第13話 -起業4-
第13話 -起業4-
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――ガチャ
僕がいつものテーブルのいつもの席に座ってコーヒーを飲んでいたら、『ハーレム』の扉が少しだけ開かれた。
「ねぇ、ユーイチ」
「どうしたの?」
僕は『ハーレム』の扉の前まで行って扉の隙間から中を覗くと、廊下に全裸でびしょ濡れの水谷が立っていた。手で胸や股間を隠している。
「乾かしてよ」
「ああ、ごめん。一旦、扉を閉めるね」
僕は扉を閉めてから、『ハーレム』の扉を一瞬だけ『アイテムストレージ』へ戻した。
――ガチャ
また、扉が少し開かれた。
「どう?」
「ありがとう、乾いたわ」
そう言って、また扉が閉められた――。
◇ ◇ ◇
――ガチャ
僕が席に戻ってコーヒーを飲んでいたら、水谷が裸ワイシャツの姿で入ってきた。
見たところ上下とも下着を身に着けていないようだ。
「涼子姉ぇ、何て格好をしてるのさ!?」
「別にいいじゃない。これから寝るんだから。それより、あたしにもコーヒーを頂戴」
『エスプレッソコーヒー』
僕は、反対側の席に『エスプレッソコーヒー』を出した。
水谷がその席に座って、コーヒーを飲み始める。
「寝る前にコーヒーなんか飲んでも大丈夫?」
「カフェインは、少量ならリラックス効果があるから寝やすいのよ」
「でも、このコーヒー濃いし……」
「大丈夫よ」
水谷は、そう言ってコーヒーを啜った。
「眠れなくなっても知らないよ」
「そのときは、相手してもらうわよ」
「ハイハイ」
彼女は、コーヒーを飲み干した後、『トイレ』に入っていった――。
◇ ◇ ◇
――ガチャ
『トイレ』から出てきた水谷は、僕の向かいの席に戻った。
「やっぱり、ここのトイレは慣れないわ」
「洗浄ボタンを付けるべきだったかな……」
「そうよ。どうして付けなかったの?」
「そういうギミックができるかどうか分からなかったし、そもそもこの『トイレ』を作った時点では気付かなかったんだよね」
「まぁ、でも結果的に綺麗になるのだから別にいいわ。ちょっと、おしっこが太ももに垂れてきちゃったりするのがネックだけど……」
「涼子姉ぇ、裸ワイシャツでそのセリフはヤバいよ……」
「我慢できなくなっちゃう? 弟の性欲処理も姉の仕事なのかしら?」
「いやいや、それはないから。そもそも、姉弟に夢見すぎでしょ。実際の姉弟なんて、悲惨らしいよ。姉の居るヤツの話では……」
「どういう風に?」
「キモがられたり、パシリにされたりするとか……」
「それは、人によるんじゃないの? ユーイチは、優子ちゃんに気持ち悪いとか言われたことある?」
「兄には言わないんじゃ……? 言ったら泣かされるのが分かってるだろうし。姉は弟になら何を言っても許されると思ってるらしいよ」
「ふーん。それより、優子ちゃんはどうしてるの?」
「ああ、水谷によろしくって言ってたよ。そのうち、東京に遊びに来るって」
「涼子姉ぇでしょ」
「ああ、ごめん。涼子姉ぇ……」
「はい、良くできました」
水谷は、テーブルに乗り出して僕の頭を撫でた。
ノーブラの胸元が目の前にきて、ドギマギしてしまう。
「そ、そろそろ、寝たら?」
「ユーイチはどうするの?」
「この体は睡眠が必要ないんだよね」
「そうなの?」
「うん。それに広いとはいえ、同じ部屋で寝るのはマズいでしょ」
「そんなの気にしなくてもいいわよ」
「寝るときは、お風呂で寝るよ」
「溺れないでよ?」
「いや、湯船の中では寝ないから」
「洗い場の上に寝るの?」
「マットを出して寝るから」
「へぇー、今度あたしにも貸してよ」
「うん」
「じゃ、寝ましょうか」
僕たちは、『ハーレム』に移動した。
【商取引】→『アイテム購入』
『毛布』
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・毛布【アイテム】・・・4.98ゴールド [購入する]
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毛布を購入して、寝間の入り口で水谷に渡す。
「これ使って」
「ありがと」
水谷は、毛布を持って寝間に入った。
僕は、大浴場の引き戸を開けて中に入る。フェリアも後に続いた。
『フェリス召喚』
光に包まれてフェリスが出現した。
「あらっ? ご主人サマ、約束どおりシてくださいますのね?」
「マットで一緒に寝よう」
「ふふっ、嬉しいですわ」
そう言って、フェリスが裸になった。
「フェリア、フェアリーを召喚して」
「ハッ!」
フェアリーが光と共に現れた。
「ユーイチ様っ」
フェアリーは、裸になって抱きついてくる。
『ラブマット』
僕は、マットを召喚した。
『装備8換装』
裸になってマットの上で横になる。
フェリア、フェリス、フェアリーが僕の上に乗ってきた。
僕は、彼女たちとまぐわい始めた――。
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ガラッ――
一時間近く経過した頃だろうか、大浴場の入り口の引き戸が勢いよく開けられた。
マットに寝た姿勢でそちらを見ると全裸の水谷が大浴場に入ってきた。
そして、僕が寝ているマットのほうに向かって歩いてきた。
「ちょ、涼子姉ぇ! これは洒落にならないよ……」
「何言ってるのよ!? 洒落にならないのはそっちでしょ!」
水谷は、全裸で腰に手を当てて仁王立ちをしている。怒っているようだ。顔が赤い。
「なにが?」
「人が寝てるのにアンアンアンアン、凄い声で女性を泣かせてぇ!」
「え? 聞こえた?」
「聞こえるわよ。間に二枚の引き戸しか無いんだもの」
「でも、奥のほうで寝れば大丈夫じゃ?」
「いやよ。廊下から遠いと移動が面倒じゃない」
「ごめん、もう寝るよ」
「責任取って貰うわよ?」
「どういうこと?」
「あたしも抱きなさいよ!」
これは本気でマズい展開だ……。秀雄との関係を考えたら水谷には絶対に手を出せない。こうして裸を見ていること自体が裏切り行為だろう。
『――――!?』
回避する方法を閃いた。
『ルート・ニンフ召喚』
僕は、ルート・ニンフを召喚した。
光に包まれてニンフが現れる。
「旦那さまぁ……」
ニンフがすぐに裸になって、僕のマットに上ってきた。
「ストップ! ニンフ1とニンフ2を召喚して」
「分かったわ」
マットの近くにニンフ1とニンフ2が続けて召喚された。
「「あっ、旦那さま……」」
ニンフ1とニンフ2もすぐに裸になって、マットに上がってきた。
「待って。そこに居る人間は、水谷涼子と言って僕の友人なんだ」
「お姉ちゃんでしょ」
水谷が口を挟んだ。
「ニンフたちは、向こうにマットを出してその人を気持ち良くしてあげて」
「「分かったわ」」
「彼女は普通の人間だから加減するのを忘れずに。それから、念のために『女神の秘薬』を飲ませてあげて」
「ええ、ニンフたち。その子を捕まえなさい」
「「分かった」」
ニンフ1とニンフ2が水谷の両側に移動して両方から腕を捕まえた。
「ちょっと、ユーイチ! お姉ちゃんをどうするつもりよ! あたしにはその
「まぁまぁ、涼子姉ぇもニンフォマニアの言葉の意味を実感するといいよ」
「そんなの実感したくないわよ!」
ルート・ニンフが『女神の秘薬』を取り出して水谷の前に移動した。
そして、自分で『女神の秘薬』を口に含む。そのまま、水谷にキスをする。
「むっ、むーっ、んっ、はぁん……」
水谷は、口移しで『女神の秘薬』を飲まされた。
「一体、何を飲ませたのよ!?」
「心配しないで、その薬は『女神の秘薬』と言って、酷い怪我でも治る治癒のポーションだから。僕が向こうの世界に飛ばされて死にかけたときもその薬で治ったんだよ」
「ちょっと!? 一体、あたしに何するつもりなの?」
水谷が青ざめて言った。どうやら、怪我をするようなことをされるのかと恐れたようだ。
「大丈夫、気持ちいいだけだから」
「嘘よね? お姉ちゃんに何をするつもりなの!? あんたは!」
ルート・ニンフが大浴場の扉の反対側に『ラブマット』を召喚した。
ニンフ1とニンフ2が水谷の足を片方ずつ持って担ぎ上げる。
「きゃっ、ちょっと!? こんな格好、恥ずかしいわ……」
脚を広げられ恥ずかしい部分が丸見えだ。
そのまま、ニンフたちに担がれて向こうのマットに連れて行かれた。
「あぁーん、そこは駄目ぇー! ユーイチッ! 覚えてなさいよっ!」
その後、水谷は嬌声を上げ始めた――。
◇ ◇ ◇
「フェリア」
「はい。何でございますか?」
「6時に起きたいから、えーっと、刻印の時刻では、15時丁度になったら教えてくれる?」
「畏まりました」
「ご主人サマ。さぁ、続きをしましょ」
「そうそう、ユーイチ様」
フェリスとフェアリーが抱きついてきた。
すぐ近くで水谷がニンフたちに責められていると思うと凄く興奮した。
僕は、再びフェリアたちの母乳を吸う作業を開始した――。
―――――――――――――――――――――――――――――
僕に抱きついていたフェリアが体を起こした。
「ご主人様」
どうやら時間のようだ。
「あと5分でお時間です」
僕は、体を起こした。
「あんっ」
「ユーイチさまぁ……」
フェリスとフェアリーが僕の腕にしがみついてきた。
「そろそろ起きよう」
◇ ◇ ◇
「ああぁ~ん、もうらめぇ~、もろれにゃくにゃひゃうぅ~」
向こうのマットからは相変わらず水谷の嬌声が聞こえてくる。
僕は、その声を聞いて普段より興奮していたと思う。
【フライ】
僕は隣のマットの近くまで移動した。
マットを見るとニンフたちの強烈な奉仕を受けた水谷は凄いことになっていた。
「や~ん、ゆーいひぃ、こんらおねぇひゃんみひゃらめらのぉ~」
「ニンフ、そろそろ起きないといけないから、それくらいにしておいて」
「分かったわ。フフフ……可愛かったわよ。チュッ」
アンモニア臭がする。水谷も失禁してしまったようだ。
僕は、『ハーレム』の扉を一瞬戻して、自動清掃機能を発動させた。
一瞬で水谷に付着したローションや体液などが消え去った。
僕は、湯船に移動した。
湯船に降りて【フライ】を切る。
そして、湯船に腰を下ろした。
「ふぅーっ」
『何だかとんでもないことになっちゃたな……』
水谷と再会して、水谷が僕の部屋に来て、水谷が僕の義理の姉になって……。
――義理の姉弟って、水滸伝の李師師と燕青みたいなケースも入るのだろうか?
任侠の世界の話のような……姉妹で誓い合うのは、スールっぽくて清らかな印象なのに……。
「ハァハァハァ……」
そんなことを考えていると、荒い息づかいが聞こえてきた。
そちらを見ると水谷が2人のニンフに抱えられて湯船に入ってきた。
目がトロンとしている。
「大丈夫?」
「ハァハァ……お、覚えてなさいよ……」
「何を?」
「おっ、お姉ちゃんをこんな体にしたことをよ!?」
「いや、意味が分からないし……」
「もう、凄かったんだから。ホントにニンフォマニアの意味が分かったわよ」
「でしょ?」
「途中、完全に堕ちちゃってたわ」
「危なかったね」
「何を他人事みたいに言ってるのよ!? あんたが命じたんでしょ!」
「でも、悪いのは涼子姉ぇだよ。ヒデちゃんを裏切って僕に抱かれようとしたんだから」
「そっ、それは……別にいいじゃない。ユーイチとは他人じゃないんだから」
「いやいや、この状態も既にマズいし」
「ねぇ……。またニンフを貸してくれる……?」
「気に入った?」
「こんなの知っちゃったら、もう戻れないわ……」
「いいけど、ヒデちゃんには秘密だよ?」
「ええ、勿論よ」
『何か罪悪感が……でも、百合展開ならいいか……』
自分に恋人が居ると想像する。
彼女がたまに何処かに出かけて行くので、不審に思って後を付けたら、レズビアンの女性とまぐわっていた……。これなら、まだ許せる……かな?
少なくとも浮気相手が男よりはいいだろう。
◇ ◇ ◇
それから、僕たちは風呂から出て『ロッジ』に戻った。
水谷は、裸のままだ。フェリアとフェリス、フェアリー、ニンフたちもだが。
「涼子姉ぇ、何か着てよ……」
「ユーイチには、全部見られたから別にいいわ」
『サンドイッチセット』『サンドイッチセット』
僕は、テーブルの上に『サンドイッチセット』を召喚する。
「どうぞ」
「……いただくわ」
水谷は、『サンドイッチセット』を食べ始めた。
僕も一緒に食べ始める。
食事を終えた後、水谷は『トイレ』に行った――。
◇ ◇ ◇
――ガチャ
『トイレ』から水谷が出て来た。
時刻は、7時前だった。
「涼子姉ぇ、あまり寝てないみたいだけど大丈夫?」
「不思議と眠くないのよね。もしかしたら、あの薬のせいかしら?」
「そんな効果があるという話は、聞いたことがないけどね」
「休んでもいいけど、秀雄と話がしたいし、お姉ちゃん頑張って行ってくるわ」
「頑張ってね」
それから水谷は、服を着て化粧をし始めた。
『フェリアの装備6換装』『フェリスの装備6換装』『ルート・ニンフの装備6換装』
「フェリア、フェアリーに服を着せて、ルート・ニンフは、ニンフたちに服を着せて」
「ハッ!」
「いいわよ」
フェアリーは、ロリバ(ry 仕様の白いワンピース姿になった。
ニンフたちは、くノ一スタイルの装備に換装した。
水谷のほうを見ると、彼女は立ち上がって、身だしなみをチェックしていた。
「あっ、ストッキングが伝線しちゃってる。ユーイチ、魔法で修復できない?」
「似たような物を作ることはできると思うけど」
「じゃあ、作ってよ」
「分かった。こっちに来て脱いでから、広げて見せて」
水谷が立ち上がって、こちらに来た。
僕は、テーブルを背にして反対向きに座り直す。
僕の前に来た水谷は、タイトスカートを脱いだ後、ストッキングを脱いだ。彼女は、青っぽい色の下着を履いていた。
そして、ストッキングを僕のほうに広げて見せた。
裸を見たと言っても、こういうお色気シーンを見せられるとドギマギしてしまう。
「これでいい?」
「うん、少しそのままでいて」
「分かったわ」
【工房】→『アイテム作成』
ストッキングを見ながら、アイテムを作成する。
『ストッキングのレシピ』を作成した。
『レシピから作成』
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・ストッキング【アイテム】・・・0.18ゴールド
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ストッキングを実体化する。
「はい、涼子姉ぇ」
「ありがと」
水谷は、僕が手渡したストッキングを受け取ってから、その場で履いた――。
◇ ◇ ◇
8時前になったので、『ロッジ』から出て部屋に戻ることにした。
『フェリア帰還』『フェリス帰還』『ルート・ニンフ帰還』
僕は、使い魔たちを帰還させた。
そして、『ロッジ』の扉を開けて外に出る。
――チャラン♪ ユーガッメール
――ピロン♪
『ロッジ』から出ると、僕たちの携帯電話からメールの着信音が同時に鳴った。
『ロッジ』の中には、電波が届かないからだ。
僕たちは、お互いに携帯を取り出してメールのチェックをする。
僕のメールは、優子からのものだった。
とりとめのない内容の他には、何日に実家に帰って来るのかと書いていた。
後で返信しよう。
天井を見ると部屋の電灯が点けっぱなしだった。
貧乏性の僕は、それを見て損をしたような気分になる。
「電気が勿体なかったわね」
「うん」
「メールは、秀雄からだったわ」
「返信しなくていいの?」
「ええ、お昼に会うから別にいいわ」
「そう……」
「ユーイチのほうは、誰からのメールだったの?」
「優子だよ」
「優子ちゃんは、何て?」
「年末は、いつ実家に帰って来るのかって」
「いつ帰るの?」
「うーん、大晦日でいいかな」
「電車で帰るの?」
「いや、面倒だから空を飛んで帰ろうかなって」
「いいわね。あたしも便乗しようかしら」
「好きにして」
「じゃあ、そろそろあたしは行くわね」
「うん、気をつけて」
「ええ」
そう言って、水谷は僕の部屋から出て行った――。
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