第7話 ぼくの価値

ぼくの様子を見ていた黒い点のやつは、浮かれているぼくを見て言った。

「何を喜んでるのかな?」

「なんか、ぼくの前で人間の大きい者と小さい者が動いてるんだ。ぼくをじっと見てるし・・・でも いい感じだから ぼくも それに答えているんだ。」

「そうか、嬉しいんだな。それなら大丈夫だ。きっと相性がいいんだよ。」

いい感じって相性がいいって事なんだ。

やっぱり、黒い点のやつは頭がいいな。

ん?相性って何だ?

時々、黒い点のやつは難しい事を言う。

わからないから聞くと教えてくれるけど、途中で飽きて寝てしまうし。

尊敬していいのかどうか わからない。

でも、人間の言葉がわかるらしい。

長年、生きていれば だんだんわかってくると言った。

人間のほうはぼくらの管理人と喋っている。

黒い点のやつは通訳してくれた。

おまえが生き物だから、毎日 値段が下がっていくと言っている。確か、昨日 おまえは8万円だったけど今日は7万円に下がっている。

そういう事だ。

そういうこと?

人間は、笑っている。笑っているということはいいことなんだね。そういうと黒い点のやつは、ふんと言って笑っていた。

黒い点のやつも笑っている。じゃあ、やっぱり値段が下がるのはいいことなんだって僕は思った。

「まだまだ、若いな。値段が下がるのは自分の価値が下がっているとも知らないで。」

黒い点のやつは、そう思って笑っていたのだった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る