見舞い


病院の一室。


『真鍋涼』と書かれた部屋に、俺はいた。


いつものように、見飽きた病室の窓の向こうをボーっと見つめていると、コンコン…と部屋のドアを叩く音がした。


「…はい」


視線をドアの方へ移し、小さく返事をすると、静かにドアが開く。


「よす、涼」


「…祐介」


現れた人物に、思わず無表情だった顔の頬が緩む。


ー草下祐介。


俺の幼馴染みで最愛の人。


「具合はどうだ?」


俺の頭を撫で、優しく聞いてくる祐介に、俺は微笑んでこう答える。


「今日は調子良いみたい」


「そうか。これ、見舞いの花とお前が好きな苺」


穏やかな声で言う俺に安心した様子の祐介は、袋から綺麗な花と大好物の苺を出し、花を瓶に差して苺を皿に盛ってくれた。


「ありがとう」


「ん、食べさせてやろうか?」


祐介は苺を一つ取ると、俺の口元に持ってくる。


「うん」


素直に甘える俺。


口を開け、食べさせてもらう。


俺は、祐介とずっと一緒にいたい。


いつまでも、こんな幸せな日が続けば良いのに。


…すると、またコンコン…とドアを叩く音がした。


「はい?」


「涼君、ちょっと良いかね?」


入って来たのは、俺の主治医だった。


「涼君、良い知らせだよ!よーく聞くんだ」


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