どう思ってるの?」

「ご主人様は、わたくしの全てですわ」

「お兄ちゃんに命令されたら何でもするの?」

「勿論ですわ」

「そうなんだ……」


 優子が僕のほうを向いた。


「お兄ちゃん、涼子さんと何があったの?」

「何がって何だよ?」

「誤魔化さないで!」

「涼子姉ぇって呼ぶようになったことか?」

「お兄ちゃん、涼子さんの裸を見たことある?」

「……あるよ」

「いつ?」

「水谷が僕のアパートに来た時にだよ。でも、あれは事故みたいなものだから……」

「それで、そのあとどうしたのよ?」

「別に水谷とは何もないぞ?」

「涼子さんは、お兄ちゃんに裸を見られてどうしたの?」

「どうって、別にいいだろ。何でそんなこと知りたいんだよ?」

「いいから、教えて!」


 僕は、優子にあの夜のことを簡単に説明した。


「何よそれ……涼子さん、お兄ちゃんのことが好きなんじゃない……」

「弟としてな」

「弟に求愛する姉は居ないわよ」

「血が繋がってるわけじゃないからな」

「……お兄ちゃん、自分は人間じゃないから、もうあたしと血縁関係じゃないって言ってたよね?」

「科学的にはな」

「……ねぇ、お兄ちゃん……。あたしのこと抱いてくれない?」

「なっ、何言ってるんだよ!?」

「あたし、男の人が怖いの……このままだと一生、処女のままだと思う……」

「何で男が怖いんだ? お前のキャラで男性恐怖症とかあり得ないだろ」


 優子は、気が強く男勝りな性格をしている。

 どちらかと言えば、男をアゴで使いそうなタイプだ。


「実は……誰にも言ってないんだけど、高三のときにレイプされそうになったことがあるの……」

「――――!? 大丈夫だったのか?」

「うん。最初は、凄く怖くて体が動かなかったんだけど、こんな奴に犯されてたまるかって思ったら、力が湧いてきて、貞操は守れたわ」

「そうか……それで男臭い男が苦手なんだな……そしてショタコンに……」

「もう! 茶化さないでよ! それより、どうなの? あたしのこと抱いてくれないの?」

「妹には欲情しないし……」


 ――ザバッ、サバサバザバ……


 優子が立ち上がり、僕の目の前に来た。

 僕は、優子の裸から目を逸らした。


「欲情しないなら、どうして目を逸らすの?」

「それは、エチケットだよ……」

「別にいいから、あたしのことを見てよ」


『仕方がない。思い知らせてやろう……』


「じゃあ、遠慮無く……。じーっ……」


 擬音を出して優子の裸を凝視した。


「ちょ、そんなにジロジロ見ないでよ……」

「見ろって言ったのは、お前のほうだろ」


 僕は更に優子の裸体を凝視する。


「さぁ、もっと恥ずかしいところを見せてみろ」

「もう! お兄ちゃんのエッチ! 変態!!」


 優子は体を隠して湯船にしゃがんだ。


「フッ、男性経験ゼロの癖に調子に乗るからだ」


 何だかんだ言っても僕は女性の裸体を見慣れているし、【戦闘モード】を起動すれば、どんな誘惑でもはね除けることができるだろう。


「ねぇ、抱いてくれないの?」

「仕方ないな……」


『ルート・ニンフ召喚』


 僕は、湯船の中にルート・ニンフを召喚する。

 白い光に包まれて、メイド服姿のルート・ニンフが召喚された。


「――――!? 髪が青い……」


 優子がルート・ニンフを見て目を丸くしていた。


「旦那さま?」


 ルート・ニンフは、辺りを見た後、すぐに裸になった。


「ニンフ1とニンフ2を召喚して」

「分かったわ」


 僕の左右に白い光に包まれて、くノ一スタイルのニンフ1とニンフ2が召喚された。


「旦那さまぁ……」

「旦那さまっ」


 二人は、すぐに裸になった。

 僕は、ニンフたちに優子を紹介する。


「彼女は、僕の妹の優子だ。挨拶して」

「ルート・ニンフよ。よろしくね」

「ニンフ1よ」

「あたしは、ニンフ2よ」

「ゆ、優子です。ちょっと、お兄ちゃん。何でこの人たちを呼んだの?」

「さっき、水谷の話をしたよな? あの話には続きがあって、ニンフたちに相手をしてもらったんだよ」

「ま、まさかあたしも?」

「そうだよ。彼女たちに気持ち良くしてもらえ」

「いっ、嫌よ! そんなの!」

「どうして?」

「女同士なのよ?」

「男嫌いなんだろ? 丁度いいじゃん」

「でも……あたしは……」


『女神の秘薬』


 僕は、『女神の秘薬』を『アイテムストレージ』から1本取り出した。


「これを飲んでおけ」


 そう言って、優子に『女神の秘薬』を渡す。


「これは?」

「母さんが飲んだものと同じ魔法のポーションだよ」

「若返るやつね。いいの? 高いんでしょ?」

「念のため飲んでおくんだ」

「分かった……」


 優子は、『女神の秘薬』の蓋を開けて中身を飲んだ。


「美味しいわね」


 僕は、空き瓶を渡すようにと手を出した。

 優子が僕の手のひらの上に『女神の秘薬』の空き瓶を置いた。


『ハーレム』


 僕は、『ハーレム』の扉を一瞬だけ戻した。

 すると、僕の手のひらの上に載っていた『女神の秘薬』の空き瓶が消え去った。


「消えた!?」


 その様子を見ていた優子が驚いた。


「じゃあ、ルート・ニンフ。この前の水谷みたいに、僕の妹も可愛がってあげて。ただ、水谷と違って処女だから、やさしく丁寧にね」

「ふふっ、楽しみだわ」


 ルート・ニンフが淫蕩な笑いを浮かべて口の周りを舌で舐めた。

 見た目だけ・・は、清純派美少女のルート・ニンフがそういう仕草をすると凄く淫靡に感じてしまう。

 ニンフ1とニンフ2が優子の左右に移動して、腰を落とし優子を抱え上げる。


「ちょ、ちょっと、待って! こんな格好、恥ずかしい!」


 両側から片腕を背中に回され、もう片方の手で足を膝の辺りから抱えられている。

 足が開いて恥ずかしい部分が丸見えだった。


『そういや、水谷もこの格好で連れて行かれてたな……』


 僕は、あのときのことを思い出して興奮してしまう。


「旦那さま、マットはどの辺りに?」

「そこの洗い場の真ん中辺りでいいよ」

「分かったわ」


 ルート・ニンフが湯船から上がり、洗い場に『ラブマット』を召喚した。


「待って、何よ。変なことしないで。あっ、そこは駄目ぇ!」


 背後から優子の嬌声が聞こえてくる。


「嫌っ! お兄ちゃん! 助けてよ! こんなの嫌よ!」

「…………」

「ぐすっ、何で助けてくれないのよぉ……」


 優子のむせび泣く声が聞こえてきた。

 ちょっと、やり過ぎではないだろうか。

 このことがトラウマとなって、今度は女性恐怖症になられても困る。


 僕は、立ち上がり、優子が奉仕されているマットに近づいた。

 優子は、ニンフたちに体中を舐められている。顔を顰めて涙を流していた。


「お兄ちゃん……助けてぇ……」

「ルート・ニンフ、ゆっくり丁寧にと言った筈だぞ?」

「ええ。やってるわ」

「じゃあ、何で優子は泣いてるんだ?」

「この娘、旦那さまに見られて感じてるわ」

「嫌っ、何を言って……」

「ほら、こんなになって……」

「ああぁ……お兄ちゃん……見ちゃらめぇ……」


 優子の表情が快楽を伴ったものに変わった。

 どうやら、心配は要らないようだ。

 僕は、発情を抑えることはせずにフェリアを呼ぶ。


「フェリア……」

「ハッ!」


 僕は、近くに来たフェリアを抱き寄せた。


「あっ……」


 そして、彼女にキスをして、優子たちがまぐわっている隣に抱き合ったまま倒れ込んだ――。


 ◇ ◇ ◇


 ――チャポン……


「ふぅ……」


 僕は、『ハーレム』の大浴場で息を吐いた。


 あれから、優子がニンフたちに奉仕されている隣で僕はフェリアとまぐわった。

 そのうち、ニンフたちも僕を求めてきたので、マットの上は6Pの様相を呈した状態となってしまった。

 優子も僕に抱きついて挿入してくれと懇願したが、流石にそれはやんわりと拒絶した。

 その代り、【調剤】スキルでローションを出して、フェリアたち使い魔と一緒にローションプレイをした。

 マットの上で優子と手を繋いで並び、使い魔たちに奉仕されたのだ。

 その後、フェリスとルート・ドライアード、チハヤを追加で召喚して朝まで楽しんだ。

 優子は、途中で失禁しながら気絶してしまったが……。


「お兄ちゃん……また、一緒にしてくれる?」

「いいけど、病みつきにならないようにしろよ?」

「もう、遅いわ。こんな世界を知ったら……でも、良かった。今までモヤモヤしていたのがスッキリしちゃった」


 妹は、欲求不満だったようだ。

 たまに発散させたほうがいいだろう。


「週に一度は、今日のことを思い出して一人でしろよ?」

「なっ!? 何言ってるのよ! お兄ちゃんの変態!」

「これは命令だ。従えないなら、二度としない」

「ちょ、本気で言ってるの?」

「お前は、欲求不満だったんだよ。多分な……」

「それは……そうかもしれないけど……」

「別に恥ずかしがることはない。男はみんなやってることだからな。女でもオナニーする人は多いらしいぜ? 前にそういうのに詳しい奴が言ってた情報だけどな」

「……分かった」

「じゃあ、そろそろ上がろう」


 僕は、『ハーレム』の大浴場を後にした――。


 ◇ ◇ ◇


『ロッジ』に戻り、使い魔たちに服を着せてから帰還させた。

 優子も青いパジャマを着た。

 僕は、大浴場の洗い場で『装備5』のスーツ姿となっている。


『ロッジ』から出た後、自分の部屋で靴を脱いでから一階のリビングへ移動して、エアコンを点けた。

 時刻は、朝の7時過ぎだ。部屋の中は、まだ薄暗い。


「お兄ちゃん、寒いからあの部屋に入れて」

「分かった」


『ロッジ』


 僕は、リビングに『ロッジ』の扉を召喚した。

 優子と一緒に中に入る。

 扉は出したままにしておいた。

 消すと、再召喚したときに父や母が扉の座標に居たら吹き飛ばされる事故が起きるからだ。


『コーンクリームスープ』『コーンクリームスープ』


 テーブルの上に『コーンクリームスープ』を2つ出した。


「わぁーっ!」


 優子がテーブルの席に座る。


「いっただっきまーっす!」


 そして、『コーンクリームスープ』を飲み始めた。

 僕も隣の席に座り、『コーンクリームスープ』を飲んだ。


 ――ガチャ


 優子とスープを飲んでいたら、『ロッジ』の扉が開いた。

 見ると母が扉を開けて中に入ってきた。


「お母さんもいい?」

「勿論」

「お邪魔するわね」


『コーンクリームスープ』


 テーブルの反対側に『コーンクリームスープ』を召喚する。


「母さんも良かったらどうぞ」

「ありがとう。頂くわ」


 母がテーブルの反対側に回って席に着いた。


「ホントに、この部屋の中は暖かいのね」

「この部屋、いいでしょ? ねぇ、お兄ちゃん? あたしにもこんな部屋作ってよ?」

「うーん、金掛かるし、いろいろ問題があるからな……」

「どんな問題よ?」

「一番の問題は、他の人に知られる可能性があることだな」

「そんなの隠しておけば問題ないわよ」

「例えば、地震や火事でこの家が倒壊したり焼失したときには、扉が空中に浮いた状態で見つかるんだぞ?」

「でも、そんなの滅多にあることじゃないし……」

「異世界の存在が知られると、何が起きるか分からないからな。その痕跡を残すのは危険なんだよ」

「分かったわよ。もう、そんなに真剣に否定しなくてもいいでしょ」


 そう言って優子は立ち上がった。

 そして、トイレの方へ歩いていき、トイレの扉を開けて中に入った。


「あの扉は?」

「トイレだよ」

「そう……」

「母さんも行ってきたら?」

「二人でも入れるの?」

「うん」

「じゃあ……」


 そう言って母が立ち上がった。


「鍵の開け閉めで綺麗になるから」

「ええ、分かったわ」


 そして、母もトイレに入って行った――。


―――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――――――――


 僕は、1月8日(日)の夕方まで実家で過ごした。

 そして今、玄関先で家族に見送られている。


「お兄ちゃん、ホントに駅まで送って行かなくてもいいの?」

「ああ、実は来るときも空を飛んできたんだ。そっちの方が速いし安全だからな」

「安全なの?」

「少なくとも事故に巻き込まれることはないからな」

「でも、電線に引っかかったり、ヘリや飛行機とぶつかったりしない?」

「お前、僕を何だと思ってるんだよ……そもそも、線路の上を飛んで行くから障害物はないし、固定された物にぶつかることはあり得ない。ヘリや飛行機とは、飛行高度が違うからぶつかることはないしな。仮に近くに飛んでいても簡単に回避できるよ。こっちのほうがずっと速度出るから」

「ヘリや飛行機より速く飛べるの?」

「戦闘機よりも速く飛べるぞ」

「すっごーい!」


 母が封筒を差し出した。


「雄一、これを持っていきなさい」

「お金なら心配ないよ」

「いいから……」


 そう言って僕に封筒を押し付けた。


「……ありがとう」


 僕は、封筒を上着の内ポケットに仕舞った。


「じゃあ、行ってくるね」

「ああ、雄一。気をつけてな」

「雄一、体には気をつけるのよ」

「母さん、この体は怪我も病気もしないよ」

「そうなの?」

「大型トラックと激突しても死なないと思うし」

「まぁっ……」

「じゃあね。お兄ちゃん。来月、遊びに行くね」

「ああ、水谷やヒデちゃんとも一緒に遊ぼう」

「うん!」


【インビジブル】


「――――!?」

「お兄ちゃん!?」

「雄一!?」

「大丈夫、ここに居るよ。飛行するなら、姿を隠しておかないと人に見られるから」

「なるほどな……」

「じゃ、行ってくる」

「ああ」

「雄一」

「お兄ちゃん、またね」


【ハイ・マニューバ】


 僕は、東京へ向けて飛行した――。


 ◇ ◇ ◇


 東京のアパートに着いた僕は、ネットオークションの準備を始めた。

 とりあえず、『フィーネのフィギュア(1/4)』を週に1個づつ売るつもりだ。とりあえず、それで手応えを掴んでから、新しい展開を考えればいい。

 梱包したバージョンも作ったので、宅配便の送り状を貼れば発送できる状態になった。


 スマホのカメラでフィーネのフィギュアをいろいろな角度から撮影した。勿論、キャストオフした写真も撮影する。

 それらの写真をパソコンで加工して、オークションサイトに掲載した。ちなみにキャストオフした乳首の部分は、★で隠しておいた。


 価格は、1000円からスタートして、期間は6日間だ。

 1月8日(日)の23時頃からスタートさせたので、1月14日(土)の23時頃に終了する。

 ネットオークションに参加するためのアカウントは前から持っていた。

 しかし、落札にしか使っていなかったため、出品するのはこれが初めてだ。


 こうして、僕はネットオークションで美少女フィギュアを販売する事業を始めたのだった――。



 ◇ ◇ ◇



 ……それから、1ヶ月以上が経過した――。



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