見舞い
病院の一室。
『真鍋涼』と書かれた部屋に、俺はいた。
いつものように、見飽きた病室の窓の向こうをボーっと見つめていると、コンコン…と部屋のドアを叩く音がした。
「…はい」
視線をドアの方へ移し、小さく返事をすると、静かにドアが開く。
「よす、涼」
「…祐介」
現れた人物に、思わず無表情だった顔の頬が緩む。
ー草下祐介。
俺の幼馴染みで最愛の人。
「具合はどうだ?」
俺の頭を撫で、優しく聞いてくる祐介に、俺は微笑んでこう答える。
「今日は調子良いみたい」
「そうか。これ、見舞いの花とお前が好きな苺」
穏やかな声で言う俺に安心した様子の祐介は、袋から綺麗な花と大好物の苺を出し、花を瓶に差して苺を皿に盛ってくれた。
「ありがとう」
「ん、食べさせてやろうか?」
祐介は苺を一つ取ると、俺の口元に持ってくる。
「うん」
素直に甘える俺。
口を開け、食べさせてもらう。
俺は、祐介とずっと一緒にいたい。
いつまでも、こんな幸せな日が続けば良いのに。
…すると、またコンコン…とドアを叩く音がした。
「はい?」
「涼君、ちょっと良いかね?」
入って来たのは、俺の主治医だった。
「涼君、良い知らせだよ!よーく聞くんだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます