第21話 危険な。

 奴の所在を確かめたら、戻ってカンナと子供たちに話そう。

俺たちはそろそろ、人間と共存する選択肢を捨てざるを得ないところに来ているのかもしれない。

 

 自分が子供だった頃、猟師を見ると恐ろしさに震えたが、今感じている恐ろしさとは違う。中には当時、子ギツネには価値が無いからなのだろうが、戯れに昼飯の残りを放ってくれる者もいた。


 祖父や父が、冬場、里に下り鶏に卵、保存食の肉を失敬してくることもあったが、それが原因で本格的に狩られることは無かった。

 俺たちも変わったが、人間も変わってきているのかもしれない。


 子供たちのペースに合わせれば、一家での山越えも無理な話ではない。

本当なら万全を期すために、先に下見をしたいところだが、今、家族を置いて行くには不安とリスクの方が大きすぎる。


 まだ新しい匂いを追って、ひたすら歩を進める。

心が急いて気が付けば小走りになっていた。何を俺は焦っているんだ?


 このまま駆け下りればもうすぐ里へ出る。日が高いうちに近付くのは憚られるが、大体でいい、正確な場所でなくてもおおよそ奴の現在地を確かめられればそれでいい。もっと奥深い場所へ移動するまで、危険な存在と遭遇しないという証しのようなものが欲しかった。


 若造だったころに、1度だけ足を踏み入れたことのある人里のそばまで来ていた。

当たり前だがもう同じ轍は踏まない。


 夜と違って、活動の気配が多数感じられる。

背の高い草の陰から目にするそれらは、興味深くもあり遠い世界の様にも見えた。


 高く上げた鼻のセンサーが次々と入ってくる臭いを振り分ける。

とその時、ギンの古い記憶に触れる匂いが鼻先へ入ってきた。忘れられないあの夜へと繋がる臭い。

 はっと顔を上げた瞬間、人間の怒声が聞こえたと思った直後耳を突き抜ける銃声と衝撃派に全身を揺さぶられ横っ飛んだ。


 

 



 

 


 

 

 

 

 


 


 


 





 


 


 

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