ある科学者のスクラップブック

メモ（2041年10月25・26日付）

［以下のメモは研究所のある一室に残されていたものである。内容から、恐らく通信の備忘録であると思われる］

……（中略）……

1:03　実験準備完了

3:24　最終確認完了

8:35　実験開始最終準備開始

8:42　制御板作動開始

8:45　実験開始最終準備完了――カウントダウン開始

9:00　本実験開始

……（中略）……

19:08　注入率60％――予定と二時間のズレ

19:20　責任者会合――アダム・ハート、実験中止を主張――根拠を示せず、却下

19:35　地震計、微弱変化――ハート、実験中止を主張――想定の範囲内として却下――BEAST静観

……（中略）……

23:49　注入率70％――更に予定とズレ

26日

1:45　責任者会合――ハート、実験中止を主張――同上、却下――サンドスター注入量の増加決定

2:55　地震計、再度微弱変化――想定の範囲内、BEAST静観

……（中略）……

5:23　渉外より報告――日政地震調査研究推進本部から非公式接触――地震計の異常振動感知――巨大地震発生の可能性アリ

5:45　首脳部・責任者会合――ハート、西澤梅樹実験中止を主張――議論紛糾

6:30　会合中、地震計大きな変化、BEAST実験中止を進言――ギルバート、ゲイツ、ハート、西澤実験中止を主張

6:45　実験中止決定

6:50　地震計異常変化、BEAST総撤収進言

6:51　総撤収――下山開始――緊急事態宣言――渉外、諸国に通達

［以下、文字が震えカタカナ使用が増える］

7:07　サンドスター逆流、セイギョバン正常稼働――フィルター展開

7:25　ジシン発生、火口爆発――五合目より上吹き飛ぶ――サンドスター・ロウ流出――ノウドキュウゲキ上昇――ビースト、リンカイテン突破10:30予定ホウコク――

7:40　セルリアン大リョウ発生――保安部、新火口付近で巨大セルリアン発生を目視カクニン――

7:45　第一次対セルリアン鎮圧作戦ハツドウ――保安部、保安フレンズと共同して初動チンアツ開始――セイギョバン確保のため、新火口へキュウコウ

7:52　ショウガイ、諸国に通タツ――日・米政府、規定に従い軍シュツドウをカク約――米政即ジ派兵決定――B3バクゲキキ発進――8:20バクゲキカイシ予定

7:55　博士・助手、「全」フレンズ集合令――火口トツゲキジュンビ

　失敗した。

　終わりだ終わりだ終わりだおわりおわ―――［以上、文字が震えており判読不能］

　吹き出したサンドスターは3時間後には臨界点に達する！！

　セイギョ装置、水蒸気、吹き飛ぶ。

　地獄。悪夢。

　想定外だ。無理だ。パークのキノウ喪失――自動修復まで多大な時間が。

　フレンズ・国防軍、セルリアン鎮圧作戦。

　もう手遅れ。

　四つのセイギョバンと、そのヨビが吹き飛んだ時点でもう、勝負は決している。五合目より下にヨビを置いていれば！！

　巨大セルリアンに通常兵器と核は効かない。

　バクゲキしたところでどうしようもない。そんなこと分かりきっているはずだ。フレンズの反抗サクセンが失敗すれば、もうツみだ。

　ハートの忠告を聞いていれば！！！

8:05　保安部、セイギョバン確保ダンネン――Bプラン――保安フレンズ、10％ソンモウ

8:10　巨大セルリアン下山カイシ

［以下、極端に文字が荒くなり、断片的な情報しか分からない］

8:□　火口付近・巨大セルリアン、バクゲキ――バクゲキキツイラク×2（推進力のソウシツか？）――保安部、全センリョクで新火口へ□□□――セイギョバンを□□□□、三つ設置するがサイゴの一つセッチに失敗――保安フレンズ・保安員70％ソンモウ――保安部カイメツ――ケイセン能力ソウ失

　ギセイシャタスウ。もはやジタイがつかめない。なにがどうなっているのか。

　巨大セルリアン、□□ハカイ――前進ツヅク

9:00　日・米、陸上兵力ハケン決定通告――先ケン隊、9:30予定

　おそすぎる！！あとひとつ！！あとひとつ設置すればこちらの勝ちなのに！！

9:2□　西ザワ私兵到着――ザンゾン保安部・司令部ノゾいてパークより□□ジュンビ命令――行方不明者タスウ

　保安部はジジツ上の□□か

9:30　先ケン隊到着、西ザワ私兵とフレンズ・保安部共同作戦ハツドウ――総コウゲキ10:00予定――

9:45　第二巨大セルリアン発生、目視カクニン――計画ヘンコウなし――

9:50　準備バクゲキ開始予定ジコク――バクゲキ来ず――航空センリョクムコウ・多数ツイラク――□□□をサンドスターにウバワれたか？――失敗

10:00　総攻撃開始

10:20　失敗――全職員撤退命令――行方不明者・死者・重傷者多数

10:30　臨界点突破報告

　逃げ遅れた職員は、ソッコク港へ急ぐこと。

　船がスウセキ残されているはずだ。