第15話 守りへ。

巣穴の中では、ふにふにとした4匹の子供たちが日々元気に育っている。

間もなくその幼い瞳は光を感じ風をとらえ、外で転がり遊ぶようになるのだろう。

目を細めながら見守るギンの心は、これまでにない安らぎと幸せを感じていた。と同時に同じぐらいの不安要素が消しても消しても頭をもたげてくる。


周りから切り倒される木々の数は増える一方で、人間の手が奥へ、森の奥へ伸びていることを肌で感じる。

入ってくる人間が増えれば当然、どんなに気を付けていても接触してしまう機会は必ずある、そして相手がハンターなら危険極まりない。


やはり移動するべきか。


「起きるか起きないか、わかならない先の事を考えて心配したって仕方がないわよ」

すやすやと眠る子供たちを尾で囲いながら、俺の思考をまるで読み取ったようなカンナが言う。

「だって、口に飛び込んできたカメムシを間違って噛んじゃった時みたいな顔してるんだもの」

可笑しそうに笑うカンナにつられ、そうだ、あの時はひどい目にあったと一緒に笑う。カメムシは、口から吐き出した途端あたふたと草むらに逃げ込んでそれは良かったのだが、口中に広がったあの強烈な臭いには本当に参った。


笑いが引っ込むとまた考えてしまう。

だが――。と。

悲観的に考え楽観的に行動せよ、こう教えられて育った俺としてはそう悠長にも構えていられないが、乳飲み子を抱えての移動は現実的に無理だ。

しっかり駆け回れるようになる秋ごろなら、可能だろう。


「食料を持ってくる」

背中で、カンナの気を付けてね、の言葉を受け取め巣穴を出た。

あの若造どもの様子もみてこなくてはならない。

今は、誰にも壊される訳にはいかないのだ。







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